ELシートとRStackerによるフラット補正処理

これまでフラット補正用の画像は、鏡筒の筒先にトレーシングペーパーを付け、ベランダから空に向かって撮影していた。しかし、雲などで空の色や明るさが撮影中に変わったりするので、安定した光源としてELシート(ELパネル)を購入してみた。ELシートはフラット画像撮影用として多くの方が使用しており、私も遅ればせながら・・・というところである。

購入先は、色々検索してその中でも安価だった、こちらのサイトの通販で、サイズはA5の白色とした。中国製で、インバータ付きで5千円(送料・税別)。電源は電池式なので屋外にも持ちだせそうだ。今回はオマケでAC電源もついていたので、屋内ではACを使うことにした。

El撮影は、ELシートをA5の透明プラスチックのメニュー立て(?)みたいな物に、減光用のグレーの半透明シートと共に挟み、トレーシングペーパーを介してFLT98CF鏡筒の伸ばしたフード先に押し当てて行った。

部屋内の作業となり、EOS Utilityでデスクトップパソコンから直接撮影・画像確認できるのが便利だ。撮影時には部屋の電灯は消している。

さて、このELシートは白色とのことだが、実際はかなり青っぽい。目で見ても青いが、写真ではより青さが目立つ。

とりあえず、ISO100で4枚ずつ、露出を段階的に数水準変えて撮影した。もちろん同じ露出時間・枚数でダークも撮影している。

フラット補正の試行は、馬頭星雲の画像で、600sec.で撮影したもの1枚で行った。前段階として、フラット画像のRAWファイル(CR2)をDNGCLでDNG変換し、RStackerでダーク減算・加算平均処理を行い、露出水準の違うマスターフラット画像とした。

次に撮影画像とマスターフラットのRGBのレベルをPhotoshopのCamera RAWの画面で確認した。私の試行では、色温度2500K,色かぶり補正-120、その他のパラメータは全てゼロ(明るさ・コントラスト、黒レベルもゼロ)で、RAP2やステライメージにおける無補正のカラーバランスと同じぐらいになるので、その設定を目安にしている。

ここで、撮影画像の中央付近の星雲の無い所とG値が合うフラット画像を比較すると、左図のようになった。やはりBがやや高く、Rがかなり低い。G値で合わせると、RもBもあまり合っていないフラット画像ということになる。

フラット画像は、カラーバランスを撮影画像と合わせるのがセオリーのようだが、このままで進めることにした。

さて、ここからいよいよフラット補正処理だが、今回の処理ソフトにはRStackerを用いた。これは、ダーク減算とフラット補正が同時に実行できる。

フラット補正については、L画像のみの処理と、RGB別の処理の2通りを行った。

L画像のみ処理では、上述のGレベルを合わせたマスターフラット画像を用いた(もちろんダーク減算も有り)。


RGB別では、それぞれのレベルを撮影画像に合わせたマスターフラットを用いた。

処理後の現像はLightroom3.5を用い、その後、ステライメージ6.5でかなり強めにデジタル現像している。背景のノイズが出てくるぐらいレベルを上げたので汚い画像になっているが、フラット補正の状況はよく分かると思う。

参考までに、こちらがダーク減算のみ・フラット処理無しの画像である。やはり周辺減光が目立つ。


こちらが、L画像のみでのフラット補正結果。
まずまずの結果となったと思う。右下の角がやや青いが、これはフラット補正しきれないのか、元々ここが赤い星雲の薄いところで、写野外の三ツ星の中央の星(ε Ori)の影響も有って青っぽいのかちょっと分かりにくい。


こちらはRGB毎にレベルを合わせた画像でフラット補正したもの。

これを見ると、上のL画像のみの場合とほとんど変わらない。RStackerはフラット画像を内部で正規化して撮影画像を除算しているので、RGBのレベルが多少ずれていても影響が少ないのかもしれない。

カラーバランスや露出レベルが多少ずれていてもOKなら、露出水準も厳密に調整しなくて済むので、野外に持ち出し、撮影直後に現地で撮影することも出来そうだ。そのほうが、ゴミ跡も消しやすいと思う。

というわけで、今回はRAP2では試していないが、ELシート、およびRStackerによるフラット補正も使えそうということが分かった。

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