夏のアルビレオ(本家)
はくちょう座のくちばしの星「アルビレオ」(はくちょう座β星)は全天を代表する美しい二重星。明るいほうの星は3.1等星で黄色、暗いほうの星は5.1等星で青色と色の対比が素晴らしい。離角も35秒角あるので小口径の望遠鏡でもたやすく分離できる。宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」にも「アルビレオの観測所」として登場するのは有名。
- 撮影日時:2022/9/24 21:00頃/明石市
- ミューロン180C(直焦点), UV/IR Cut Filter
- ASI183MC Pro, 10℃
- ゲイン=200, シャッター速度=20ms, 8955フレームの30%をスタック
- 撮像:FireCapture 2.7
- 処理:AutoStakkert!3(スタック), StellaImage9・Photoshop(調整)
- フラット・ダーク処理なし、ピクセル等倍
- 画像の上が北
静止画では大気のゆらぎにより星がキラキラ瞬く動きが失われているため、その美しさが伝わりにくい。そのため動画も作ってみた。
それでも、一番美しく見えるのはやはりアイピースを通して眼視で見た時だと思う。
アルビレオの位置は下図の通り。はくちょう座の十字の先で、とても分かりやすい。
春のアルビレオ
「アルビレオ」が色の対比が美しい二重星の代名詞になっているため、他の二重星で同様な美しさを持つものが「〇〇のアルビレオ」等と呼ばれることがある(「〇〇富士」や「〇〇銀座」のようなもの)。そこで、これまでに撮影してきた二重星からで各季節の“アルビレオ“をピックアップしてみた。
なお、どの星を選ぶかについては、いつも二重星観望の手引きとして使っている「都会で星を楽しもう(DSO観望ガイドブック Vol.3)」を参考にした。
「春のアルビレオ」は2つあって、まずは「かに座ι(イオタ)星」。
- 撮影日時:2022/4/16 21:00~22:00頃/明石市
- ゲイン=240, シャッター速度=33.3ms, 5220フレームの10%をスタック
- 機材は夏のアルビレオと同じ
主星の黄白色と伴星の青色の対比が美しい。離隔も大きいので分離しやすい。
位置は下図の通り。
次に、「かみのけ座24番星」。
- 撮影日時:2021/4/21 22:00~23:00頃/明石市
- Gain=250, 65msec. , 50% of 4648 Frames
- 機材は夏のアルビレオと同じ
これも黄色系と青色系の対比が美しい。離隔が20秒角と本家より狭いが、小型望遠鏡でも十分分離できる。
位置は下図の通りだが、等級が5等と暗く、星座線を構成していないために導入しにくいのが難点か。
この2つのうち、どちらかを選ぶとすれば、やはり明るくて星座線を構成している「かに座ι(イオタ)」の方になるかと思う。
秋のアルビレオ
「秋のアルビレオ」はアンドロメダ座γ(ガンマ)星「アルマク」。
- 2021/3/8 19:06
- Mewlon 180C(直焦点), UV/IR Cut Filter
- ASI294MC Pro, Gain=285, 30msec. , 10% of 9824 Frames
- AutoStakkert!3(スタック), StellaImage8(デジタル現像・マルチバンドシャープ), PhotoshopCC(その他調整)
これも黄色系の主星と青系の伴星から構成されている。離隔が9.4秒角と本家アルビレオの1/3以下しかないので望遠鏡の倍率を高めにした方良いと思う。さらにこの画像だけはカメラが画素ピッチ粗めの294MCなので、他の画像よりも接近している。機会があれば183MCで撮影しなおしたい。
アンドロメダ座の星座線を構成する2等星なので位置は大変分かりすい(下図)。
冬のアルビレオ
最後は「冬のアルビレオ」。これは「おおいぬ座145番星」。
- 撮影日時:2022/2/10 20:00~22:00頃/明石市
- ゲイン=300, シャッター速度=100ms, 1799フレームの30%をスタック
- 機材は夏のアルビレオと同じ。
これも黄色系の主星と青色系の伴星の組み合わせ。主星が4.8等と暗いが、主星と伴星の光度差があまりなく、角距離も大きいので楽に見える。
ただ、星座線を構成していないので導入しにくい(下図)。
二重星の観望や撮影は光害や月明の影響を受けにくいため、都会でも月明下でも楽しめる。静止画像では美しさが表現しきれないので、眼視や動画撮影で楽しみたい。
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