モバイルバッテリーによるPentax KPへのUSB給電

【注意】この記事の工作内容は、メーカー保証外となる機器故障や火災の原因となる可能性があります。試される場合は自己責任にてお願いいたします。

(現状)純正ACアダプターによる給電

アストロトレーサーが使えるPentax KPは現在屋外での天体撮影のメイン機として活躍しているが、その弱点の一つがバッテリー(D-LI109)の容量の少なさである。寒い季節に屋外でライブビューを多用していると1時間ももたない。今のところバッテリーは2個用意しているが、それではとても一晩はカバーできない。バッテリーグリップを使うという手もあるが、それでも朝までもつか不安だし、せっかく小型軽量のKPが大柄になってしまう。それに入れる大容量バッテリーも追加で買う必要があるので、かなり高価になる。

そのため、流星群撮影など長時間使用する際には外部給電を行っているが、その手段は、純正のものとしては100VのACアダプター(K-AC167J)しかない。仕方がないので、これまでは100V出力可能なモバイルバッテリーと組み合わせて野外に持ち出していた、

Penax KP用 純正ACアダプター(K-AC167J)とAC100V出力可能なモバイルバッテリー
Penax KP用 純正ACアダプター(K-AC167J)とAC100V出力可能なモバイルバッテリー

ACアダプターの出力は、DC8.3V、2.16Aとなっている。給電用コネクタは特殊な形状。

純正ACアダプター(K-AC167J)出力表示
純正ACアダプター(K-AC167J)出力表示

しかし、このモバイルバッテリーもACアダプターも大きくて重い。とても小型リュックに入れて徒歩で持ち歩く気になれず、アストロトレーサーによるKPの機動性を損なっている。


非純正品の給電アダプター検討

そこで、非純正(サードパーティー)品でモバイルバッテリーからKPに給電可能なアダプターをWEBで探してみたが、「KP用」と明記されたものは存在しなかった。しかし、CTJ社の「CASE RELAY USB外部電源供給器」(CRUPS110)というものが、「CRCHRS1」というケーブル使用で「K-1 / K-3 / K-3II / K-5 / K-7 / K10D / K20D / K645D / K645Z」に対応するらしい。出力電圧は8VなのでKPにも適合するはずだが、コネクタ形状がKPに合うかどうか不明。ヨドバシの拡大画像ではKPの純正ACアダプターと同じコネクタに見えるので、おそらく適合するはず(KPだけ極性を逆にするなどはしていないはず)。でも確証はない。

問題は価格で、ヨドバシでは外部電源供給機本体(CRUPS110)が9,900円、ケーブルが5,500円、合計で15,400円もする(Amazonだともう少し安い)。ヨドバシで扱っているものなので怪しい商品ではないと思うし、電圧変換部に1200mAhのバッテリーが内蔵されていてモバイルバッテリーの付け替え時などにも連続して稼働できるなどの利点はあるが、非純正で適合するかどうか分からないので躊躇する(安ければ「ダメ元」で買ってみるところだが)。

なお、外部給電コネクタではなく、ダミーバッテリー方式のものもあるが、KPは電池フタにケーブル引き出し用の溝が無く、ふたが閉められなくなるので避けたい。


自作用の部品集め

そこで、もうすこし安価に済ませるため、AmazonでモバイルバッテリーのUSB出力からの電圧変換アダプターと、KPに適合するかもしれないコネクタつきケーブルを調達して自作することにした。

まず、モバイルバッテリーUSB出力から8Vへの電圧変換だが、これはキャノンEOS用電池「LP-E6」互換のダミーバッテリー方式給電アダプター(F1TP ACK-E6 LP-E6 DCカプラーキット)を流用することにした(Amazonのリンク)。おおむね2500円。出力は8V・3AなのでKPにも適合するはず。これを購入するメリットとしては副産物として、現在も現役で使っている「EOS60Da」もモバイルバッテリー運用できるようになること。

