私は約3年前に初CMOSカメラとして「ASI294MC Pro」を購入して以来、メインの撮影ソフトにはずっと「APT(Astro Photography Tool)」を用いてきた。このソフトについては、使い始めはかなり戸惑うことが多かったが、さすがに3年も使っているとずいぶん慣れてきた。現在では特に問題なく撮影に使用できている。
3年前は安定性に欠けるところが目立っていて、運が悪いときには1晩に1~2回はフリーズしていたが、最近はそれも減ってきたように思う。しかしそれでもまだ時々フリーズすることもあるし、機能としてもまだ把握しきれていないものが多い。
「とても困っている」ということは無いが、もう少し安定していて使いやすいソフトがあるのなら、そちらに乗り換えるのも有りかと思っている。そこで、最近巷で使いやすいと評判の「N.I.N.A.(Nighttime Imaging ‘N’ Astronomy)」を試してみることにした。これはオープンソースソフトで無料で使用できるので、気軽に試しやすい。
導入(インストール)と、とりあえずデフォルトの状態での試写については特に迷うことは無かった。ユーザーインターフェースが分かりやすいのと、日本語化されているため、直感的に使える。各ウィンドウを自分好みに配置できるのも良い。
特にありがたい機能は、「スカイアトラス」と「フレーミング」。「スカイアトラス」はかなり多くの天体を網羅していそう。APTの方のオブジェクトブラウザーの方は、少しマイナーな天体が無いこともよくあって、手動で追加をしていて面倒だった。
「フレーミング」は、短時間露光では捉えられない淡い星雲の構図決めに便利と思う。
今回試写したのはM42オリオン大星雲だが、これは短時間露光で写るのであまり有り難みがなかったかもしれない。
それから、Plate Solveと赤道儀との同期、フレーミングした写野の自動導入も問題なく行うことが出来た。ただし、私の環境ではAPTのときも「PlateSolve2」が迷いがちで失敗することが多く、このN.I.N.A.でもその傾向は変わらなかったため、プレートソルバーとブラインドソルバーの両方を「ASTAP」にした。
PHD2との連携も特に設定することはなく、デフォルトの状態で動作した。
オートフォーカス機能については、デフォルトの状態では極小値を捉えられず、うまく行かなかった。これについては、もう少し情報を集めてちゃんと設定してみたい。
試写対象だが、20時前の早い時間であるのと、半月が輝いていて空が明るかったので、まずは明るくて超定番のM42オリオン大星雲をQuad BPフィルターにて撮影してみた。N.I.N.A.をインストールしてすぐ試写したが、問題なく撮影できた。
- 【環境】2022/1/10 19:20 – 22:15 / 兵庫県明石市/気温8℃/光害レベル:SQM-L測定値=17.5-18.5(月齢7.7の月明有り)
- 【光学系】R200SS + エクステンダーPH(1120mm F5.6)/ Quad BPフィルター
- 【カメラ】ASI294MC Pro
- 【架台・ガイド】ケンコーSE2赤道儀/ガイド鏡:ミニボーグ50+クローズアップレンズNo.2/ガイドカメラ:ASI178MM
- 【ソフトウェア】<撮影>N.I.N.A. 1.10 HF3/ <ガイド>PHD2/ <処理>(下記の通り)
- 【撮影法】センサー温度0℃・ゲイン200・オフセット30・180sec x 54コマ(合計162分)/PHD2によるオートガイド
- 【処理法】
- 前処理(リニア):PixInsight – WBPP, ABE, DBE, PCC
- 後処理(ノンリニア):ステライメージ9・Photoshop
- 3×3ソフトビニング・周辺部トリミング
ダーク画像、フラット画像、フラットのダーク画像についても、今回N.I.N.A.で撮影したものを使った。フラット撮影については「フラットウィーザード」機能があり、簡単に撮影できた。
今回始めてN.I.N.A.を使ってみた感想としては、分かりやすいユーザーインターフェイスで、使いやすいという印象。APTはこれまでの慣れがあるので、おそらく致命的なミスをしないであろうという安心感があるのと、APTにしか無い機能もあるために乗り換えにはちょっと迷うところ。
しばらくは、月明があるときなど、失敗しても諦められるようなコンディションのときにN.I.N.A.での練習を重ねてみたいと思う。
コメント