【モバイルノートPC】HP OmniBook 7 Aero 13-bg

購入の経緯

これまでメインで使用していたノートパソコンは約4年半前(2021年7月)に購入した「HP Pavilion Aero 13-be」。主に自宅撮影時にバルコニーに設置して赤道儀やカメラなどの機材を接続し、自室のデスクトップPCからリモート接続して使用している。また天体撮影以外でも自宅外での様々な用途で使っている(むしろ他用途の方がメインで、ついでに天体撮影に流用している)。購入時の記事は下記。

これは4年前の機種とはいえ、当時の上位スペック(Ryzen 7 5800U, SSD 512GB, メモリ16GB)ということもあって、現在も特に不自由なく使えている。Windows11への移行も問題なく完了できており、買い替えはまだ1年~2年先でも良いかと思っていた。

ところがこの11月ごろから急激にPC自作市場でメモリの価格が数倍に高騰し、SSDの価格もメモリほどではないが上昇してきた。特にメモリとSSDの供給不足はこの先数年続くと予想されており、今後PCの価格は上昇に向かうと思われる。また現行機の保守も4年で切れており故障や破損の際は高額な費用での修理が必要となってくる。そこで思っていたよりは少し早いが、新機種を購入することにした。

購入したのは「HP OmniBook 7 Aero 13-bg」。これは現行機のPavilion Aero 13-beの後継機といえるもので、約1Kgの軽さと、8コアCPUの高スペック、10万円台前半という安さを兼ね備えた高コスパ機である。バリエーションは色々あるが、その中でも高パフォーマンスモデル(Ryzen AI 7 350, メモリ32GB, SSD 1TB)を選択した。現在のところメーカー製PCは自作市場やBTOに比べるとメモリ・SSD高騰の影響は小さいが、今後徐々に上がってくると思われる。そのためバリエーション展開のうちメモリとSSDが一番多いモデルにしておく方が良いと判断した。

OSはWindows 11 Home。このモデルにはProの選択肢は無いようだった。自宅ではリモートデスクトップを多用するため、高価にはなるが、出来ればProの方が良かった。Pavilion Aero 13-beにはProがあったのだが、なぜ無くなってしまったのか不明。

購入価格は価格com経由で\139,780(税込み)。2025年春に発売された時は\159,800だったが10月末に\124,780に値下がりした。この時が一番の買い時で、11月中旬に\139,780に値上がりしてしまった。また私の購入後の12月中旬からは\149,780に再値上げされている。なお、持ち運ぶものなので3年間のアクシデントサポート付き引き取り修理サービスを付けた。これが1万6千円程度と結構高いが、お守りと思って付けている。前回は4年間の選択肢があったが、今回は最長でも3年しかなかった。

外観など

サイズは現行機の Pavilion Aero 13とほぼ同じで、A4サイズの紙とほぼ同じ。重量はPavilion Aero 13の957gより若干増えて1Kg丁度。だが持ってみた感じはあまり変わらない。

HP OmniBook 7 Aero 13-bg

色は無難な「グレイシャ―シルバー」。現行機のPavilion Aero 13が白だたので今回も白(セラミックホワイト)にしようかと思ったが、サイズが同じで紛らわしいので今回はグレーにした。画面は13.3インチの1920×1200(WUXGA)で、一般的なフルHD(1920×1080)よりも少し縦に長い。これもPavilion Aero 13から引き継がれている。縦に120ドット長いだけだが、これが結構見やすさの差になってくるように思う。

キー配置

キーボードはdeleteの左に電源ボタンがある特殊な配置。これは人によってはかなり気になる部分だが、Pavilion Aero 13-beから継続されているようだ(私は特に気にしない)。またこの機種は50TOPSのNPUを搭載しており「Copilot+ PC」であるのでCopilotキーがあり、これを押すと一発でMicrosoft Copilotが開く。ただ今のところその有難みはよくわからない。

キーに照明があるのもPavilion Aero 13と同じ。これは天体撮影作業中に便利かと思ったが、実はあまり使っていない。赤道儀を触ったりするのに結局ヘッドランプをつけるので、わざわざキーボードの照明をつけるが面倒だった。

