少し前に購入したが使用の機会がなかったケンコー「スターリーナイト」フィルターを、一昨日のペルセウス座流星群の際にテスト使用することができた。
フィルターは、白い紙の上に置くと薄い紫色に見える。使用すると約1/3絞り相当分暗くなるそうだ。詳細はメーカーのサイトに書かれているが、長所としては光の入射角度による色の変化がないため、広角レンズでも色ムラなく使えることだ。

テスト撮影の共通環境は下記の通り
- 【環境】2019/8/13 未明/兵庫県加古川市/気温27℃/光害レベル:SQM-L測定値=20.5(天頂)。天頂以外は光害あり。
- 【光学系】SIGMA 18-35mm F1.8 DC HSM -> 18mm F2.5/ケンコーPRO1Dプロソフトン(A)
- 【カメラ】PENTAX KP
- 【架台・ガイド】ポラリエ/ノータッチ恒星時追尾
- 【撮影法】ISO3200, 30sec. x1コマ
まずは、WB(ホワイトバランス)=太陽光でのカメラのJPEG出力そのままでの比較(右がスターリーナイト使用)。

スターリーナイトを使うと全体的に青っぽくなり、説明書き通り若干暗くなる。光害による黄色からオレンジ色のカブリ分が低減されて青っぽくなることで星景写真としてのクリア感が出る。
ただし、通常天体写真はRAWファイルから現像処理することが多いため、カメラ出力JPEG画像の色や明るさは最終的に無関係だ。青っぽくするだけなら単なる色補正フィルターや画像処理ソフトで済むはずだが、高価なスターリーナイトフィルターを導入する価値はあるのか。
それを確認するため、次にRAWファイルをPhotoshop CCで現像し、背景の色と明るさがほぼ同じ程度になるよう調整した。全体の色合いは、誤魔化されやすい青色ではなく、なるべく灰色に近くなるようにした。それが下の画像である。

これを見ると、天の川・星雲と背景のコントラストが向上していることがわかる。特に画面中央付近のケフェウス座・ガーネットスター付近の赤い星雲(IC1396)や、はくちょう座デネブ付近の北アメリカ星雲などでその効果がわかりやすい。
ただし効果の度合いは大きいものではなく、”若干”と言ったところ。それでも多数枚コンポジットしての強調処理では元画像での若干の違いが大きく拡大されるため、結構有効かと思う。
というわけで、効果は「有り」。
色むらが出ないことによる画像処理の容易さとこの効果を考えると、光害地での星景・星野には常用してもよいかと思う。
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