- 【環境】2009/11/22 1:27 – /兵庫県神河町・砥峰高原/気温:不明/光害レベル:SQM-L測定値=21.1
- 【光学系】 EF 200mm F2.8L II USM 開放
- 【カメラ】Canon EOS Kiss X2(無改造)
- 【架台・ガイド】スカイメモR/ノータッチ恒星時追尾
- 【ソフトウェア】<処理>(下記の通り)
- 【撮影法】ISO800, 180sec x 11コマ
- 【処理法】:ステライメージ6・Photoshop Elements8 / トリミング有り
先日(21日夜)砥峰高原で撮影した「魔女の横顔星雲(IC2118)」。SQM測定値は約21.1。この星雲はエリダヌス座にあり、オリオン座のリゲル(左下の輝星)に照らされて光っている。その形状と暗い雰囲気から「魔女の横顔」と呼ばれているが、こちらでは「Witch Head Nebula(魔女の頭)」になっている。どうやら南北を逆にしてみると分かりやすいようだ。
オリオン座の星雲といえば、銀塩時代には「エンゼルフィッシュ」とか「バーナードループ」が簡単に写ったが、この星雲はとても淡いため、写すのが難しくあまり知られていなかったと思う。私もデジカメに変えてから写すことが出来るようになった。
とはいえ、やはり淡い星雲なので長時間露出したいところだが、スカイメモで200mmレンズ・ノータッチガイドなので短時間露出×多数コンポジットで臨むしかない。というわけで3分露出を20コマ以上撮ってみた。ところが今回、スカイメモ(または雲台)の具合が悪かったのか、ほぼ半分以上のコマで星が流れてしまい、コンポジットに使えるのは11コマのみとなってしまった。
しかもこの辺りは人工衛星が多く、ほとんど全てのコマに写り込んでいた。いつもは写り込んだコマを除外しているが、今回は写り込み数があまりにも多く除外も出来ないので、コンポジット時に軌跡を消してみた。
コンポジットによる軌跡の消し方には幾つか方法があるので、それらを比較してみた(強めのレベル調整でノイズが目立つようにしている)。コンポジット枚数は11枚で、あらかじめステライメージ6(SI6)でダーク減算をしている。
コンポジットしない「1枚画像」は明らかにノイズが多く汚い。
「比較暗」では人工衛星の輝星を消すことが出来ているが、暗部のノイズがかなり残っている。
「加算平均」ではノイズはなめらかになるが、人工衛星の軌跡が残ってしまう(薄くはなるが)。
「中央値」ではノイズがなめらかになり、人工衛星も消えている。この手法は結構良さそうだ。
さて、SI6には加算平均時にある範囲から外れたピクセルを除外して計算するオプションがある(範囲外の値を除外)。その範囲の指定はσ(標準偏差)の倍数で指定する。今回は1σと3σで試してみたが、両者にはあまり差がなく、ノイズがなめらかになり人工衛星も消すことが出来た。「中央値」と比べると微妙ではあるが、こちらのほうがノイズが少なくなっている。
人工衛星や流星などのイレギュラーな光を除き、得られる画像のピクセル値がノイズによって正規分布に従うとすると、1σで約68.26%、3σで99.74%が範囲に入るので、多くのピクセルが加算平均の対象に入っているのだろう。もちろん人工衛星の軌跡が写っている部分はそれに引っ張られてσの値も増大し、分布もいびつになっていると思うが、画像を見る限り不自然な点はないようだ。
このようにコンポジット方法を比較してみた結果、「加算平均(範囲外の値を除外)」が最も良好であったので、今後人工衛星を消す場合にはこの方法を使っていこうと思う。
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