先日のダークノイズ評価で、20℃近い気温でもかなり低ノイズである事が分かった富士フイルム「X-E2」だが、やはり実写してみないと、星の写りについてはなんとも言えない。
そういうわけで、12月28日の夜、自宅ベランダからオリオン大星雲(M42)をFLT98CF直焦点で撮影した。この日は残念ながら遠征できず、光害地である自宅からのテスト撮影となったが、M42なら強い光害下でもそれなりに写ってくれる。
FLT98CFとX-E2の接続だが、星雲の直焦点撮影時に常用しているフラットナーレデューサー4のカメラ側がEOS用のTリングアダプターとなっているため、「レンズ側EOS・カメラ側富士Xマウント」の変換アダプターを間に合わせで購入した。このアダプターは数千円の安価な物で、レンズ側のガタツキがかなりあって不安定な感じである(カメラ側はしっかりしている)。しっかり接続するためには、富士X用のTリングアダプターを用いる必要がありそうだ。
撮影については、ガイド鏡などの一式を車に積みっぱなしにしていて、離れた駐車場まで取りに行くのも面倒だったので、SE2赤道儀によるノータッチ追尾とした。SE2赤道儀はノータッチでの精度はあまり良くなくて、例えば焦点距離500mm+EOS60Daの組み合わせでは、1分もしないうちにピクセル等倍での流れが目立つ。そのため、今回はISO3200で45秒の短時間露出とした。それを50コマ以上撮影したが、それでも星像の流れが目立つ物を除外し、36コマをコンポジットし、画像調整した。
- 【環境】2013/12/28 20:32 – 21:30/兵庫県加古川市/気温-4℃/光害レベル:SQM-L測定値=17.6
- 【光学系】FLT98CF + フラットナーレデューサー4(約490mm F5)/LPS-P2フィルター
- 【カメラ】Fujifilm X-E2
- 【架台・ガイド】ケンコーSE2赤道儀/ノータッチ恒星時追尾
- 【ソフトウェア】<処理>(下記の通り)
- 【撮影法】ISO3200 42sec. x36コマ
- 【処理法】:RStackerでダーク・フラット補正、Lightroom5.3で現像、ステライメージ7で加算平均, Photoshop CCで調整
撮影時間も午後9時頃と早い時間帯のため、光害レベルは17.6(SQM-L)と若干悪め。さすがに星雲周囲の淡い部分を出すのは無理だったが、このように特に問題なく撮影できた。RStackerによるDNG段階でのフラット補正もちゃんと効いている。RStacker作者によると、「色の要素がRGBの三原色である限り、任意のCFA(Color Filter Array)に対応している」とのことなので、特殊なX-Trans仕様のカラーフィルターでも処理できているのだろう。X-E2のCFAは6×6配列だそうだ。また、光害地で問題になる背景の色ムラも少なく、画像処理しやすかった。
ISO3200が実用になるので、オートガイドが出来ない場合でも短時間・多数枚コンポジットでなんとか乗り切れそうだ。
なお、X-E2は2.5mm径ミニミニステレオプラグ形状のリモートコントローラーが使えるので、EOS kiss用のサードパーティー品タイマーを用いたが、バルブで露出時間を45秒に設定したところ、実際に露出されたのは42秒だった。どうもレリーズがONになってから実際に露光開始されるまで3秒程度のタイムラグがあるようだ。私が何か設定ミスをしているのか、もう一度説明書をよく読みたい。
それから、X-E2の低ノイズ性については、RAW状態で何かノイズ低減処理のようなことをしていて微光星が塗りつぶされるような事になっていないか、確認する必要があるようだ。これも実績のあるEOSとRAW画像・ノイズリダクション無しで一度比較してみたい。
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