天体画像から星を消すことができるツールとして有名な「StarNet++」は私もずっと使わせて頂いているが、明るくて大きな星や、その周囲の光芒が残ってしまうこともあって、使いにくい面もあった。
しかしつい先日v2.0がリリースされたようなので、これを試したところ、かなり改善されていることがわかった。
(Starnet++のダウンロードはこちら)。
(2022/4/15追記)現在、ダウンロードはこちらになっているようだ。
私の場合、StarNet++の使用はいつもFlatAide Proをユーザーインターフェースとしているのだが、このv2.0については既存のStarnet++と単純に置き換えても動作しなかった。また、PixInsightの「MaskGeneration」ー「StarNet」についても設定してみたが動作しなかったので、(PixInsightでの動作は後で確認できた。この記事の最後に記述)。とりあえずGUI版である「StarNetv2GUI_Win.zip」をダウンロードして用いた。
このGUIは「とりあえず使う用」的な簡単なもので、Strideの設定もあまり自由にできない。ひとまず「Finer tiles」にチェックを入れ、Number of tilesが759で試してみた。試した画像の解像度は4144×2822。
元画像は↓(25%縮小)。
次に従来のStarNet++ v1.1による処理画像(↓)。Number of tilesはv2.0に合わせて759。
従来のStarnet++では輝星の光芒やスパイダーによる光条が残ってしまっている。これについてはNumber of tilesを6万ぐらいまで増やして時間をかけて処理しても変わらないことを確認している。
次は新しいStarNet++ v2.0による処理画像(↓)。Number of tilesはv1.1と同じ759。
非常に大きい光条と輝星の跡が若干残っているが、あとは綺麗に星が消えている。これはかなり大きな改善だと思う。同じNumber of tilesの場合、処理時間はやや長めになったが、この程度なら問題ない。
次に、星雲のディテールへの影響をピクセル等倍で比較した。
まず元画像(↓)。
次にStarNet++ v1.1による処理画像(↓)。
星雲への影響はないが、星が残っている。
次にStarNet++ v2.0による処理画像(↓)。
ちょっとだけディテールが甘くなっているという気もする。例えば右上の青白い星雲周りに暗黒星雲が入り組んでいるところなど。ただサイドバイサイドで比べない限りは分かりにくいレベル。輝星と光芒・光条がほとんどわからない程度まで消えているのは素晴らしい。
そういうわけで、StarNet++ V2.0はこれまでに比べてかなり性能がアップしたように思う。今回使った付属のGUIは星マスク画像を自動で作ってくれないので少し面倒。PixInsightやFlatAide Proがユーザーインターフェースとして使えるようになるのを待ちたい。
Windows機でのPixInsightへのインストールは下記で正常に実施できた。
1.「StarNetv2PI_Win.zip」をダウンロード(こちらから「PixInsight Plugin (Windows)」を選ぶ)。
2.上記ZIPを解凍し、README.txtに従いインストールしていく。まず「Starnet2_weights.pb」、「StarNet2-pxm.dll」、「tensorflow.dll」の3つのファイルを「C:\Program Files\PixInsight\bin」にコピーする。私の場合は「tensorflow.dll」はコピーしなくても動作したが、環境によるのかも? (2022/2/2追記:binフォルダに以前からのtensorflow.dllが残っていたので、コピーしなくても動作してしまっていたようだ。したがって、tensorflow.dllのコピーも必要)。
3.PixInsightを実行し、PROCESS => Modules => Install Modulesに移動する。「search」をクリックするとStarNetがリストに表示されるので、「install」をクリックする。
4.PROCESS => <All Processes> に 「StarNet2」が表示されるので、クリックして実行する。
これで無事にPIでも実行できた。Starmaskも作成できた。なおStrideは128と256の2種類しかないようだ。
(2023/2/28追記)StarNet V2のPixInsightプラグイン版が、リニア画像のコンテナ処理に対応した。詳細は下記記事参照。
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