キーボード照明ON時

Wi-Fi

Wi-FiはWi-FI 6E対応。今はWi-Fi 7が普及しつつあるので、できればWi-Fi 7が欲しかったが、6Eでも特に不都合はない。Pavilion Aero 13はWi-Fiの「つかみ」が弱い問題があったが、OmniBook Aero 13は問題ないようだ。

電源

Pavilion Aero 13にあったDC電源入力ジャックはなくなり、外部電源はUSB-CポートにUSB-PDにて供給する。つまり外部電源を使う場合にはUSB-Cポートを一つ消費してしまう。外出時にはあまり問題ならないが、バルコニーでの天体撮影時には様々な機器をUSB接続するので、これはあまり歓迎できない。DC電源ジャックは残してほしかった。

なお、付属のACアダプターはかなり大きくコードも太いため、外出時に持ち出すのには適さない。別途USB-PD対応の充電器としなやかなケーブルを用意した方が良い。

付属のACアダプター(USB-Cポートに接続)

騒音

測定器はサンワサプライの400TST933。A特性の測定レンジが30dBA~130dBA(±1.4dBA)のもの。環境は室温23℃でエアコンをOFF。室内騒音は32dBA。

測定対象は、新機種(OmniBook Aero13)と、旧機種(Pavilion Aero 13)。

測定位置は、スペースキーから斜め45°上方手前に30cmの位置(おおむね使用時の耳の位置)。

「動画再生時」はYouTubeの4K・60fps動画を音声OFFで連続5分再生した時、「高負荷時」はCinebench 2024のMulti実行開始5分後の測定。電源プランは両機とも「バランス」。

音圧レベル [dBA](新)OmniBook Aero13(旧)Pavilion Aero 13
アイドル時無音(ファン停止) 無音(ファン停止)
4K, 60fps 動画再生時34 32
高負荷時4137
騒音比較

アイドル時には両機ともファンが停止しており無音。

4K・60fps動画再生時には両機ともファンが弱回転する。音は(新)OmniBookの方が聴感上も大きい。ただし(旧)Pavilionの方のファン音には「キーン」という高い周波数の音が混じる。OmniBookの方は音は大きいが「サー」というホワイトノイズ的な音だけ。そのためPavilionの方が「気になる感じ」が大きい。

高負荷時は両機ともファン回転音が上がるが、明らかに(新)OmniBookの方が音が大きい。(旧)PavilionのRyzen 7 5800UのデフォルトTDPが15Wなのに対して(新)OmniBookのRyzen AI 7 350のデフォルトTDPが28Wなので、パフォーマンスが良い代わりに発熱は多いのかもしれない。ただこれもPavilionの方のファン音に「キーン」という気になる音が混じるので、OmniBookの方が落ち着いた感じではある。

なおファン音はファンによる個体差が大きいため、Pavilionの「キーン」音は、今にして思えば「ハズレ」だった可能性はある。。

CPUとメモリ

CPU-Zで見たCPUの詳細は下図。

OmniBook 7 Aero 13-bg / CPU-Z(CPU)

AMD Ryzen AI 7 350はZen 5アーキテクチャーの8コア16スレッドCPU(APU)。50TOPSのNPU(AIエンジン)とRDNA 3.5世代のAMD Radeon 860Mグラフィックを統合している。

メモリは下図。

OmniBook 7 Aero 13-bg / CPU-Z(Memory)

メモリはLPDDR5の32GB。LPDDRは「Low Power DDR」の略で、DDR5に比べて低消費電力でモバイル向けに特化されている。

SSD

ストレージは、1TB SSD (PCIe NVMe M.2)。CrystalDiskInfoによれば型番は「PSENN001TA87QC0」だが、この型番で検索してもメーカーや製品名が出てこない。

CrystalDiskInfo / OmniBook 7 Aero 13-bg(1TBモデル)

Gen4 SSDであることは分かった。

新旧機、および今年初夏に組んだRyzen 7 9700Xのデスクトップ機でCrystalDiskMarkを実施。なおデスクトップ機には「WD Black SN7100 NVMe SSD WDS200T4X0E」使用している。