USB-CからLP-E6ダミーバッテリー(8V)への変換アダプター
USB-CからLP-E6ダミーバッテリー(8V)への変換アダプター

電圧変換部とダミーバッテリーの接続は外径5.5mm/内径2.1mmの標準的なDCコネクタになっており、取り外しできる。この製品シリーズでPentaxの特殊な外部電源コネクター版があれば、それで目的達成なのだが、残念ながらPentax用は無いようだ。

そこで、今回はこの標準的なDCコネクタからKPの特殊な外部給電コネクターへの変換ケーブルが必要になる。これを入手する第1案は、最も確実な純正ACアダプター(K-AC167J)のコネクター部を切断して用いること。ただ純正ACアダプタは高価(8000円弱)なので、コネクター入手だけのために壊してしまうのはもったいない。

第2案は上記のCTJ社のPentax用ケーブル「CRCHRS1」を用いること。これは純正ACアダプターより安いし(5500円)、DCコネクタ部が5.5mm/2.1mmらしいので、無加工で使えるはず。ただしKPに適合するかどうかは不確実。

第3案は、Amazonで非純正の安価なPentax用ACアダプターを買って切断すること。これもコネクタの適合が不明だが、これは2500円程度と安いので、とりあえずこれで行くことにした(Amazonのリンク)。なお、出力は8.3V・2Aとの表示がある。

非純正Pentax用ACアダプター (D-AC50)
非純正Pentax用ACアダプター (D-AC50)

最後に、この非純正ACアダプターから切り取った特殊形状コネクタ付きケーブルを、電圧変換部からのDCコネクタ(オス)に接続するため、DCコネクタ(メス)付のケーブルが必要になるが、これは手持ちのDC延長ケーブル(5.5mm/2.1mm)を切断して調達した。

DCコネクター(5.5mm/2.1mm)メス付きケーブル
DCコネクター(5.5mm/2.1mm)メス付きケーブル

電圧と極性の確認

まず一番初めに、非純正ACアダプター(D-AC50)のコネクターがKPに対応しているのかどうかを、切断する前にAC100V電源につないで確認した。

非純正Pentax用ACアダプター (D-AC50)動作確認
非純正Pentax用ACアダプター (D-AC50)動作確認

KPのバッテリーは抜いた状態で、バルブ撮影と撮影画像の表示ができることを確認した。背面表示にもDC-INの表示が点灯した。これでコネクターはKPにも対応することが確認できた。

次にコネクター部のケーブルを切断し、ACアダプターからの出力電圧と極性をテスターで確認した。

非純正Pentax用ACアダプター (D-AC50)電圧確認
非純正Pentax用ACアダプター (D-AC50)電圧確認

赤色の線がプラス側で、電圧は8.27V。つまり、切り取った特殊コネクタが付いたコードの赤色側にプラスの電圧がかかるようにすればよい。

給電側については、ダミーバッテリー方式給電アダプター(F1TP ACK-E6 LP-E6 DCカプラーキット)の電圧変換部に、メスのDCコネクター付ケーブルを接続し、ケーブル端のコード露出部で電圧を確認した。なお、USB-C出力のモバイルバッテリーをまだ持っていないので、とりあえずUSB-C出力のUSB充電器を使用した。

USB-Cからの電圧変換部の電圧と極性チェック
USB-Cからの電圧変換部の電圧と極性チェック

赤色の線がプラス側で、電圧は8.11V。つまり、特殊形状コネクター付きケーブルと同じ色同士の線をつなげればよい。電圧も問題なさそう。


結線と動作確認

電圧と極性の確認が出来たので、USB-Cからの電圧変換出力と、特殊形状コネクター付きケーブルを結線した。

はんだ付けは苦手なので圧着で処理した。圧着は「突き合わせ」が直線的でスッキリするが、これも苦手なので「重ね合わせ」で。圧着後は熱収縮チューブとホットボンドで慎重に絶縁した。

重ね合わせ圧着
重ね合わせ圧着

接合部に負荷が掛からないように弛ませて折りたたみ、布テープを巻いて完成。

DCコネクタ(5.5mm/2.1mm)メス~KP外部給電コネクタのケーブル完成
DCコネクタ(5.5mm/2.1mm)メス~KP外部給電コネクタのケーブル完成

このケーブルを、USB-Cからの電圧変換部のDCコネクタ(オス)に接続して使用する。

ここで、USB-Aメス→USB-Cメスのアダプタが見つかったので、Anker Powercore Speed 20000という、USB-Aの出力しか無い古めのモバイルバッテリーて動作確認した。

