【機材】 LVI スマートガイダー (3)

前回前々回のテストでは、ガイド鏡として遠征持ち出し用のミニボーグ60EDを用いた場合、3等星以下の暗いガイド星での精度が良くなかった(実用上何とか使える精度は出るが、不安定で歩留まりが悪い)。それはおそらく、暗い星では露出時間が長くなるため、赤道儀への補正信号送出間隔も長くなってしまい、細かな制御が出来ないためだと思われる。

そこでその後、ガイド鏡の構成を色々変えて試してみた。

機材はこれまでと同じく、赤道儀がケンコーSE2、撮影鏡がW.O社FLT98CF(D=98mm, f=618mm)、カメラがEOS Kiss X2、LPS-P2使用、レデューサーなしである。

まず、前回・前々回と同じガイド鏡のミニボーグ60ED(D=60mm,f=350mm)であるが、ガイド鏡に付けるバローレンズをこれまでの1.5倍のものから2倍のものに変え、合成焦点距離を約700mm程度に伸ばしてみた。

しかし、これで3.8等の星を入れてキャリブレーションを開始すると、星を見失う現象(STAR LOST)が頻発した。ガイドスピードを落としてもこの現象が出てしまう(F値が11.6と暗いためか?)。そのたびに星の検出からやり直しとなり、かなり時間の無駄が生じてしまった。なんとかキャリブレーションが成功しても、ガイド時にも星を見失うこともあり、気分的にもストレスが溜まるし、結局あきらめた。

次に、ガイド鏡の焦点距離を短かくして明るさを稼いではどうか、ということで、バローレンズを外してみた(焦点距離350mm)。しかしこれでは、AGGRESSをHIGH(5~6)にしても星が流れてしまった。やはり撮影鏡と同じ程度の焦点距離は必要なようだ。

(↑)ガイドの様子。Xが赤経方向だが、短焦点の割にはふらつきが大きい。

(↑)5分露出・中心付近の等倍切り出し。5分でもはっきり流れている(ピントも甘い)。


それなら、ガイド鏡の口径を大きくして明るさと焦点距離を両立させるしかない、ということで、ガイド鏡をベランダ撮影のガイド鏡であるSE102(D=102mm,f=500mm)に替えてみた。すると、3.8等星でも露出時間が1秒以下になり、かなり細かい時間間隔で補正が出来るようになった。これでAGRESSをHIGH(5)にすると、ほぼ正常にガイド出来るようになった。

(↑)ガイドの様子。誤差は小さい。

(↑)10分露出・中心付近の等倍切り出し(構図ミスでM42が中心から外れてしまっている)。星像がやや歪んでいるが許容範囲。同条件での10分露出を8コマ撮影したが、そのうち7コマがガイド成功。1コマはやや大きめの星の流れがあった。


結局、私の機材環境においてスマートガイダーで安定したガイドを行うためには、6cmガイド鏡で2等星以上のガイド星が必要であり、3~4等星を使いたければ10cmガイド鏡を持ち出さなければならないことが分かった。

よって、現状では遠征時のオートガイド方法に3つの選択肢がある。

  1. スマートガイダー使用。ガイド鏡をミニボーグ60EDとして、ガイドマウントで2等星以上のガイド星を頑張って探す。2等星が近くにない対象は撮らない。
  2. スマートガイダー使用。ガイド鏡として、SE102を頑張って持ち出す(4等星までガイド星に出来る)。
  3. iAG使用。ガイド鏡をミニボーグ60EDとして、頑張って大きめのバッテリーとノートパソコンを持ち出す。

いずれにしても、どこかで頑張らないといけなくなった。

あまり頑張りたくないのでスマートガイダーを買ったのだが・・・。
やはり、お手軽路線としては「1」が妥当か。

#追記

誤解の無いように補足しておきます。

スマートガイダー自体は、6cmのガイド鏡でも3~4等星の認識は出来て、キャリブレーションとガイドも出来ます。ただ、暗い星ほど露出時間が長くなるので、スマートガイダーから赤道儀への補正信号の送出間隔が長くなります。

ここで私の機材構成においては、補正信号の間隔が1秒以上になるとガイドの精度が悪くなります。これは、赤道儀側のガイドスピードの設定やスマートガイダー側の各種設定を変えてもなかなか改善出来ませんでした。試行錯誤の結果、ガイド星の明るさを確保して補正信号の送出間隔を短くするという解決策は、私の機材構成においての話ですので、一般論ではありません。

したがって、長めの補正間隔でもOKなシステムなら、6cmで3~4等星でも問題なくガイド出来ると思います。

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