NGC6729 みなみのかんむり座の散光星雲(TASC-onリコリモ)

NGC6729(TASC-onリコリモ)
NGC6729 みなみのかんむり座の散光星雲 (TASC on リコリモ)
  • 【環境】2025/10/11, 10/15 / オーストラリア サイディング・スプリング/気温 不明/光害レベル:不明
  • 【光学系】Dall-Kirkham Astrograph D=510mm, f=2259mm (F4.4)
  • 【カメラ】Player One ZEUS 455M PRO
  • 【架台・ガイド】
  • 【ソフトウェア】MaxIm DL Version 6.30
  • 【撮影法】センサー温度 -10℃
  • L(BIN2):180sec x29(87分)、R(BIN2):180sec x7(21分)、 G(BIN2):180sec x13(39分)、B(BIN2):180sec x12(36分)
  • 【処理法】
    • 前処理(リニア):PixInsight: MGC, SPCC, BlurXTerminator, NoiseXTerminator, Masked streach, LRGB合成
    • 後処理(ノンリニア):ステライメージ10・Photoshop
    • 33%に縮小・トリミングあり

天文リフレクションズ(天リフ)が主催するリモート撮影のリザルトシェアサービス「TASC-onリコリモ」を利用することにした。これはリコーリモート天体撮影サービス(リコリモ)で天リフが代表して撮影し、その結果データを複数人で共有して利用コストを下げようという試み。申し込みは9月で開始は10月1日からの予定だったが、各種調整等で若干遅れて10/15から正式サービス開始となった。申し込みはまだ継続しており途中参加も可能。

利用できるデータ量に応じていくつかのコースに分かれているが、私は全てのデータを利用できる「ガチコース」に申し込んだ(3か月で60時間のリザルト・6万円)。私は昨年からリコリモを個人として利用しており10天体ほど撮影したが、1天体あたり5千円~1万円ほどの費用がかかっており、数万円は使っている(リコリモの撮影結果はこちら)。それを利用しながら思ったのは、時間貸しリモートは自分で工夫・設定できる内容があまり無く、誰が撮ってもほぼ同じで、その上、結局みんな「タランチュラ星雲」などの南天のメジャーな天体から撮っているという事。各自がお金を出して順番に同じ撮影データを取得しており、無駄に感じていた。そこで、リコリモが撮影して、その画像データを販売してくれたほうが良いのではないかと思ったのだが、今回のTASC-onリコリモはそれに近い。6万円で60時間分のデータを利用できるなら、個人利用に比べてかなり安く済む。

またTASC-onリコリモの良い点は、まず撮影計画を、天体写真界のエキスパートの方々がTASC-onリコリモのアンバサダーとなって考えてくれるという事。昨年個人でリコリモ利用したときは南天の天体の知識がないため、どれを撮影すれば面白いかなどはわからなかった。今回のNGC6729についても、こんなに複雑で面白い星雲がみなみのかんむり座にあるなんて知らなかった。それから、撮影データのキャリブレーション、スタック、そしてチャンネル合成、BlurXTerminator(BXT)の処理までやってくれるということ。リコリモ自体はキャリブレーションまでだったので、その先までやってくれるのは手間が省ける。なお私自身はチャンネル合成は自分でやりたいので、スタック済みデータを利用している。

さて、今回の星雲だが、ここはさそり座のしっぽに近い赤緯なので一応日本からも見える(撮影できる)。しかし高度が低くなるので、光害の影響を受けずに撮影できる環境はかなり限定される。星雲の位置は下図の通り。

NGC6729の位置

私がよく遠征していた兵庫県中部では南に神戸・姫路方面の光害があるので厳しいし、最近はほとんど遠征せず自宅からの撮影ばっかりなので、撮影すること自体が無理な対象である。そもそもRA501は51cmという桁違いの口径で、カメラもフルサイズの最新CMOS。自分で光害の中頑張って撮影しても今回のような画像を得るのは難しいと思う。

中央部を切り出してみると、青と赤の星雲が入り混じったところに、よくわからない渦巻状の星雲や真っ赤な星雲などが点在していて、本当に奇妙な領域。

中央部の切り出し

人間の手の届かない宇宙にこういう構造があるのが面白い。メジャーなオリオン大星雲や干潟星雲なども迫力があって良いけれど、このようなよく知られていないけど面白い星雲を改めて知ることができるのも、TASC-onリコリモの良い所かと思う。

画像処理については、自分が知らない領域なので少し難しかった。RA501の撮影データは基本的に光害のカブリなどはないはずだが、R,G,B各チャンネルの撮影時間帯か、高度の差のせいか、若干色の勾配が付いているように感じた。修正はPixInsightのMGC(Multiscale Gradient Correction)を使ったが、ステライメージのカブリ補正も使い、WEBで検索したこの領域の画像を複数参照して決めた。

また目立つ青い星雲についてはもっと彩度を挙げて真っ青にしたかったが、どぎつくなる感じがしたので、青白っぽい程度にした。今見返すと全体的に青みががってしまったように思う。

TASC-onリコリモについては、これからどんどんデータが供給されるので、おそらく画像処理が追い付かない(もうすでに追い付いていない)が、マイペースでのんびりやっていこうと思う。

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