昨年の夏(2007年)に屈折望遠鏡ED100Sfを購入して、久しぶりに星見を復活させたのだが、しばらく経緯台での眼視を中心に行うことにした(10年ぐらい前まではポータブル赤道儀での写真撮影を主体に行っていた)。そこで、とても基本的ではあるが、「M天体を全部見る」というのを当面の目標とした。
もちろん、学生時代の天文研究会の活動などでかなりの数を既に見ているはずだが、とりあえずそれらの履歴を一旦リセットして、一からカウントし直すことにした。その際、条件ととして「自力で導入したもの」、「自動導入やナビは使わない」という条件を付けた。したがって、観望会や天文台、観測地で見せてもらったのはカウントしない。現在の状況は下記の通りである。
【場所】 | 自宅ベランダ | 砥峰高原 | 志方東公園 |
【光害】 | 通常は2等~3等星(北斗七星やカシオペア)が何とか見える程度。 | 天頂は5等星まで見える。南天は光害あり | 天頂付近なら天の川が薄く見える。 |
【観測したM天体数】 | 51 | 32 | 6 |
【観測したもっとも暗いM天体】 | M61(9.6等)
機材:SE120 + LPS-P2 |
M108(10.1等)
機材:SE120 + LPS-P2 |
M76(12.2等)
機材:SE120 + LPS-P2 |
それから一年以上経過しているので全部見ていても良いはずなのであるが、110個中、21個の未観測が残った。この中にはメシエ天体としての未確認・未確定が入っているが、それでも20個近くを見ることが出来なかった。これらの未観測M天体のほとんどは「おとめ座」、「かみのけ座」の系外銀河である。おとめ座は春の星座とされているが、実際に観望に適しているのは冬の間であり、高原への遠征はかなり厳しい。それで自宅から見ようとしたが、やはり9等級から10等級の系外銀河は、光害地の10センチクラスでは見えないものが多かった。春になると春霞や黄砂で高原でも空の状態が悪い。これらの銀河をどのように見ていくかが課題として残った。やはり、一念発起して冬の間に遠征するか、大口径の機材を導入するしかないのであろうか。
機材に関して、はED100Sf(10cm)に加えてSE120(12cm)を追加購入している。自宅において最も暗い天体を見ているのはSE120の方であるので、やはり口径差分有利なのかもしれない。ただし、両機種を横に並べて見比べたことはないし、それにこの程度の口径差よりも空の状態の影響の方が大きいと思う。
あと、光害カットフィルターの「LPS-P2」を常用している。これは48mm径のものを2インチ正立プリズムのバレルにねじ込んでいる(保護のため、プロテクターを重ねて装着している)。これを使うと、見えるか見えないかの瀬戸際の星雲が何とか見えるようになる。自宅でもフィルター無しでは見えなかったM65がこれで見えるようになった。しかし前述したように9等級の銀河のほとんどは依然として見えないので、劇的な効果ではなく「後一押し」という程度の効果だろう。
写真のように、LPS-P2フィルタを付けた2インチ正立プリズムとハイペリオンズームの組み合わせが、M天体眼視時の標準セットとなっている。暗い天体を見る場合、背景とのコントラストが丁度良く見やすい倍率に調節するのに、ズームアイピースは便利である。
なお、残っているM天体は下記のとおりである。
40, 46, 58, 59, 74, 84, 85, 86, 87, 88, 89, 90, 91, 95, 96, 98, 99, 100, 102, 105, 110,
M47を見ているのに何故M46が見えなかったのかが不思議だが、どうしても星団として認識できなかったのを覚えている。倍率が不適切で冬の天の川に埋もれてしまったのだろうか。
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