先日、FUJIFILM X-E2とCanon EOS 60Da、6Dのダークノイズ比較を行い、X-E2がかなりの低ノイズであることが分かった。しかし、実際の星や星雲の写り方などについては、やはり実写して見ないと分からない。
そういうわけで、同じAPS-CであるX-E2と60Daを望遠鏡の直焦点で実写して比較することにした。
共通データは下記の通り。
- 気温:3℃
- 撮影対象:オリオン大星雲(M42, M43)
- 撮影鏡筒:William Optics FLT98CF + レデューサーフラットナー4
- 48mm径LPS-P2フィルターをレデューサーフラットナー4の2インチバレル先端に装着
- 架台:ケンコーSE2赤道儀
- ガイド:笠井ガイドファインダー60、Lodestar Autoguider & iAGでオートガイド
- 露出:(1)ISO1600で90sec.、 (2)ISO3200で45sec.
- 現像:DNGに変換後、Lightroom5.3(Camera RAW 8.3)で現像。
- 背景がグレーになるよう、カラーバランスのみ調整。
本来、そのカメラに添付の現像ソフトで現像したものを基準にすべきなのだろうが、私はいつもDNGに変換して、RStackerやRAP2でダーク・フラット処理をした後にLightroomで現像しているので、今回も同様にした。
比較は、ピクセル等倍で「500×400」のサイズ分、M43付近を切り出して行った。
センサーサイズと解像度から計算した画素ピッチは、
- X-E2:約4.8 μm
- 60Da:約4.3 μm
なので、X-E2の方が1割ほど大きい。つまり、60Daの方がピクセル等倍比較では大きく写る。
Lightroomの現像時ノイズ軽減(低減)処理のデフォルト値は
「輝度:0、 カラー:25」
だが、まずはノイズ軽減しない、「輝度:0、カラー:0」で比較した。
背景のザラツキはX-E2の方が少ない。60Daの方は粒々がそのまま見えるのに対し、X-E2は既にノイズ軽減処理されたような滑らかさがある。しかし微光星が塗りつぶされたような印象は受けない。両者ともだいたい同じ程度の星が写っているように見える。
なお今回は気温が3℃と低いので、60Daの方のノイズもかなり少なく、20℃弱で撮影したダークノイズ比較時よりは両者の差は小さい。
さて、現実的には現像時にノイズ軽減処理をしないという事はまず無いので、次に標準的なノイズ軽減処理として「輝度:25、カラー:25」で比較した。
両者とも、カメラJpeg出力のような滑らかな画像となった。しかし、やはりまだ60Daの方が粗い。
そこで次は、60Daのみノイズ軽減パラメータの輝度を「輝度:40」に増加させ、X-E2の「輝度:25」と並べてみた。両者ともカラーは25のままである。
これでノイズが概ね同程度となった。
今回の結果を見る限り、X-E2は60Daに比べて星の写りで劣るところはないようだ。ただし、60Daは天体専用の赤外カットフィルターなので、Hαの写りは違うと思う。今回も、60Daの方が星雲の色の赤みが多い。
ノイズについては60Daの方が多いように思えるが、現像時のノイズ軽減のパラメータ調整で同程度になる。そのためX-E2の方が特に優位という感じではないのだが、今回は気温が3℃と低く、60Daとの差がつきにくかったかもしれない。
20℃弱の条件で実施したダークノイズ結果から考えると、高温時にはX-E2の方がもっと有利になるはずなので、また春~夏にかけても実写比較をしたいと思う。
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