(2022/8/1追記)このUSB-Aメス→USB-Cメスのアダプタは規格外のようで、本来使ってはいけないものらしい。実際この状態で長時間使用試験中に発熱もあったので、危険を感じてアダプタ使用を中止。今後本格的な運用にはUSB-CコネクタでPD出力対応のバッテリーを調達予定。

モバイルバッテリーからKPへの外部給電テスト
モバイルバッテリーからKPへの外部給電テスト

その結果、2つあるUSB-Aポートのうち、3A出力のポートで動作確認できた(バルブでの撮影と記録された画像の表示、ライブビューの動作)。しかし2A出力のポートでは動作しなかった。


動作状態での電流値を測定

手元にUSB-Aタイプの簡易な電圧・電流チェッカーがあったので、使用状態で測定した。

まず、カメラへの接続コネクター部を外して、無負荷で動作させてみた。

無負荷での電圧・電流

このとき、バッテリーからの出力電圧は9.23[V]になっている。もう少し詳しく言うと、接続してバッテリーのスイッチを入れた瞬間は5[V]だが、すぐに9.23[V]に切り替わる。これはQC2.0かQC3.0、もしくはPD3.0の機能で9[V]出力に切り替わったものと思われる。このモバイルバッテリーは少し古くてPDには対応していなかったと思うので、おそらくQCの規格で動作している。つまり9[V]出力に対応したQC、PDなどの規格のポートに接続する必要があると思う。

ここで、カメラ側に9[V]が供給されているのではないか、という不安があったので、DCコネクタ側をテスターで測定すると、ちゃんと8.1[V]となっていて安心した。つまり5[V]からの昇圧ではなく9[V]からの降圧になっているようだ。

次に、カメラに接続して、各状態での電流値を確認した。下の画像はライブビューの時の例。

ライブビュー時の電圧・電流
ライブビュー時の電圧・電流

結果は下記の通りとなった。電圧はおおむね9.2[V]なので、消費電力は電流値の9.2倍[W]になる。

  • カメラ電源ON時・OFF時:0.52[A]/4.8[W]
  • ライブビュー時:0.52[A]/4.8[W]
  • バルブ露光時(背面表示OFF):0.42[A]/3.9[W]
  • アイドル時(背面表示ON):0.16[A]/1.5[W]
  • 撮影画像表示時:0.16[A]/1.5[W]

やはりライブビューは電力を食うようだ。

これでどのぐらいバッテリーが電池が持つか考える。ライブビューとバルブ撮影を半々の割合で連続して行うと仮定すると、消費電力は(4.8+3.9)÷2=4.35[W]。このモバイルバッテリーは20000[mAh]/72.36[Wh]という表記があるので、平均4.35[W]で連続稼働すると、72.36÷4.35=約16.6時間となる。星野撮影や流星撮影など、バルブ撮影の時間がほとんどを占める場合は18.6時間。

実際は低温による性能低下や、劣化による容量低下、容量の公称値と実際の差があってこれより少なくなるはず。少なめに半分程度と考えても約8~9時間なので、一晩はもちそう。ただしポータブル赤道儀の電源や広角レンズ用の大きな露避けヒーターを同じバッテリーに繋いだ場合などは一晩もたないかもしれない(実際やってみないと分からないが)。


それから、ダミーバッテリーを用いたEOS 60Daへの接続についても、2Aポートでは動作せず、3Aポート(QC3.0)で正常動作した。

F1TP ACK-E6 LP-E6 DCカプラーキットをEOS60Daへ接続
F1TP ACK-E6 LP-E6 DCカプラーキットをEOS60Daへ接続

こちらはF1TPの本来の使い方なので、正常動作して当然と言えば当然。

そういうわけで、Pentax KPとCanon EOS 60Daについて、モバイルバッテリーによる外部給電運用の目途がついた。今後、実際に使ってみてどの程度もつかなどを試してみたい。

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