RAP2(プレリリース版)が世に出て3年余り。多くの方がこれを使う中、私も先日やっとこれを導入した。ちょうど5月に更新(Build:2.0.2.412)があったようで、複数画像をバッチ処理で一括してDNGへ書き戻しできるようになったようだ。購入のタイミングとしては良かったかもしれない。
これまでの私は、ステライメージ6(SI6)でRAW現像「後」にフラット処理していた。本当はRAW現像時にダーク減算と共に行うのが良いらしいが、処理対象画像とRGBのバランスが同じフラット画像を作成するのが難しく、色々試行したがどうもうまく行かなかったので、あきらめた。
結局どうしたかというと、撮影鏡筒のフードにトレーシングペーパーを複数枚重ねて付け、昼間の空に向けてシャッタースピードを段階的に変えて撮影し、輝度レベルの異なる画像を用意した。感度は私が主に使うISO800である。撮影枚数は露出レベル1水準あたり8枚で、フラット用のダーク画像も同数枚撮影してSI6でダーク減算し、ベイヤー状態で加算平均したものをftsファイルでライブラリ化している。
それらの画像をSI6で処理対象画像と同条件で「ベイヤー・RGB変換」し、R,G,B個別に処理対象画像と輝度レベルが合うものをRGB分解で抜き出し、それらを再合成して、処理対象画像とカラーバランスと輝度レベルが合ったフラット画像を作成する。これをSI6のバッチ処理機能を用いて、RAW現像済み処理対象画像に一括適用する。
これ(↑)がその適用例で、昨年末に兵庫県多可町で撮影した「クリスマスツリー星団付近」である。
ハッブルの変光星雲を一緒に入れたくて、なんか変な構図になってしまっているのはご容赦・・・。また平地の街近くでわざわざこんな淡い星雲を撮らなくても良いのだが、フラット処理の確認にはちょうど良い題材だと思う。
これを見ると、一応ちゃんとフラット処理されているようだが、暗部のノイズが誤魔化しきれずに残っているとか星の色が薄いとかの不満もある。やはりここはAdobe系のRAW現像やノイズ処理を試したいところだ。
さて、今回試したRAP2でのフラット処理だが、フラット画像については、前述したフラット撮影の生データ(CR2)からDNG変換したものを用いた。RAP2でのフラット画像作成もバッチ形式でダーク減算・コンポジット出来るので効率は良いはずだが、露出水準数が多いので、結構時間がかかった。それで得られた複数水準のフラット画像から、R,G,B個別に処理対象画像の輝度レベルに合った画像を選定して指定し、「ベイヤーマージ」という方法によってRAWレベルで合成する。なお、合成元のフラット画像の輝度レベルは複数水準あるとは言え、処理対象画像とぴったり合うものは無いので、出来るだけ近い値のものを選んでいる。このあたり、どの程度の精度が必要なのかはよく分からない。
さて、これ(↑)は上述のようにRAP2でフラット処理し、Lightroom3(LR3)でRAW現像して、SI6でデジタル現像&レベル・トーンカーブ調整したもの(1コマのみ)。ちゃんとフラット補正されているようだ。
これ(↑)は同じ処理だが、RAP2の段階でのフラット補正のみを省略したもの。フラット処理無しで淡い星雲を強調しようとすると、こんな事になってしまう。
以上のように、私の環境でもRAP2を用いて正常にフラット補正作業が出来ることが確認できた(精度については詰めていく必要はあるが)。
次に、星団の撮影画像10分×12コマについて同様の処理を行った。RAP2の最新版にはDNG書き戻しのバッチ処理機能があり、ダーク減算、フラット補正、輝点・黒点除去が一括で出来るので、とても簡単だ。また、Lightroom3によるRAW現像も、一コマで決めた現像パラメータを複数枚に適用し、一括でTIFFに書き出し出来るので、これも効率が良い。
これらの処理後にSI6で12コマをコンポジットし、デジタル現像した。
この後はPSCS5で処理したいところだが、まだ使い方に慣れていないので、とりあえずSI6でレベル補正、トーンカーブ処理、恒星マスクでの星雲強調処理などを行った。
これ(↑)が完成した画像。
暗部のノイズや星の色などは前に比べて改善されているようだ。
しかし、まだ不満はある。星の大きさがまだ大きいとが、何かまだ「すっきり感」が無いとか、星雲の色や背景とのカラーバランスが・・・とか。
もちろん元画像が良くなければ仕方ないところもあるので、出来るだけ光害のないところで、ちゃんとピントを追い込んで、というところが大事なのだろう。
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