【機材】 LVI スマートガイダー (2)

前回のテストで、2等級のガイド星を用いたガイドはうまくいったが、4等級ぐらいのガイド星では星が流れてしまった。暗めの星では露出時間が自動的に長くなってしまい、それにつれて赤道儀への修正信号の送出間隔も長くなったため、設定が合わなくなったのだろう。残念ながらそのときはカメラの電池切れでそこまでとなっていた。

そこで翌日、暗めの星でのガイドを再試行することにした。機材は前回と同じで、撮影対象も同じM42である。
ガイド星は、オリオン座のη星(3.4等)とした。ガイドマウントがあれば、3.5等~4.0等程度のガイド星は見つかるだろうということで、今のところ4等より暗い星は考えないことにした。

星の導入・検出を済ませ、ガイドスピード0.5倍にてキャリブレーションを行った(ここまでの所要時間が約5分程度である)。
まず、詳細設定をしない状態でガイドしたが、赤経側が振動してしまった。そこでガイドスピードを0.25倍まで下げたが、まだ誤差が大きいので、次に詳細設定を行うことにした。

詳細設定といっても、項目は「AGGRESS」のみである(赤経と赤緯それぞれ独立に設定出来る)。これは1(LOW)~6(HIGH)までの6段階になっており、ピクセル単位でどれだけズレたら修正をかけるかという設定である(最小反応しきい値)。これは、下式で表される。

ピクセル単位の最小反応しきい値 = 7 - AGGRESS値

つまり、AGGRESS値が1なら、6ピクセル分ズレたら修正をかけるというもので、かなり緩いしきい値である。また6なら、1ピクセル分ズレただけで修正をかける。なので、あまり緩くしすぎると精度が低下してしまう。ただ今回はデフォルトのAGGRESS=5ではうまくいかなかったので、4に落としてみた。

結局、キャリブレーション時のガイドスピード=0.5倍、ガイド時のガイドスピード0.25倍、AGGRESS(赤経)=4、AGGRESS(赤緯)=4で、そこそこ精度が保たれるようになった。

若干流れが見られるが、実用上は許容範囲だろう(ピクセル等倍で使うことはあまりないので)。それでも、前回の明るい星をガイド星にしたときより精度が悪いのが気になる。

今回のガイド鏡はミニボーグ60EDで、口径60mm、焦点距離350mmに1.5倍バローレンズを付け、500mm程度にしているが、撮影鏡筒の焦点距離が618mmなので、ややガイド鏡の焦点距離が不足なのかもしれない。AGGRESS値を緩めにしたので、その分ガイド鏡の焦点距離を伸ばす必要があるのだろう。次回はバローレンズを2倍にして試してみたい。

なお、もう一度2等星をガイド星にして、設定を前回と同じに戻して試してみたが、なぜか誤差が大きくなってしまった。それに明るい星なのに、たまにガイド中に星をロストしてしまう現象も生じた。このように、まだよく分からない点が多い。

このガイダーは設定出来る項目が少なく、それが手軽なところではあるが、そのためにベストのガイド条件を得るのが難しいと思う。ガイド鏡&バローレンズを固定とすると、調整出来るのは下記のみである。

(a)ガイド星の明るさ(ガイドマウントの可動範囲でガイド星を選択)
(b)キャリブレーション時のガイドスピード
(c)ガイド時のガイドスピード
(d)赤経・赤緯のAGGRESS値

さて、このスマートガイダーを使ってみて、気にかかった点は下記の通り(ただし、まだ2回しか使っておらず、コツをつかんでいなくて取り扱いにも慣れていない状態での感想なので、慣れてくると使いこなせるのかもしれない)。

  1. 星の検出に時間がかかる&すぐに星をロストしてしまうところ。
  2. 露出時間が自動で決まってしまい、調整出来ないところ。
  3. 赤道儀への信号送出間隔が自動で決まってしまい調整出来ないところ。
  4. 修正量を調整出来ないところ(赤道儀への修正信号を、キャリブレーションデータから導かれた最適値100%ではなく、少なめに調整したい)。

ただし、(4)については「キャリブレーション時とガイド時で、ガイドスピードを変えることで対応する」ということなのだと思う(説明書にも、ガイドスピードを調整することで精度を調整するように書かれている)。そのため、ガイドスピードが固定の赤道儀では、精度の調整が難しいのではないだろうか。

これまでの印象をまとめると、下記の通り。

「コンパクトで設置が簡単、低消費電力、ボタンを押すだけの簡単操作など手軽にガイド出来る。しかし、星の導入やガイド条件の設定については慣れとコツが必要。それが決まれば、ガイド自体は安定している」

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