- 【環境】2024/9/22 20:00 ~ 21:00(UTC +10:00)/ オーストラリア サイディング・スプリング/気温 不明/光害レベル:不明
- 【光学系】Dall-Kirkham Astrograph D=510mm, f=2259mm (F4.4)
- 【カメラ】FLI PL-09000
- 【架台・ガイド】Planewave Ascension 200HR赤道儀:恒星時追尾・オートガイド無し
- 【ソフトウェア】MaxIm DL Version 6.30
- 【撮影法】センサー温度 -25℃、全てビニング1×1。
- L:180sec x 9コマ、R:180sec. x 2コマ、 G:180sec. x 2コマ、B:180sec. x 2コマ
- 総露光時間 45分
- 【処理法】
- 前処理(リニア):
- ステライメージ: LRGB合成
- PixInsight: DBE, PCC, BlurXTerminator, NoiseXTerminator
- 後処理(ノンリニア):ステライメージ9・Photoshop
- ピクセル等倍・トリミングあり
- 前処理(リニア):
今話題になっている株式会社リコー・宇宙映像事業プロジェクトの「天体撮影サービス」を試してみた。このサービスでは現在、オーストラリア・サイディング・スプリングにある口径510mmの望遠鏡を借りて天体をリモート撮影することが出来る。時間当たりの料金はその日の月齢によって変わり、新月期は2万円/時間と高価だが、半月~満月付近では4000円~6000円/時間と安くなり、満月期はなんと無料である。今はナローバンドフィルターによって満月でもHαなどの星雲を撮影出来るので、かなりお得である。しかしそのために9月の満月期の無料枠の予約は全て埋まってしまっていた。
そこで、月齢19で安めの4000円/時間の日に、日没薄明終了後から月が昇ってくるまでの間、1時間だけ借りて撮影をすることにした。1時間と言っても望遠鏡が準備動作する時間やフィルター切り替えの時間などがあるので、丸々60分の露光が出来るわけではない。そこで短時間でも写りそうな明るめの球状星団をターゲットにした。露光時間は、Lが180秒×9コマ、RGBはそれぞれ180秒×2コマ。合計15個コマなので実質の総露光時間は45分となる。
ターゲットのNGC6752はくじゃく座の球状星団。光度は5.4等と肉眼級に明るく、視直径も約20分角と大きい(満月の半分ぐらいの大きさ)。球状星団としては、ケンタウルス座のω星団(3.7等)、きょしちょう座47(4.0等)に次いで全天3番目に明るい。北半球で代表的な球状星団と言えばM13(光度5.9等・視直径16.6’)だが、NGC6752はそれよりも大きく明るい。しかし南天の為かメシエ番号はついていないし、固有名称も無いので地味な存在だ。位置は下図の通り。いて座の南斗六星のずっと南の方になる。
撮影は順調に完了し、およそ数時間後にはサーバーからダウンロードできるようになった。ファイル形式は、
- LIGHTの無補正RAW画像(FITS)
- ダーク・フラット補正済みのRAW画像(FITS)
- ダーク・フラット補正済みのRAW画像(TIFF)
- プレビュー用のjpeg画像
の4種類。
LRGBそれぞれ面倒なダーク・フラット補正を済ませてくれているのはありがたい。実は自分自身はモノクロカメラを持っておらず、LRGB合成をやったことが無く、今回初めてPixInsightで合成しようとしたが上手くいかず、使い慣れたステライメージの方で合成した。またオーストラリアといえども大気のゆらぎはあり星像がボヤケ気味なので、それを補正するBlurXTerminatorはいつも通りに使用している。
そうやって何とか画像処理を終えたが、ピクセル等倍で切り出すと、なかなか迫力のある画像となった。球状星団の右下にある青い星の輝きも良いアクセントになっている。この星は明るく見えるが7.4等星である。
トリミング無しでは、下の画像のようになる。このカメラの写野は正方形で、3056×3056ピクセルとなる。
リモート撮影環境を個人で構築して利用できるのはよほど経済的に余裕のある人か、もしくは色々なコネがある人ぐらいだと思うので、普通の人でもそこそこの料金で使えるこのサービスはありがたい。特に、国内からは撮れない南天の星雲星団を狙えるのはうれしいところ。
コメント
もう使ってみてたんですね。
ここを見てれば早く知れたかけど、このサービスのこと昨日知りました。
遠征しなくても南天が撮れるのはいいですね。
つきさん。
新月期以外は比較的手ごろな価格で使えるので便利だと思います。
口径を20cmぐらいの安価な機材にして、もう少し価格を下げてもらえるとありがたいですが・・・。