レナード彗星(C/2021 A1)と球状星団M3の接近

2021/12/3 C/2021 A1 Leonard ー M3
2021/12/3 5:23-5:26 JST, C/2021 A1 Leonard, りょうけん座の球状星団M3に接近・推定光度 5.9等
  • 【環境】2021/12/3 5:23 – 5:26 / 兵庫県明石市/気温3℃/光害レベル:SQM-L測定値=19.0
  • 【光学系】】BORG71FL+レデューサー0.72xDGQ(288mm F4.1)/ CometBPフィルター
  • 【カメラ】ASI294MC Pro
  • 【架台・ガイド】AZ-GTi(赤道儀モード)/ASIAIR Pro/SVBONY 30mm F4ガイド鏡/ASI120MM Mini
  • 【ソフトウェア<撮影&ガイド>ASIAIRアプリ(Android)/ <処理>(下記の通り)
  • 【撮影法】センサー温度0℃・ゲイン200・オフセット30/60sec x 4コマ(4分)
  • 【処理法】
    • ステライメージ: ダーク・フラット補正、恒星基準による加算平均
    • Photoshop CC、ステライメージ9による調整
    • PixInsightによるDBE
    • 2×2ソフトビニング・トリミング有り

今日未明、レナード彗星(C/2021 A1)がりょうけん座の球状星団M3に47分角程度まで接近したところを捉えた。昨夜から今朝にかけては雲が多い空で、今朝も4時頃から機会を伺っていたが5時前ぐらいまでは雲量9~10程度でほぼ絶望的だった。しかし奇跡的に5時過ぎ頃からしばらく雲が途切れ、その間からなんとか20分弱程度の間撮影できた。

こうして比べてみると、まだM3のほうが明るいように見える。今回は双眼鏡で眺めている余裕がまったく無く、眼視ではどうなのかは分からない。

上の画像は恒星基準で合成しており、60秒×4コマの合成にとどめている。これ以上総露出時間を増やすと彗星核が線状になるのが目立ってしまう。

下の画像は60秒×16コマ分を彗星核基準で合成したもの。

2021/12/3 C/2021 A1 Leonard
2021/12/3 5:23-5:40 JST, C/2021 A1 Leonard, 推定光度 5.9等, 彗星核基準合成

彗星核基準合成の方はもっと多くのコマ数を使いたかったが、雲の通過によってこれだけしか使えなかった。いずれにしても光害地なので尾の淡い部分は背景に埋もれてしまう。


実は我が家のバルコニーは南西向きで、北から東にかけての空は自宅の屋根とバルコニーのヒサシにに遮られていて全く見えない。先日は高度が50度ぐらいまで上がったところをギリギリ捉えることが出来たが、おそらくそれが最後になるかと思われた。

しかし、毎日高度が低くなるにれて光度は上がるし、今回のM3との接近もあるのでなんとか撮影したかった。だが平日の明け方というのは遠征も難しいし、冬型では下手に山の方に行くと悪天候の可能性が高い。

そこで、軽量のAZ-GTiをカメラ三脚の上に載せて「嵩上げ」し、自宅屋根越しに撮影出来ないか試すことにした。

カメラ三脚にAZ-GTiを載せて嵩上げ
カメラ三脚にAZ-GTiを載せて嵩上げ

所有するカメラ三脚のうち、一番大きくて丈夫と思われるGITZOの5型を用いた。これは雲台接続ネジが3/8インチなので、AZ-GTi三脚用ピラーがそのまま接続できる。上の画像は三脚の脚を全て伸ばしてエレベータは下げた状態だが、これで東の空35°以上が撮影できることを確認できた。あと数日間はこれで行けそう。彗星の高度が下がってくるとエレベータを伸ばす必要が出てくるが、さすがにそれは不安定なので迷うところ。

機材の設置は脚立に乗らないと出来ないが、AZ-GTiとASIAIRの組み合わせなので、設置してしまえば後はリモートで制御できるのが利点。ただし71FLには電動フォーカサーを付けていないので、ピントだけは設置時に正確に合わせた(温度変化によるピント移動が危惧されたが、今回はそれほど目立たなかった)。

同じような嵩上げはポラリエやスカイメモなどポータブル赤道儀でも出来るが、自動導入、PlateSolving、オートガイド等まで出来るのは軽量かつそれなりの重量に耐えられるAZ-GTiの良いところ。実際、この高さまで架台を上げてしまうと、正確な極軸合わせや手動での天体導入は難しい(脚立から落ちるなどの危険がある)。

今回の試行で自宅での撮影範囲が広がった。鏡筒は71FLまでの大きさに限られるが、これまで撮影できなかったM81&M82辺りの赤緯まで撮影できそう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました