SQM(スカイクオリティメーター)で光害を測定する

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  • 2009年秋にココログに掲載した記事を、2020年にこちらに移行しました。内容は2009年当時のものです。

光害とは

光害は「ひかりがい」または「こうがい」と読みます。元々「こうがい」と呼ばれていましたが、これでは発音が「公害」と同じなので、最近は「ひかりがい」と呼んでいるようです。

現在、日本のほとんどの都市部で天の川を見る事はほとんど出来ないでしょう。これは照明によって夜空が照らされているためで、暗い星や天の川、星雲等はその光で隠されてしまっているからです。光害は天体観測の障害になるだけでなく、無駄な光を出すことによるエネルギーの無駄遣い、生態系への悪影響が懸念されます。

しかし、産業や生活に必要な照明というものは存在するわけで、何でもかんでもライトダウンすれば良いというわけではないところが、現代社会の難しいところです。特に最近は防犯・治安上、照明を増やさなければならない状況もあります。

必要な光は効率的に配置し、無駄な光を減らす工夫が必要です
これについては、環境省から「光害対策ガイドライン」というものが出されています。

光害の測定方法

光害の度合いを測定する方法は幾つかあります。最も手軽なのは肉眼で見える星の暗さを観測する方法で、環境省が主催する「全国星空継続(けいぞく)観察」でも取り入れられています(2020/8/15追記:現在は事業終了、「星空観察」に移行しているようです)。

次に、カメラで夜空を撮影する方法があります。これまではリバーサルフィルムを用いる方法が主流のようでしたが、最近はフィルムカメラがデジカメに置き換わりつつあるため、デジカメで測定をしていこうという「デジカメ星空診断」という活動もあります。しかし、カメラによる測定は分析作業に時間がかかるという欠点があります。

そこで私は、手軽にその場で測定出来る方法として「SQM(スカイクオリティメーター)」という計測機器を購入しました。この機器は国際光器で取り扱っており、その詳細はこちらにあります。

「SQM「スカイクオリティーメーター」(SQM-L)」


使い方は簡単で、夜空に向けてボタンを押すだけで光害の度合い(夜空の明るさ)が表示されます。 なお、この機器には測定範囲の違いで「SQM(80°の範囲)」と「SQM-L(20°の範囲)」という2種類がありますが、私はSQM-Lの方を購入しました。これは、自宅ベランダや視界の狭い観望値でも使用したいからです。

光害を評価するための単位

光害を測定する方法は色々ありますが、それらの結果は同じ基準で評価したいものです。そのためには測定結果をあらわす単位を統一しなければなりません。今のところ、その単位としては主に「等級/平方秒角」が用いられているようです。

これは、夜空の1平方秒角の面積が発する光が、何等級の星に相当するかという意味だそうです。この単位は「等級/□”」や「mags/arcsec^2」等とも表記されます。上記のSQMもこの単位で夜空の明るさを表示します。

SQM-Lによる測定結果

SQM-Lを購入し、自宅のベランダと、良く行く観測地である砥峰高原で測定してみました。

自宅ベランダ

自宅は兵庫県加古川市の中心部で(*記事作成当時。現在の自宅は明石)、そのベランダは大阪・神戸方向を向いているため、割と強めの光害があります。秋冬の状態の良い時で3.5等星程度、春から初夏の霞んだ空の時は1等星しか見えません。

場所 日付 時間 方向・高度 SQM測定値 備考
自宅ベランダ 2009/10/27 0:32 南東・45° 18.03 3等星がはっきり見える
2009/10/28 0:53 17.65 3等星は見づらい
2009/11/8 22:05 17.07 3等星は見えない
2009/11/14 23:17 17.67 3等星・オリオン小三ツ星が見える
2009/11/15 0:30 17.78
2:00 17.93
4:00 17.75
2009/11/19 21:37 17.44 3等星・オリオン小三ツ星が見える
22:49 17.59
23:40 17.80
2009/11/20 0:44 17.96 3.5等星が見える
2009/11/23 22:45 17.65 3等星は見づらい
2009/11/24 0:10 17.96 3等星がはっきり見える
1:00 18.04 3等星・オリオン小三ツ星が見える
2009/11/26 0:30 17.99
2009/11/29 2:14 18.09 月齢12が西低空
2:40 18.12 月齢12が西低空

上の表はSQM購入後の約一ヶ月に測定した結果ですが、透明度の良い季節で、3等星が見える日が多くありました。測定値は17等級後半から18等級程度です。

砥峰高原

兵庫県の有名観測地の一つ、砥峰高原・峰山高原ですが、2009年11月21日の夜に砥峰の方で測定してきました。

この日の空はまずまず良好な状態で、冬の天の川が見えました。測定値は下のグラフの通りです。

2009/11/21夜・砥峰高原

やはり南側は光害があります。また、明け方に近づくつれて光害が減って行く様子も分かります。自宅とは3等級以上の開きがあります。

今後も継続して測定をしていく予定です。


測定データ

自宅(加古川市内・明石市内)

砥峰高原(兵庫県神河町)

大河内高原・夜鷹山近辺(兵庫県神河町)


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