メシエ天体観測状況(2)・おとめ座銀河団一網打尽

2007年夏にメシエ天体(M天体)を手動導入で全部見るという目標をたて、それまでの観測履歴を一旦リセットして改めてカウントし始めたのだが、それから1年少し経過した昨年10月時点で、未観測数が21残っていた(そのときの状況はこちら)。残りのM天体は以下の通りであった。

  • 40, 46, 58, 59, 74, 84, 85, 86, 87, 88, 89, 90, 91, 95, 96, 98, 99, 100, 102, 105, 110

それから現在までに、46,74,87,96,105の5つを見る事が出来たので、残りは16個となっていたが、そのほとんどがおとめ座銀河団の系外銀河であり、強い光害地の自宅からの観測は無理なので、そこから未観測数を減らすことが難しかった。

しかし、一昨日の多可町への遠征にて、薄明終了時から快晴で黄砂の影響も比較的少ないという、おとめ座銀河団を一網打尽にするのに絶好の機会に恵まれた。そこで、「星雲・星団ウォッチング(浅田英夫著・地人書館)」を片手に、残りのM天体に挑んだ。

おとめ座、からす座付近。右側の一番明るい星は土星
おとめ座、からす座付近。右側の一番明るい星は土星
  • Canon EOS Kiss X2 / タムロン A16
  • 17mm F3.5 ISO400 300sec
  • プロソフトンA
  • スカイメモR/ノータッチガイド

おとめ座銀河団
おとめ座銀河団
  • Canon EOS Kiss X2 / EF200mmF2.8開放
  • ISO800, 120sec x4
  • スカイメモR/ノータッチガイド

なお、同時にスカイメモRと200mm望遠レンズでおとめ座銀河団の領域を写真撮影したが、マルカリアンの銀河鎖がちょっと切れているのが残念だ。


眼視用の機材はケンコーSE120(12cm・F5アクロマート)、ハイペリオンズーム、正立プリズム、正立ファインダー、等倍補助ファインダーである。実は、昨年末にも同じ場所・同じ機材でおとめ座銀河団を見ようとしたが、結局M87だけしか見る事が出来なかった。空の状態が悪かったのかもしれないが、そのときにはLPS-P2を持って行くのを忘れたので、それが敗因かもしれない。そう思って今回はLPS-P2を忘れず、正立プリズムのバレル先端に装着した。また、ハイペリオンズームは基本的に20mm(30倍)で使用し、状況に応じてズームアップした。

まず、初めはしし座の銀河。レグルスから星の並びをたどりM95(9.7等)を見つけた。しかしかなり淡く、初めは「そらし目」をする必要があった。しかし目が慣れてくると、ハッキリと認識できるようになった。ついでにM96,M105も再度確認。ついでのついでに、M65,M66,NGC3628(9.5等)のトリオも確認(しかし、ここではNGC3628はギリギリ見える程度であり、砥峰高原との光害の差を感じる)。

おとめ座銀河団
おとめ座銀河団

次はいよいよおとめ座銀河団である(上の星図は株式会社アストロアーツのステラナビゲータを使用)。デネボラから星をたどり、まずM98を確認、そこから更に周辺のM99、M100、M85を確認した。この辺りはあまり苦労せず、面白いように次々と導入出来た。昨年末に何も見えなかったのは、やはりLPS-P2が無かったためだろうか。

さらに東へ進み、M84,M86,M87,M58を確認。しかし、ここでM89(9.8等)がどうしても見つけられなかった。一旦あきらめて更に東のM59,M60を確認。

さて、M89を再度探すと、今度は確認出来た。本を赤ライトで見ながらの観測なので、目の暗順応の状態がその時々で違うのだろうか。M88は長細い形をハッキリと確認、M90も確認。

最後に残ったのがM91である。これはメシエの記録した場所には銀河が無く、位置が同定されていない(欠番扱い)。現在はNGC4548(10.2等)ではないかとの説が有力とのことなので、私もこのNGC4548説に従った。等級は10.2等であり、南天に光害が残る多可町&12cmでは無理なのかも、と思ったが、視野には入っているはずなので、しばらくそらし目をしているうちに見えてきた。これで、おとめ座銀河団のM天体を全て観測完了。

おとめ座銀河団を見ていて思ったのは、視野に入ってきて明らかに銀河だと分かる天体は全てM天体で、他のNGC番号のみ付いた銀河は全く見えず、誤認する事がなかったということ。やはりM天体は小口径の眼視で確認しやすいということだろう。

その後、欠番扱いのM40とM102を、有力な説に従い確認した。M40はおおぐま座の「ウィンネッケ4」という二重星とのことで、とりあえず確認。M102はりゅう座のNGC5866(10.8等)として、これも確認。M102については他の説もあるようだが、それらはどれも更に暗いので、この機材で見るのは苦しいだろう。

これで、メシエ天体をコンプリート、と思ったら、まだM110(M31・アンドロメダ大銀河の伴銀河)が残っていた。これはメシエ本人や助手がカタログに入れたものではないので、正式なメシエ天体ではないとの考え方もあるが、とりあえず見ておきたい。しかしM31は何度も見ているし、M32の方は「見た」という記録があるのに、M110の方はなぜか記録がない。ちゃんと伴銀河を意識して見ていないということだろう。いずれにせよ、この季節では無理だし、自宅からは(方角的に)見えないので、M天体コンプリートは夏までお預けである。

これで残りは1個(M110)となった。

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