私が所有しているポータブル赤道儀「スカイメモR」は1998年に購入したもので、もう20年以上が経つ。1997年に、「ヘール・ボップ彗星」の接近をきっかけとして学生時代以来離れていた天文活動を再開したのだが、そのときはまだ赤道儀を持っておらず固定撮影のみだった。ヘール・ボップ彗星は大彗星だったので銀塩フィルムの標準レンズ固定撮影でも十分写せたが、望遠レンズではすぐに流れてしまった。その後、星雲星団撮影ではやはりガイド撮影できると良いかと思い、その翌年購入した。今思えば、ヘール・ボップ彗星接近時に思い切って買えばよかった。
当時のカメラはまだ銀塩フィルムが主流で、CCDは超高価で高嶺の花。私はキャノンNew F-1やEOS55をスカイメモRに載せて撮影し、その間は7cm双眼鏡で観望するというスタイルで、峰山高原・砥峰高原や太田池によく通った(銀塩時代)。銀塩一眼レフでの構図決めは光学ファインダーのみ。散光星雲などは(M42のようによほど明るくない限りは)基本的に見えないため、星の並びを星図と交互に見比べて決めた。写野は透明シートに焦点距離別の四角い枠を描いて星図に重ねて確認する。この手順は例えるなら「人間Plate Solve」だが、今ではこれが手のひらサイズの小型コンピュータで全自動で出来ると知ったら、当時の自分は腰を抜かすと思う。それに画像は帰宅後に現像をしないと確認できないというのも、「電視観望」が簡単にできる今では考えられない。
さて、そのような長い付き合いのスカイメモRも、最近はポラリエやJILVA-170など他のポータブル赤道儀の購入や、遠征回数の激減であまり出番がなくなってきた。しかし10年ぐらい前に一度内部の調整を天文ショップに依頼して実施したので、まだまだ元気に稼働出来そうだし、これからも活用していきたい。
そこで最近問題に思っていたのが電源。今の小型機器はUSB電源が主流だが、スカイメモRは単2乾電池4本。重さは大したことがないが、他の機器と共用が出来ないし、単2乾電池なんて今は他に使うことはほとんどない(古いタイプの目覚し時計ぐらい)。
入力指定値がDC6VなのでUSB電源の5Vでも動くかと思ったが、一応6Vと言われているので、ここは6Vを入れたい。注意点としては、極性が「センターマイナス」であること。今は「センタープラス」が主流なのでこれを間違えると壊れる可能性がある。
まず電圧変換のためにAmazonで下の画像のような電圧変換部品を購入した。
- 昇圧コンバータモジュール 調整可能 出力DC-DC 昇圧コンバータボード 電圧レギュレータ USB〜USB 5V〜6〜15V 電源トランスモジュール
点線の丸で囲んだつまみを小型ドライバーで回して出力電圧を調整できる。まずモバイルバッテリーに繋いで、無負荷の状態で6V+α程度に調整した。
次は極性を変換するための変換アダプターと、USB->DCジャック変換ケーブルも購入。
極性変換アダプターは下記のもの。
プラグの規格は、内径2.1mm、外径5.5mmで、極性変換アダプター、およびUSB->DCジャック共にそのサイズでOKだった。
センターマイナスの機器は電子楽器の分野で残っているようで、上記変換部品も楽器用のもの。プラグが赤色になっていて注意を引く所が良いと思う。
これらを繋いでスカイメモRに接続し運転してみたところ、問題なく動作した。
電流は0.04A~0.05A程度で、これは約0.25W~0.30Wとなる。単2乾電池4本で運用していても3晩ぐらいは平気で保っていたので、スカイメモRはポータブル赤道儀としてはかなり消費電力が少ないと思う。電流が小さいとモバイルバッテリーによっては自動的に出力がOFFになる場合があるので、この状態で6時間ほど動作させてみたが、このモバイルバッテリーでは正常に連続運転できた。もちろん極軸も6時間分回転している。
最後に、むき出しの電圧変換モジュールを布テープと熱収縮チューブで保護した。これで電圧調整つまみも動いたりしないと思う。何か枠のようなもので補強しようかとも思ったが、強い力が作用するところでもないし、面倒なのでやめた。電圧変換モジュールは安価なので、もしこれで折れるようなことがあれば差し替えて補強するようすれば良い。それよりも心配なのは、電気回路的な故障でこのモジュール最大電圧の15Vが出てしまわないかということ。本当は出力6V固定のモジュールが欲しかったが見当たらなかった。
あと極性変換アダプターについても、何かのはずみで取れてしまってセンタープラスの状態で繋いでしまわないよう、布テープで固定した。
スカイメモRの次の使用機会がいつになるかわからないが、とりあえずこれで使っていこうと思う。念の為に電池ボックスと新品の単2電池(新品で10年ぐらい保つエボルタ)は運搬ケースの中に入れておくつもり。
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