先日発売された、光害カットフィルター「LPR-N」のFFタイプ(EOSマウント内に装着するタイプ)を購入した。購入したのはEOS Dシリーズ用(Kiss用とD用が分かれているようだ)。早速60Daに付けてみた。
試写では、手持ちのLPS-P2フィルターとの比較を行った。
ただし、私はFFタイプのLPS-P2を持っていないので、カメラレンズ前に付ける普通の形式のフィルターとなる。レンズは200mm F2.8LIIで、77mmのLPS-P2をステップアップリングを介して付けている。
フィルタを光学系のどの位置に入れるかで結果(特に色ムラ分布など)が変わってくるので、厳密な比較とは言えないが、おおむねの傾向は分かると思う。
共通データ
- 光害レベル SQM-L測定値 = 17.9
- 気温 15℃
- EOS 60Da / ISO800 / WB太陽光
- EF200mm F2.8L II USM -> F2.8開放
- SE2赤道儀によるノータッチガイド
長秒時ノイズ低減やダーク減算は無し。あえて周辺減光が大きく色ムラが出やすい開放絞りとしている。
フィルタ無しは30秒、フィルタ有りは60秒露出として、露光レベルをなるべく揃えた。
まず、カメラ出力のJPEGをそのまま縮小しただけの画像。
LPR-Nは、LPS-P2より若干明るめ(露光倍数が小さめ)で、色もフィルタ無しに近い印象(WBは太陽光)。
フィルタ有りの2つは、フィルタ無しに比べて星雲や星の写りが改善している。
次に、RAWファイルからPSCS6にて現像し、背景部分のレベルと色を調整した。
背景レベルは70位に揃え、背景の色も出来るだけ揃えるようにした(若干差は残っている)。
LPR-NはLPS-P2を似た効果(傾向)である事が分かる。
(絞り開放なので周辺減光が大きいが、フラット処理無し)。
次は同じ画像だが、縮小を原板の50%に留め、中央部分(オリオン大星雲付近)を切り出したもの。
フィルタ有りの2つは、フィルタ無しに比べて星雲の淡い部分の写りが改善されている。つまり、フィルタによってS/N比が改善されるので、背景レベルを同じに揃えると、相対的に星雲の輝度は上がると言うことなのだろう。
また、LPS-P2とLPR-Nの間にそれほど大きな違いは見られない。
蛇足かもしれないが、LPR-N(FF)だけ、広角レンズでの撮影も行った。
- EOS 60Da / ISO1600
- タムロンA16 17mm F.2.8開放
- LPR-N FF
- 固定撮影 15sec.
- JPEG出力を縮小・色調整のみ
画面右~下が赤っぽいのは、薄雲にオレンジ色の街灯光が反射しているもので、フィルタの色ムラではない。
光害カットフィルターは光の入射角が大きいと色ムラが生じるので、中望遠以上で使うように説明書きがあるが、このレンズではとFFフィルタの組み合わせでは、無理な強調をしなければ、広角レンズでもある程度使えるようだ(これはレンズ後面からFFフィルタ面への入射角に依存するので、使うレンズによって色々と変わるのかもしれない)。
というわけで、LPS-P2より安価なLPR-Nであるが、LPS-P2同様に使えそうだ。
私はFFタイプの光害カットフィルタを持っていなかったので、48mmフィルタが使えないカメラレンズでの撮影時に活用していこうと思う(48mmの直焦点用LPS-P2は所有)。
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