ミューロン180Cによる系外銀河M66

系外銀河 M66
M66 (しし座の系外銀河・光度9.0等・視直径8.7’)
  • 【環境】2021/3/18 23:52 – 3/19 2:54 / 兵庫県明石市/気温8℃/光害レベル:SQM-L測定値=18.7
  • 【光学系】ミューロン180C + 純正レデューサー(1780mm F9.9)/ CometBPフィルター
  • 【カメラ】ASI294MC Pro
  • 【架台・ガイド】ケンコーSE2赤道儀/SVBONY 30mm F4ガイド鏡/ASI120MM Mini
  • 【ソフトウェア】<撮影>APT3.84/ <ガイド>PHD2/ <処理>(下記の通り)
  • 【撮影法】センサー温度0℃・ゲイン300・オフセット30・180sec x 41コマ/PHD2によるオートガイド・ディザリングあり
  • 【処理法】
    • ステライメージ9でダーク・フラット・加算平均・デジタル現像
    • Photoshop CC、ステライメージ8による調整
    • 2×2ソフトビニング・銀河周辺を640×800で切り出し

ミューロン180Cは惑星観測用として昨年1月に購入したものだが、明るめの星雲星団も撮影できるかと思ってとりあえず純正レデューサーも同時購入していた。直焦点では2160mm(F12)だが、レデューサを付けた場合、PixInsightのImageSolverでの測定ではf=1781.24mmだったのでF9.9になる。焦点距離はピント合わせのための主鏡の繰り出し量で異なってくるが、おおよそF10と暗いことには変わりない。

その後、ミューロン180Cは主目的である惑星観測(「火星接近」や「木星と土星の大接近」)で撮影と眼視に活躍したが、その暗さから星雲星団に使うのはためらっていた。しかし、せっかく買ったレデューサーをあまり使わないのももったいないし、ちょうど春の系外銀河シーズンなので、試しに明るめの天体をいくつか写してみることにした。今回処理したのは、しし座の系外銀河M66。これは「しし座の系外銀河トリオ」の「左下の銀河」である。

この焦点距離だとガイドカメラはオフアキシス方式が視野に入ってくるが、私はオフアキ用の装置は持っていないし、レデューサーの後ろにオフアキアダプタを入れるのも一苦労ありそう。そこで、アリガタプレートをスターベースで販売している長めのもの(ミューロン用アリガタL)に交換し、その下部にガイド鏡を設置した。

ガイドスコープの設置方法
ガイド鏡の設置方法

最初は口径5cmのガイド鏡を付けてみたが、重すぎて前後のバランス(赤緯軸周り)が取れなかった。そこで画像のとおりSVBONYの口径3cm・焦点距離120mm(F4)のものに交換した。銀色の大きな露よけフードはダンボール紙製なので軽い。ガイドカメラはZWOのASI120MM-Mini。

当初、こんな小さなガイド鏡とガイドカメラでは焦点距離約1800mmをガイド出来ないだろう、と思っていて、十秒程度の短時間露出×多数枚コンポジット、もしくはライブスタックを考えていたが、ダメ元でとりあえず3分露出してみたら意外なことに成功した。それも60コマ程度撮影したうちガイド失敗による流れはほとんど無く、近くを通る新幹線や国道の重量級車両による振動と思われる若干のブレが発生したコマが約1割~2割程度あるだけ。PHD2が優秀なのか、SE2赤道儀に先日実施したベルト駆動化改造が良かったのか不明だが、これで十分なように思う。なお、前述した近隣の振動を拾ったり航空機などが入るリスクがあるため、露出は3分を上限にしている。

ただ、やはりF10は暗すぎる。光害カブリ低減のためComet BPフィルターを併用していることもあり、星雲の淡いところを写すにはかなりの総露出時間が必要なようだ。今回は薄雲の通過が頻繁にあり、使えたのは41コマだけにとどまった(総露出時間 123分)。そのためM66周辺部の淡いところは光害に埋もれ気味でノイジーだったので、ノイズ低減を強力にかけた。ちょっと”誤魔化し感”がある。

やはり星雲星団には口径20cmでF5前後の鏡筒がほしい。

それから今回の失敗としては、ディザリングの設定を短焦点向きに大きめにしたままだったこと。撮影ソフトAPTのGear – Guide – Dithering Distance を4にしていたが、これはガイドカメラで最大3ピクセル動かす(PHD2のdither scale =1の場合)。主鏡/ガイド鏡の焦点距離比が1800/120=15、センサーピクセルサイズ比が4.63/3.75=1.23、なので、主カメラで動く最大ピクセルは、3*15/1.23=36.6 となる。これが大きすぎたためか、PixInsight(PI)で位置合わせできなかった。WBPPのregisterと単独のStarAlignmentで設定を色々変えてみたがダメ。結局今回は前処理にステライメージ9を久しぶりに使用した。

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