APS-Cデジカメ・フィルターなし
先日購入したAskar ACL200について、星像とフラットは検証して問題ないことを確認したので、今回は輝星によるゴーストの発生について確かめた。
まずは、フィルター類を一切付けない状態でEOS60Da(APS-C x1.6)に装着し、ベガを写野中央と端にいれて撮影した。光害地なのでノーフィルタではあっと言う間に飽和してしまうので、絞りF4・ISO800・30秒とした。また、EF200mm F2.8L II USMをF4に絞ったものを比較対象とした。
画像処理は下記の通り。
- RAWファイル(CR2)をステライメージでカラーバランスだけ自動調整してデベイヤー(ダーク・フラット処理なし)。
- レベル調整のモードを「最小値とレンジ」にして、レンジを65535->3000まで圧縮(強い画像処理を想定)。
- 中央付近の背景部分の輝度がおおむね「100/255」程度になるように最小値を調整。
- デジタル現像で輝星の飽和部分を回復。
- 4×4ソフトウェアビニングで25%に縮小。
結果は下の画像(右上の黒いシミはセンサーのゴミ)。
輝星周りや対角線上に目立つゴーストの発生は見られない。
この下は比較対象のEF200mm F2.8L II USM。
EF200mmの方は絞りによって輝星に光条が出ているが、問題になるようなゴーストはない。
フォーサーズCMOS・対光害フィルターあり
実際に光害地の自宅で使う場合、対光害フィルターの使用は避けられない。また、カメラはフォーサーズセンサーのASI294MC Proがメインになっているので、この組み合わせで馬頭星雲付近を撮影した。
なお、対光害フィルターは「Comet BP」をACL200の後部2インチフィルターアダプターに装着した。
それから、ASI294MC Proに付けているEOSマウントアダプターの内部に、防塵目的でオプトロンのクリアフォーカシングフィルター(2インチ)を入れている(クリアすぎて見えないが、ピンク色の円で示した位置に入っている)。
平面フィルターを近い位置で2枚入れるのは良くないかと思ったが、この防塵フィルターがないと、CMOSカメラのカバーガラスにホコリが付いたときの影がかなり濃くなり、それが移動したときなどの処理が困難になる。
結果は下の画像
- 【環境】2020/11/13 0:28 – 2:24 / 兵庫県明石市/気温8℃/光害レベル:SQM-L測定値=18.9
- 【光学系】Askar ACL200(200mm F4)/ Comet BPフィルター
- 【カメラ】ASI294MC Pro
- 【架台・ガイド】ケンコーSE2赤道儀/SVBONY 30mm F4ガイド鏡/ASI120MM Mini
- 【ソフトウェア】<撮影>APT3.84/ <ガイド>PHD2/ <処理>(下記の通り)
- 【撮影法】センサー温度0℃・ゲイン200・オフセット30・180sec x 34コマ/PHD2によるオートガイド・ディザリングあり
- 【処理法】
- ステライメージ8によるダーク減算、フラット補正、デベイヤー
- FlatAide Proによるシェーディング補正
- DeepSkyStackerによる加算平均
- Photoshop CC、ステライメージ8による調整
- 3×3ソフトビニング
最も懸念される対角線上などの離れた場所のゴーストは発生しなかった。輝星の周囲には円形状のゴーストが出ているが、これはかなり強い処理で強調されてしまっている。丁寧に星マスクをすればもう少し目立たなくできるはず。
下の画像は、スタック・レベル調整・デジタル現像・ノイズ低減を行っただけの状態での、ピクセル等倍切り出し。強調処理前に比べると薄い。
デジカメでのベガ撮影では出なかったので、おそらくフィルターの影響かと思うが、この程度なら許容できる範囲。EF200mmは対光害フィルターをレンズ前面に付けるしかなく、対角線上のゴーストが発生していた。
ちょっと星像が甘いのは、ピントが若干ずれていたため。撮影開始時は合っていたが、2時間弱の撮影中に徐々にずれていったようなので、ピントリングの固定が甘かったか、温度変化かもしれない。慣れるまではこまめに画像でピント確認したほうが良さそう。
ガイドも少し流れている。今回は機材軽量化のために新たにSVBONYのSV165ガイド鏡(30mm F4)とASI120MM Miniを導入したが、固定や設定の詰めが不十分だったかもしれない。
焦点距離が短くなってくると、光害地では背景の色ムラの処理が難しくなってくる。今回もフラット補正やFlatAideProによるシェーディング補正は行っているが、それでも色ムラが残ってしまい、淡い部分を出せなかった。同じ領域でも無光害地ではもっと簡単に淡い部分を出せる。F2.8開放で周辺減光が大きくても、フラット補正が簡単に決まる。
200mm程度の焦点距離のレンズは、できれば無光害地へ遠征して、ポータブル赤道儀に載せて使いたい。
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