惑星状星雲 LoTr 5( Longmore-Tritton 5 )を光害地で撮影

かみのけ座に「LoTr 5(Longmore-Tritton 5)」というとても淡い惑星状星雲がある。場所は大きめの系外銀河NGC4725の1°ぐらい東、またM64黒眼銀河の4°ほど北だが、普段パソコンで使っているステラナビゲータには載っておらず、書籍の星図である「Uranometria 2000.0」で確認した(そちらには「P339.9+88.4」と表記されている)。

淡そうだが大きさがそこそこあるので、光害地でも写るかもと思い、今日の未明にBORG71FL+ レデューサー0.72xDGQ にQuad BPフィルター、冷却CMOS( ASI294MC Pro )で撮影してみた。

しかし雲の襲来と薄明開始で3分×13コマしか撮影できず、さすがにこれは露出不足だろうと思ったが、せっかく撮影したのでとりあえず処理した。

かみのけ座の惑星状星雲 LoTr 5 ( Longmore-Tritton 5 )と系外銀河NGC4725
かみのけ座の惑星状星雲 LoTr 5 ( Longmore-Tritton 5 )と系外銀河NGC4725
  • 【環境】2020/1/5 4:04 – 5:02/兵庫県明石市/気温 4℃/光害レベル:SQM-L測定値=19.2
  • 【光学系】BORG71FL+レデューサー0.72xDGQ(288mm F4.1)/Quad BPフィルター
  • 【カメラ】ASI294MC Pro
  • 【架台・ガイド】ケンコーSE2赤道儀/D=50mm F4ガイド鏡/Lodestar Autoguider
  • 【ソフトウェア】<撮影>APT3.82/ <ガイド>PHD2/ <処理>(下記の通り)
  • 【撮影法】センサー温度0℃・ゲイン300・180sec x 13コマ/PHD2によるオートガイド・APT連携ディザリング
  • 【処理法】
    • ステライメージ8によるダーク減算、フラット補正、デベイヤー
    • Photoshop CC、ステライメージ8による調整
    • 3×3ソフトビニング、800×800で切り出し

SQM-L値19.2の光害と39分の短時間露出では、LoTr 5どころかNGC4725(9.2等)をあぶり出すのも苦しい。NGC4725の両隣のNGC4747(12.4等)とNGC4712(13.0等)はシミにしか見えない。

そこで見栄えを無視して更に強調処理した。

【極端な強調処理】かみのけ座の惑星状星雲 LoTr 5 ( Longmore-Tritton 5 )と系外銀河NGC4725
【極端な強調処理】かみのけ座の惑星状星雲 LoTr 5 ( Longmore-Tritton 5 )と系外銀河NGC4725

これでなんとか丸い形を認識できた。大きさはNGV4725よりやや小さいぐらいなので、10’弱ぐらいか。惑星状星雲としては大きめのようだ。M27あれい状星雲が視直径15’程度なので、その半分から2/3ぐらいの大きさになる。

焦点距離300mm弱のBORG71FL+ レデューサー0.72xDGQ でも十分写せそうなサイズなので、また無光害地への遠征時に機会があれば撮影してみたい。特に春の空は遠征用の小口径鏡筒の対象があまりないため、ステラナビゲータにも載ってない対象として面白そうである。

また、自宅でももう少し露出時間をかけて試してみたい。

それから、Quad BPフィルターは露出倍数が大きいので不適切ではないかと思い、数日前にLPS-P2フィルターでも撮影していたのだが、そちらは完全に光害に埋もれてしまい、強調しても見えなくなっていたので、やはりナローバンドのほうが良さそうだ。

LoTr 5の情報は以下。

コメント

  1. 旅好きもん より:

    初めまして。
    広島で風景,鉄道,花,天体写真などを撮っている「旅好きもん」といいます。
    マイブログのリンクに登録させてもらって写真を拝見しています。天体写真はまだ初心者レベルなので,あのように綺麗に撮ってみたいと思っています。
    最近,71FL+レデューサーDGQ+ASI294MC-proで撮影を始めましたが,中々うまく撮れていません。
    そこでお聞きしたいのは,どのようなパーツを接続して撮影しておられるのかということです。
    因みに私は,71FL+M57ヘリコイドDXⅡ+M57/60延長筒M+M57/60延長筒L+マルチレデューサーDGQ+フィルターBoxn+SD-1X(A)+ASI294MC-proを接続しています。
    パソコンのスペックによるのかもしれませんが,パソコンの像がぎくしゃくして,ピントを合わせに四苦八苦しています。
    いろいろ知見をお持ちのようですのでアドバイスをお願いできたらと思います。
    ご面倒だと思いますが,よろしくお願いします。

    • A-1 より:

      旅好きもんさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
      BORGはパーツの組み合わせが難しくて大変ですよね。
      私は60EDのときに苦労したので、71FLについてはKYOEIでレデューサーセットとして、ひとまとめで購入しています(フィルターBOXnとEOSマウントを追加購入しました)。
      下記URLの資料の組み合わせです。

      http://gigaplus.makeshop.jp/kyoei/images/borg/6276.pdf

      対物側から、71FL対物レンズ+80ΦL70カーボン鏡筒+カーボンドロチューブユニット+ヘリコイドM*+2インチホルダーSS+レデューサー0.72xDGQ+フィルターBOXn+カメラマウントホルダーM+カメラマウント(EOS)

      また、ASI294MC ProにはEOS-EFマウントアダプター(EOS-T2)を付け、上記71FLのセットにEOSマウントで接続してます。これにより、EOSデジカメと簡単に入れ替えができるようにしました。他の鏡筒のBORG60EDやFLT98CFもカメラ側はEOSマウントで統一し、EOSデジカメやASI294MC Proが付けられるようにしています。

      71FLのピント合わせですが、ASI294MC Pro使用時は、APT(Astro Photography Tool)のライブビューで、ビニングなし(1×1)でピクセル等倍表示にして、さらにTOOLのMagnifierで3倍か5倍に拡大し、粒の小さい暗めの星で合わせています。
      ライブビューの露出時間は1秒にしています。短すぎるとシンチレーションの影響が大きく出てウネウネして合わせにくく、長すぎると画面更新間隔が長くてピント合わせの時間が長くなってしまいます。

      バーティノフマスクも使ってみたのですが、ある程度は合うもののしっかり追い込めなかったので、今は使っていません。使い方が良くなかったのかもしれませんので、再度、試行錯誤してみる予定です。

      いずれにしても、ヘリコイドを回すと星像はぶれますので、少し回しては、揺れが収まるのを待ってから星像確認というのを繰り返すため、結構時間を食います。電動フォーカサーが欲しくなります。

      そんな感じで、私もピント合わせは結構時間がかかっており、苦労します。

  2. 旅好きもん より:

    早速の返信ありがとうございます。

    80Φ鏡筒のセットのパーツを接続されているわけですね。
    カメラとの接続部を工夫されていますね。

    やはりピント合わせはむずかしいんですね。

    APTはどういうものかわからないので調べてみたいと思います。
    アドバイスありがとうございました。

    • A-1 より:

      APTにはバーティノフマスクのピント合わせ支援ツールもありますが、私の方ではまだ使っていません。
      なるべく早く機会を見つけて試すようにします。

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