タランチュラ星雲(リコー・リモート天体撮影サービス)

タランチュラ星雲(NGC2070)
NGC2070 タランチュラ星雲(かじき座の散光星雲) SHO合成
  • 【環境】2024/11/13 0:15 ~ 2:10(UTC +11:00) / オーストラリア サイディング・スプリング/気温 不明/光害レベル:不明(月齢11の月明あり)
  • 【光学系】RA501: Dall-Kirkham Astrograph D=510mm, f=2259mm (F4.4)
  • 【カメラ】FLI PL-09000
  • 【架台・ガイド】Planewave Ascension 200HR赤道儀:恒星時追尾・オートガイド無し
  • 【ソフトウェア】MaxIm DL Version 6.30
  • 【撮影法】センサー温度 -25℃
    • SII:300sec. x 9コマ、 Hα:300sec. x 6コマ、OIII:300sec. x 6コマ、
  • 【処理法】
    • 前処理(リニア):
    • 画像キャリブレーション(ダーク・フラット補正)は撮影サービス側で実施。
    • PixInsight: DBE, PCC, BlurXTerminator, NoiseXTerminator, SHO合成
    • 後処理(ノンリニア):ステライメージ9・Photoshop
    • 50%に縮小

リコー・リモート天体撮影サービスを用い、オーストラリアの51cm望遠鏡で撮影した、かじき座の「タランチュラ星雲」。

月齢11の明るい月が出ているときだったので、SII、Hα, OIIIのナローバンドフィルターで撮影し、SHO合成を行った。私自身はモノクロカメラを所有していないので、これまでモノクロのナローバンド撮影を行ったことは無く、SHOやHOOなどの合成処理も経験が無かった。そのため今回の画像処理が初めてのナローバンド合成となった。

事前に知識としてはあったが、やはりSIIが暗い。撮影コマ数はSIIは9コマ、その他は6コマとSIIを多めにしてはいたが、それでも暗い。結果として単純にSHO合成するとほとんど緑色(Hαが支配的)となってしまった。そこで蒼月城さんの動画などを参考にして、赤色と青色を強調してみた。ただ、これまでの単純なカラー撮影RGB画像とはかけ離れた色合いなので、さじ加減が全く分からなかった。とりあえず、背景の星の上に星雲のフィラメントが網目のように分布するイメージに仕上げてみた。

苦労したのはSHO合成の色合いだけでなく、フラット補正も。この撮影サービスは以前からフラット補正があまり合っておらず、特に四隅の過補正が顕著で、四隅が浮き上がったように明るくなる。これはPixInsightのDBEでも補正し切れず、最後はステライメージのカブリ補正を用いて何とか誤魔化した。ダーク・フラット処理をサービス側で実施してくれるのは助かるが、その処理内容の精度をもっと上げてもらいたいと思う。なお、以前はダーク処理後もホットピクセルがかなり目立ったが、今回はそうでもなかった。もしかするとダークを撮り直したのかもしれない。

撮影予約時間は2時間だったが、望遠鏡の動作やフィルター切り替えなどで120分丸々露出できるわけではなく、もっと短くなる。今回は5分×21コマ=105分となった。光量が極端に減るナローバンド撮影で、たった105分だけの露光だが、星雲は良く写っていると思う。このタランチュラ星雲がかなり明るめの星雲ということもあるかもしれない。暗い天体を長時間露光しようとすると料金がかなりかかってくるため、今のところ出来るだけ短時間で写る明るい天体を選んで撮影していっている。

下の画像は、ピクセル等倍で星雲周辺部を切り出したもの。

ピクセル等倍ではさすがに淡い星雲部分のノイズが目立つ。これはもっと長時間露光すれば滑らかになると思うが、数万円単位の課金になってしまうので、あきらめた。今のところ2時間がせいぜい。

ナローバンド合成については、素材があれば合成方法や処理内容を変えて色々と試行することができるので、しばらく楽しめそう。カラーマッピングなどもやってみたいと思う。

それから、タランチュラ星雲の位置は下図の通り。

タランチュラ星雲の位置

タランチュラ星雲は大マゼラン雲のなかにあって、周囲には同じような散光星雲や散開星団も多い。もう少し広い写野で撮影してみたいところ。

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