NGC2775(かに座の羊毛状渦巻銀河)

系外銀河 NGC2775
NGC2775 (かに座の系外銀河・光度10.3等・視直径4.5’)
  • 【環境】2022/3/10 19:11 – 22:22 / 兵庫県明石市/気温 9℃/光害レベル:SQM-L測定値=17.9(月齢7.8の月明あり)
  • 【光学系】R200SS + エクステンダーPH(1120mm F5.6)/ Comet BPフィルター
  • 【カメラ】ASI294MC Pro
  • 【架台・ガイド】ケンコーSE2赤道儀/ガイド鏡:ミニボーグ50+クローズアップレンズNo.2/ガイドカメラ:ASI178MM
  • 【ソフトウェア】<撮影>N.I.N.A 1.10 HF3/ <ガイド>PHD2/ <処理>(下記の通り)
  • 【撮影法】センサー温度0℃・ゲイン200・オフセット30・180sec x 53コマ(合計159分)/PHD2によるオートガイド・ディザリングあり
  • 【処理法】
    • 前処理(リニア):PixInsight – WBPP, ABE, DBE, PCC
    • 後処理(ノンリニア):ステライメージ9・Photoshop
    • 67%に縮小・トリミング有り

光害地の自宅から撮影した、かに座の系外銀河NGC2775。今回は光害のほかに上弦の月による月明もあったが、意外としっかり写っている。なお撮影したのが約半年前なので、季節が反対になってしまっている。

春の空の撮影は系外銀河が主体になるが、かに座には明るい系外銀河は無い。冬の天の川からも離れているため散光星雲も少なく、目立つのはプレセぺ星団(M44)とM67の2つの散開星団ぐらいで、この辺りは少し寂しい領域となっている。

ただ、視界に制限のあるバルコニーから撮影できる領域は限られているため、どうしてもこの付近しか撮影できないタイミングがあり、今回はそれに当たってしまった。近くにはしし座の大きめの系外銀河NGC2903があるが、これは今まで結構撮影してきたので目新しさに欠ける。そこで、小さくて暗めではあるが、かに座の目立たない系外銀河NGC2775を撮影してみることにした。これはかに座の南端で、うみへび座の頭のすぐ近くにある(下図)。

NGC2775の位置
NGC2775の位置

NGC2775は光度10.5等・視直径4.5’と小さめであるのと、形状がボヤっとした楕円状なので、あまり面白みがないのでは、と思っていた。ところがスタックして画像処理してみると、同心円状の暗黒帯が浮かび上がてきた。楕円銀河にしては面白い構造だなあ、と思って調べてみると、これは楕円銀河ではなく渦巻銀河であるとのこと。腕の形がはっきりしないのは、腕が細かい切片に分かれているため。ちょうど羊の毛のようなので「羊毛状渦巻銀河」と言うそうだ(それに対して、M81やM51のように腕がはっきりしているのは「グランドデザイン渦巻銀河」と言うらしい)。

今回の画像では銀河が小さすぎるので、腕が羊毛状になっている様子は分からず、せいぜい暗黒帯が判別できる程度だが、ハッブル宇宙望遠鏡の画像では羊毛状の腕が良く分かる。

NGC2775 (リンク引用元:https://esahubble.org/images/potw2026a/)
NGC2775 (引用元:https://esahubble.org/images/potw2026a/)

同様の「羊毛状渦巻銀河」は他にもあり、代表的なものとしてはNGC4414(かみのけ座)、NGC2841(おおぐま座)等がある。そういえば、M63(ひまわり銀河)も羊毛状かと思う。これまであまり意識していなかったが、自分で撮影していたものも多い。


さて、今回の画像にはNGC2775の周囲にさらに小さな系外銀河がいくつか写っていたので、PixInsightでアノテーションを入れてみた。

NGC2775 周辺の系外銀河
NGC2775 周辺の系外銀河

NGC2777は光度14等・視直径1.0’、NGC2773は光度14等・視直径0.7’。非常に小さくて暗いが、半月の月明と光害のある空でも一応写る。

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