クローズアップレンズによる簡易フラットナー/レデューサー

FLT98は直焦点での周辺星像が悪くフラットナーの必要性を感じていたが、クローズアップレンズがフラットナー/レデューサーの代わりになるようなので、とりあえず試してみることにした。

クローズアップレンズ
クローズアップレンズ

購入したクローズアップレンズは、52mmサイズで、

・ケンコー クローズアップレンズ AC NO.2(以下、No.2)
・ケンコー クローズアップレンズ PRO1D AC NO.3(以下、No.3)

の2つである。両方ともアクロマートだが、No.3の方はデジタル対応のマルチコートを施しているそうだ。

クローズアップレンズの装着
クローズアップレンズの装着

望遠鏡への装着はBORGパーツを利用するのが手軽だ(上の画像参照)。接続は望遠鏡側から順に、

(a) FLT98 2インチ接眼部
(b) BORG #7425 <50.8→M57/60AD>
(c) BORG #7602
(d) クローズアップレンズ
(e) BORG #7506 <2インチホルダーSS>
(f) BORG #7602
(g) BORG #7000 <カメラマウントホルダーM>
(h) BORG #5005 <カメラマウントキヤノンEOS用>
(i) EOS Kiss X2

となる。(c)の延長筒S(20mm)は、これがないとクローズアップレンズが邪魔になって(b)と(e)が接続できないために入れている(これがクローズアップレンズを覆うような形になる)。

また(f)の延長筒は、カメラのセンサーとクローズアップレンズの距離(以下、“L”とする)を調整するために入れている。おおよその距離を測ると、(f)無しの場合L-80mm、(f)有りの場合L=100mmであった。

これらの組み合わせによって焦点距離・F値は下表の通りとなる。

(1)直焦点 (2)No.2 (3)No.2+延長20mm (4)No.3
L 80mm 100mm 80mm
合成焦点距離 618mm 517mm 493mm 465mm
F値 6.3 5.3 5.0 4.8

焦点距離の計算は、撮影結果画像上の星の距離を測定して換算した。なお、No.3と(f)の組み合わせではドローチューブをいっぱいに縮めてもピントが出なかった。

さて、試写であるが、共通条件は下記の通り。

・【望遠鏡】 FLT98 (D=98mm F=618mm)
・【カメラ】 EOS Kiss X2、ISO1600、露出15秒
       長秒時ノイズ低減=ON 、高感度ノイズ低減=ON
       JPEG出力
・【ガイド】 ケンコーSE2赤道儀 ノータッチガイド

試写の結果、中心付近と周辺部のピクセル等倍での比較を以下に示す(サイズは1200×800)。

【中心付近】 
【中心付近】 
【左上】
【左上】
【左下】
【左下】
【右上】
【右上】
【右下】
【右下】

クローズアップレンズを入れた場合はどれも周辺星像が改善された。No.2の場合は比較的「丸」に近いが少しぼやけた感じで、No.3は菱形のようなかたちになった。いずれも中心部ほどのシャープな星像にはなっていないが、そこそこ使えるのではないかと思う。

フラットナーが必要になるのは、撮影対象が写野の半分以上を占めるようなケースなので、WEBに載せる場合には1/3か1/4程度に縮小すると思う。そのため、縮小画像において星像がほぼ点になっていれば良い。そこで、ステライメージで3×3ソフトビニングした画像を下記リンクに示す(サイズは1424×949)。

【直焦点】
【直焦点】
【No.2】
【No.2】
【No.2+延長20mm】
【No.2+延長20mm】
【No.3】
【No.3】

これらを見ると、星像に関して厳密なことを言わなければ、直焦点以外はどれもOKだと思う。印刷においても2L程度なら良いのではないかと思う。それよりも気になるのは周辺減光がかなり目立つことだ。減光が大きいとLPS-P2を使ったときなどのフラット補正が難しくなってきそうな気がする。

今回の試行の結果として、クローズアップレンズは安価な簡易フラットナー/レデューサーとしてFLT98と組み合わせても結構使えることが分かった。これは性能はそこそこだが、レンズや延長筒の組み合わせを変えることによって様々な撮影条件に対応できることが強みだと思う。あと未確認事項として、ゴーストやフレア、LPS-P2による色むらなどについては、今後使いながら確認していきたい。

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