・2007年7月購入 : UW-6mm
・2009年4月購入 : ナグラーズーム3-6mm
私の手元にあるUW-6mmはビクセンWEBショップのオリジナル品だが、輸入元の表示が「スターライトコーポレーション」となっているので、スコープタウンのUW-6mmと同一品だろう。これは、2007年夏にED100Sfを購入したとき、「とりあえず安価で良質なアイピースをひと揃い用意する」ということで、UW-9mm,UW-20mmと同時に購入した。その後、低倍率に関してはハイペリオンズームやEWO等を買っていったが、私の観望対象が主に星雲・星団であり惑星はあまり見なかったため、高倍率側についてはUW-6mmをそのまま使っていた。これを焦点距離900mmのED100Sfに付けると150倍になるが、たまに惑星を見ると「もうちょっと倍率を出してみたい」とも思っていた。
そこで今回、思い切って「ナグラーズーム3-6mm」を購入した。今年の1月から円高還元で値下げになっていたのもタイミングが良かった。他の購入候補としてPENTAXのXWやビクセンのLVW、ラジアンなども検討したが、焦点距離を決めきれず、またハイペリオンズームでズームアイピースの便利さを知っていたので、結局このナグラーズーム(3-6mm)に決定した。なお、ナグラーズームはハイペリオンズームと異なり、ズーミングによってピントの移動がないのが利点である。
ハイペリオンズームとナグラーズームの2本で、3mm~24mmをおおむねカバーできる(6mm~8mmの間は空いてしまうが)。ハイペリオンズームはズーミングでピントがずれてしまうのが残念。
さて、先日品物が届いたので早速従来のUW-6mmと見比べをした。鏡筒はED100Sf、ミラーは笠井トレーディングの「31.7mm DX天頂ミラー」である。この日は大気の揺らぎも少なく、安定した星像が得られた。
(1)土星
まずUW-6mmを付けて土星を導入してみた。輪がかなり細くなっているが、土星本体と輪の間の隙間もちゃんと見える。土星本体の模様も薄い縞が1本分かる。カッシーニの隙間はよく分からない。
次にナグラーズームに差し替え6mmにしてみた。第一印象としては、UW-6mmに比べてシャープでコントラストが高いということである。例えるなら、画像処理でシャープフィルターを弱くかけたときのような変化が感じられた。土星本体や縞の色も濃くなった感じがする。実際、その違いはそれほど大きなものでは無いのかも知れないが、一見して「硬質で濃い」という印象が強く残る。ただしカッシーニの隙間はUW-6同様分からなかった(私が土星を見るのに慣れていないせいかもしれない)。
ズームアップしていくと、ピントが保たれたまま土星像が大きくなっていく。これはハイペリオンズームに比べて格段に使い勝手が良いと思った。3mmでは300倍の過剰倍率となるので若干ぼやけて暗くなるが、極端に見にくくなる事もない。
(2)プルケリマ
次の対象として、うしかい座のε星「プルケリマ」を導入した。プルケリマというのは「最も美しいもの」という意味だそうだ。2.5等の黄色の星と、5等の青色の星がわずか2.8秒角離れて並んでいる。まずUW-6mmであるが、黄色の星の光条の揺らぎで青色の星が隠されそうになるものの、しっかり分離できる。次にナグラーズーム(6mm位置)であるが、UW-6mmに比べて黄色の星の星像が引き締まった印象である。その分青色の星が見やすく、よりハッキリと分離できる。
結論としては、やはりナグラーズームの方がシャープでコントラストが高い。これから木星が見られるようになってくるのが楽しみだ。
また、今回分かったのはUW-6mmのコストパフォーマンスの高さである。ナグラーズームの10分の1という価格ながら、その差はかなり小さい。今回のようにわざわざ差し替えて比べない限り、あまり不満はでないと思う。私もこれまで倍率以外にはさほど不満がなかったので、そのまま使っていたという経緯もある。スコープタウンのWEBでには「周辺の星は流れる」との説明があり、それが高級アイピースとのコストの差のようだが、惑星を視野中心に入れて赤道儀で追尾している限り問題ない。
それから、明るい対象でのフレアやゴーストの出方については未確認であるので、また月が見えるようになったら比較してみたい。
#なお今回の感想は、惑星や重星の高倍率観測をほとんどしたことがない素人の私の主観であり、熟練した惑星観測者の方の目で見れば、違いがもっとハッキリするかもしれない、ということをご了解頂きたい。
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