対光害フィルタ Quad BPとLPS-P2の比較

先日購入したサイトロンQuad BP(クアッド バンドパス)フィルターとLPS-P2フィルターをバラ星雲で比較してみた。

共通の機材、条件は

  • EOS 60Da
  • BORG71FL+レデューサー0.72xDGQ(288mm F4.1)、フィルターBOXnをレデューサーとカメラの間に入れてフィルター装着。
  • ケンコーSE2赤道儀による恒星時追尾(オートガイドなし)
  • ISO3200
  • ダーク、フラット処理無し
  • Lightroom CCで現像。ステライメージ8で色、レベルなど調整。
  • 撮影場所:兵庫県明石市/光害レベル SQM-L測定値=19.1, 気温1℃

背景をおおむね同じレベルにするため、フィルターなしで15秒、LPS-P2で30秒、QuadBPで120秒の露出を行った。Quad BPはかなり露出時間を伸ばせる。
その後、背景部分をグレーに色補正し、4×4ソフトビニング後、中心の星雲部分を切り出した。

まず一コマのみの比較。

No filter 15sec.
LPS-P2 30sec.
Quad BP 120sec.

Quad BPフィルターの効果はかなり大きいが、それだけ露出時間もかかっている。QuadBPで1コマ撮る間に、LPS-P2では4コマ撮れる。限られた機会(時間)のなかで、あえて撮影コマ数を大幅に減らしてまで使う価値があるのか?

そこで次に、総露出時間が同じ120秒になるように、フィルター無しでは15秒x8、LPS-P2では30秒x4、をDSSで加算平均し(QudBPは120秒x1)、ステライメージでデジタル現像、背景部分と星雲部分の輝度について、各画像間でほぼ同程度になるようレベル調整した(4×4ソフトビニング、中心部分を切り出し)。

No filter 15sec. x 8
LPS-P2 30sec. x 4
Quad BP 120sec. x 1

まずフィルター無しは大変悪い結果となった。ごく淡くにしか写っていない星雲を強い処理で持ち上げているため、8コマ加算平均でも荒れた画像となった。またフラット処理を省略しているので、中心部まで周辺減光が迫っている。

LPS-P2は予想以上に「悪くない」印象。星雲部分はQuad BPとあまり変わらないように見える。ただし、元々の星雲の写りはQuad BPより淡いため、強めの処理が必要となり、周辺減光が目立つ。

Quad BPは強調処理が弱めで済むため、周辺減光の影響が少ない。

このように、LPS-P2とQuad BPは総露出時間が同じなら処理次第で同じような画像が得られるが、LPS-P2の方はより強い処理が必要になり、正確なフラット画像や背景の色ムラ除去処理が求められる。

Quad BPはコマ数(画像ファイル数)を少なくできるし、処理も弱めで済むのが良い。実際、背景のカブリ、色ムラ処理はLPS-P2より楽な印象。

最後に、Qoad BPによる120秒画像は15コマ撮影していたので、それらにフラット、ダークを適用して処理した(今回は時間が無くて15コマ30分しか撮影できず、粗めの画像になった)。

20181215 Rosetta nebula

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