ASI183MC Pro の新規導入

主に惑星撮影用(兼・小サイズDeepSky撮影用)のカメラとして、ZWO社の「ASI183MC Pro」を新規導入(購入)した。これは、1インチ・ピクセルサイズ2.4μmのカラー冷却CMOSカメラである。

ASI183MC Pro

先月(2020年2月)に惑星用鏡筒として「ミューロン180C」を新規導入したが、カメラは昔から使っている「DBK21AU618.AS (1/4インチ・ピクセルサイズ5.6μm)」をとりあえず仮に付けていた。しかしさすがにスペックが陳腐化してしまっているため、昨年末から新しい惑星用カメラの導入をずっと考えていた。

惑星撮影については今のところ「モノクロ+フィルター」撮影するつもりは無く、ワンショットで済むカラーカメラから選定することにしていた。ならば、同じZWO社の「ASI290MC(1/3インチ・ピクセルサイズ2.9μm・非冷却)」が最適のようだ。価格も手頃なので、実際ほとんどそれに決めかけていた。

しかしそこで思い出したのが、センサーサイズが1/4インチと小さいDBK21AU618.ASを使っていたときの、惑星導入の困難さ。フリップミラーの眼視側で惑星を視野中央に入れ、カメラ側に切り替えてもキャプチャソフトの表示画面の中には入っていないことが多かった(むしろ、ほとんどの場合入っていない)。そこからなんとか画面内に入れるのに結構無駄な時間を費やしていた。ASI290MCは1/3インチでそれよりは若干マシだと思うが、そこが不安に思うところであった。

導入を行いやすくするなら、センサーサイズが1インチと大きなASI183MCも候補になる。ピクセルサイズも2.4μmと細かく惑星にも使えそう。画素数が多いのでフル解像度ではデータ転送に時間がかかりFPSが落ちてしまうが、全画面を使うのは導入時だけで、動画撮影時はROIを用いてクロップすれば良い。そして、そこまでするなら冷却モデルにしておけば視直径が小さく明るめのDeppSky天体も冷却撮影できる(現在所有している「ASI294MC Pro」は、感度は良いがピクセルサイズが4.63μmと粗めなので小さい天体では解像度が不足気味)。冷却モデルは256MBのバッファメモリが付いているのも有利に思う。

そんな感じで2019年の年末からずっと迷っていたのだが、年末のZWO製品の割引セール中に決めきれず、値段が上がってしまった。その後、2月上旬に東京に行く機会があり、KYOEI東京店に立ち寄り相談すると、おおむね上記の考えで合っているとのこと。価格以外のデメリットとしては、「電源確保の必要」と「カメラ重量の増加」が考えられるそうだ。自宅での使用のみなので電源は問題ない。重量増加は31.7mm径での接続で強度的な不安があるかもしれないが、410gという重量はEOS Kissクラスのデジカメより軽いし、まあ問題ないと思う。在庫もあったので、そこでASI183MC Proを購入するに至った。

カメラ類と鏡筒はなるべくEOSマウントで統一して組み換えしやすくしているので、今回もカメラ本体のほか、「ZWO EOS-EFマウントアダプターII」と「ZWO IR/UVカットフィルター 2”」を同時購入。カメラにはEOSアダプターを付けたままにすることにした。IR/UVカットフィルターはホコリ侵入防止を兼ねて、EOSアダプターの中に装着したままにしている。

【追記】下記画像はマウントアダプターに「5mm延長筒」が付いているが、これは誤った使い方で、183MC ではこれを取り外す必要があるそうだ(こちら参照)

ASI183MC Pro, EOS-EFマウントアダプターII

これでEOSデジカメと同様に、各鏡筒に素早く脱着できるようになった。

コメント

  1. つき より:

    ASIいいね。

    • A-1 より:

      つきさん
      年末の割引セール中に買いそびれたのが悔やまれるところです。

  2. カイヤン二世 より:

    こんばんは。兵庫県のほぼ西端で天体写真を撮っているS38年生まれの男です。
    天体写真を始めた頃、質問させて頂いたことがあったと思います。
    機材の方は少しずつバージョンアップしてきましたが、処理技術が全く上達せず、写真投稿サイト「Photohito」に恥ずかしげもなく、駄作をアップし続けています。^^;

    この度、CMOSカメラの購入を検討している時、再び貴殿のHPに辿り着きました。
    迷っているのはZWO ASI 183MC(非冷却)とZWO ASI 294MC(非冷却)です。
    メインは月の撮影になると思いますが、私にとってはいずれも高価なので、月だけでは勿体無いので、小さな星雲や銀河も撮れるといいなという感じです。
    両機種(冷却機)をお使いのようなので、アドバイスが頂けると有難いと思い、厚かましく書き込みをさせて頂いた次第です。
    よろしくお願いいたします。

    • A-1 より:

      カイヤン二世さん、こんにちは。
      コメントありがとうございます。

      さて、CMOSカメラ両機種(AS294MC, ASI183MC)の印象ですが、星雲星団・銀河などDeepSky対象なら294MCの方だと思います。画像処理していて、淡い部分までS/N比が良好に浮かび上がってくるのは294MCの方でした。183MCの方は画素ピッチが小さい分、小さな星雲や銀河を大きく写せるのではと思ったのですが、そういう小さな天体は暗いものが多く、183MCの方では十分なS/N比が得られず、結局2×2ソフトビニングして294MCと同程度の解像度になってしまう(しかもS/N比は悪い)・・・。ということが多く有りました。そのため、画素ピッチが大きくても294MCを使い、場合によってはDrizzle処理をしたほうが結果的に良いのではという気がします。もしくはテレコンバータを使うとか。

      一方、月・惑星など十分な光量が得られる場合、やはり画素ピッチの小さなカメラのほうが解像度が高くなり有利と思います。私は月を撮らないので想像で申し上げますが、月は何よりも光量が豊富なので183MCの高解像度が活かせるのではないでしょうか。ただし、木星や土星の拡大撮影では(私の機材では)ちょっと画素ピッチが小さすぎて拡大し過ぎになり、結局462MCを追加購入したので、現状では183MCの出番は減っています。

      カイヤン二世さんは月がメインとのことですので、183MCの方が良いのかなと思うのですが、私自身のほうに月の作例が無いのであまり無責任なことも申し上げられず・・・。お役に立てず申し訳ございません。
      DeppSkyならば294MCの方が良いのは確実だと思います。月を優先して183MCを選択した場合、暗めのDeppSky天体を撮影する場合は2×2ビニングで撮るなど工夫が要るかもしれません(CMOSカメラでの撮影時ビニングは効果があるのかどうか、よくわからないのですが)。

      あと、294MC(フォーサーズ)のほうが183MC(1インチ)よりもセンサー面積が広い(写野が広い)のも考慮する必要があり、迷いますね・・・。

  3. カイヤン二世 より:

    A-1さん、こんばんは。
    早々にご回答下さり、ありがとうございました。
    CMOSカメラもカメラレンズと同じように、対象によって使い分けるべきなのですね。
    複数のCMOSカメラを所有することは経済的に難しいので、もう少し悩んでみます。
    参考になる情報をありがとうございました。
    今後もよろしくお願いいたします。

    • A-1 より:

      カイヤン二世さん、こんばんは。
      どちらを選んだとしても、特定の分野しか撮れないわけではなく、両方とも基本的には月面からDeepSky天体まで対応できます。
      「どちらかというと、高精細か高感度のどちらを優先するか」ということだと思います。
      買い物について、あれこれ考えている間も楽しいですね。

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