CrystalDiskMark / OmniBook 7 Aero 13-bg(Gen4・1TBモデル)
CrystalDiskMark / Pavilion Aero 13-be(Gen3・512GBモデル)
CrystalDiskMark / デスクトップ機(Gen4・WD Black SN7100 WDS200T4X0E)

デスクトップ機のWD Black SN7100はGen4ではあるがさすがに速い。OmniBook Aero 13もそれには及ばないが、Gen4らしい速さであり、Pavilion Aero 13(Gen3)に比べ3倍の速さとなった。

ベンチマーク

Cinebench 2004およびPassMark11.1の比較を行った。対象は新旧Aero13と、自作デスクトップ。

室温は23℃、電源の設定は3機とも「バランス」(ACアダプタ接続)。ベンチマークなら「高パフォーマンス」にするべきだが、普段は発熱や騒音との兼ね合いを考えて「バランス」にしているので、今回の測定も普段の設定にて行っている。そのため低めに出ているかもしれない。

Cinebench 2004OmniBook 7 Aero 13-bgPavilion Aero 13-be自作デスクトップ
OSWindows 11 HomeWindows 11 ProWindows 11 Pro
CPU/APUAMD Ryzen AI 7 350
Zen5(Krackan Point)
8コア/16 スレッド
TDP 28W
AMD Ryzen 7 5800U
Zen3(Cezanne)
8コア/16スレッド
TDP 15W
AMD Ryzen 7 9700X
Zen5(Granite Ridge)
8コア/16スレッド
TDP 65W
メモリLPDDR5- 32GB
デュアルチャネル
DDR4-3200 16GB
デュアルチャネル
DDR5-5200 128GB
デュアルチャネル
グラフィックAPU内蔵(Radeon 860M)APU内蔵(Radeon RX Vega 8)GeForce RTX 5070Ti
SSD1TB SSD
(NVMe M.2・Gen4)
PSENN001TA87QC0
512GB SSD
(NVMe M.2・Gen3)
MTFDHBA512QFD-1AX1AABHA
2TB SSD
(NVMe M.2・Gen4)
WDS200T4X0E
<Cinebench 2004>
Multi6904561207
Single11483123
MP Ratio6.085.499.79
<PassMark 11.1>
CPU 21999.116072.036176.9
2D Graphics 975.3643.91494.0
Memory 2821.42404.03149.1
Disk 42608.411224.354348.5
3D Graphics 5455.82422.831934.7
PassMark Rating6469.43327.713336.9
ベンチマーク結果
Cinebench 2004
PassMark 11.1

CPUは5800Uから着実に速くなっている。ただ世代がZen3->Zen5と2世代進化していることを考えると、もう少し速くなっても良いかと思った。

圧倒的に速くなったのはDISKで、Pavilion Aero 13-beのGen3とOmniBook 7 Aero 13-bgのGen4の違いが大きく出たし、メモリもDDR4からDDR5に進化した分速くなっている。

3DグラフィックはPavilion Aero 13-beの倍ぐらいのスコアになった。GPU処理するソフトがあれば差が大きく出るかもしれない。なおデスクトップ機のグラフィックは5070Tiで、これは別次元の速さなので比較にならない(5070Tiの価格が、今回購入したOmniBook 7 Aero 13-bgの価格とほぼ同じ)。

まとめ

【良いところ】

・ジャスト1.0 [Kg]という軽さで、8コア5GHzのCPU、32GB・DDR5メモリの高性能。

・SSDが速い(Read : 6050 MB/s、Write:5510 MB/s)

・画面解像度が16:10(1920×1200)。

・そこそこ安価(本体税込み・送料込み、価格com限定価格13万9780円)

【気がかりなところ】

・高負荷時のファン音が、以前のPavilion Aero 13-beより大きくなった(37dBA -> 41dBA)。

・オプションの引き取り修理延長が最長3年まで(Pavilion Aero 13-beは4年)

・DC電源入力ジャックが無くなり、USB-PD入力のみになったので、外部電源使用時にはUSB-Cコネクタが一つ使われてしまう。

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