ビクセン ポラリエ

先日、ビクセンのポータブル赤道儀「ポラリエ」を購入したので、自宅ベランダで試運転を行った。

私の所有しているポータブル赤道儀は、1998年に購入したケンコーの「スカイメモR」のみで、これを15年間ずっと使ってきた。今では外装もボロボロだが、先日オーバーホールに出してメンテしてもらい、まだまだ使い続けられそうな感じである。

スカイメモRは上記のように実績もあって信頼しているが、ポータブルというにはちょっと重い。初期の頃は専用三脚を用いて200mmレンズで撮影していたので、小型赤道儀に近い大きさであった。別機材で直焦点撮影を行うようになってからは、カメラ三脚に載せ替えて、それなりに軽量化を図ってきたが、家や車からちょっと離れた所へカメラバッグやミニボーグと共にヒョイと持っていける小型のポタ赤が必要と常々感じていた。

今秋にはアイソン彗星が接近することもあって、やはり機動力が必要と思い、今の時点で購入を決めた。

撮影時の機材構成は下の画像のようになる。

三脚とポラリエ間の雲台は「ベルボン QHD-63」、ポラリエにカメラを付けるための雲台は「ベルボン QHD-53」とした。三脚はとりあえずベランダにあった「スリック エイブル300EX」を使ったが、ちょっと頼りない感じがする。これは固定撮影用に買った軽い三脚なので、もう少ししっかりした物が欲しい。

ポラリエの電源は単3電池2本、または外部USB接続バッテリーの2通り有る。「チョイ撮り」の時は夜露よけヒーターも使わないので、単3エネループを用いれば、コード類はカメラのタイマーリモコンだけになる(ポラリエはエネループでも動作した)。暗闇のコード類は、引っかけたり、様々なトラブルの元なので、出来るだけ少ない方が良い。

ベランダでは上の構成で良いが、野外で長時間撮影する際は、やはり夜露よけヒーターが必須である。ポラリエも単3電池では2時間程度しか保たないそうなので、外部バッテリーも用いたい。そこで、USB電源出力が2つあって、比較的安価な大容量モバイルバッテリー「cheero Power Plus 2 10400mAh」を用いる事にした。

ヒーターは「よこたさんのヒーター USB電源用 タイプ6M 赤ラベル」を使うことにした。夜露対策は、銀塩時代から桐灰カイロや、使い捨てカイロ、最近ではエネループカイロなど色々試してきたが、どれも今ひとつだった。寒いときにすぐ消えたり、レンズとの接触面積が小さいと効果が小さかったりする。

しかし「よこたさんのヒーター」にしてからは、(私の所有する12cm以下の屈折鏡筒・レンズにおいては)夜露が付いた事は一回も無い。特にエネループやモバイルバッテリーで運用できるようになってから、大変使い勝手が良くなった。以前は自分で単3エネループ用電源ボックスを付けたりしていたが、現在はよこたさん本家の方で単3用モデルも作ってくれている。こちらの方がショートの対策もされていて安心だ。

話がヒーターの方へそれたが、野外では下の画像の構成になる。

コード類が、「カメラのタイマーリモコン」、「夜露よけレンズヒーターの電源」、「ポラリエの電源」の3本になっている。ゴチャゴチャしていて、お手軽度が低下しているが、どれも必要な物なので仕方が無い。

バッテリーとタイマーコントローラーは、三脚のストーンバッグに入れている。

さて、試写についてだが、自宅ベランダからは北極星が見えないため、横にあるSE2赤道儀の極軸を参考にして置いただけである。そのため、ポラリエ自体の精度を確認する事は出来ていない。精度を評価するには少なくとも純正の極軸望遠鏡でキッチリ極軸設定する必要がある。

純正の極軸望遠鏡は結構高価なので、購入するかどうか迷っている。精度が必要な場合はスカイメモRの出番だと思うし、ポラリエはラフな設置で手軽に撮るための道具と思えば不要なのだが、やはりそこに機械がある限り、その限界を試してみたいと思うのが人情である。

いずれにせよ、今回は極軸が合わせられないので、EOS 60Da + 100mmレンズで、30秒露出に留め、特にモバイルバッテリーでの正常動作を確認した。

試写対象として、オリオン座の中央部を狙った。

20131014_Orion
オリオン座中心付近の星野 馬頭星雲~M42(光害地)
  • 【環境】2013/10/14 3:04 – 3:54/兵庫県加古川市/気温15℃/光害レベル:SQM-L測定値=18.1
  • 【光学系】EF100mm F2.8L マクロ USM -> F4.0
  • 【カメラ】EOS 60Da
  • 【架台・ガイド】ビクセン ポラリエ/ノータッチ恒星時追尾
  • 【ソフトウェア】<処理>(下記の通り)
  • 【撮影法】ISO1600, 30sec. x 94コマ
  • 【処理法】:RStacker(ダーク・フラット)、Lightroom4.4(現像)、 ステライメージ7(合成・調整)、PSCS6(調整)、 4×4ソフトビニング後、周辺部をトリミング

やはり光害地では、フラット処理をしても、その後の画像処理が難しく、光害に埋もれた星雲を出そうとすると背景の色ムラに悩まされる。色々試しているうちに変な色合いになってしまった。周辺部はどうしようも無いのでトリミングでカットした。やはり時間を掛けても光害の少ない所へ行った方が良い。
とは言え、一応M42(オリオン大星雲)、M78、馬頭星雲、燃える木、バーナードループの一部が写っている。

カメラ出力のJPEGは下のような感じ(1コマのみ・縮小のみ)。 光害レベルは18.1程度と、自宅にしては良好な値だったが、ISO1600, F4.0, 30sec.でここまで白くなってしまう。

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