- 【環境】2022/12/29~2023/1/18の期間の7夜//兵庫県明石市/気温 6℃~7℃/光害レベル:SQM-L測定値=17.3~18.5
- 【光学系】BORG71FL+レデューサー0.72xDGQ(288mm F4.1)/ Comet BPフィルター
- 【カメラ】ASI294MC Pro
- 【架台・ガイド】AZ-GTi赤道儀モード/ASIAIR Pro/SVBONY 30mm F4ガイド鏡/ASI120MM Mini
- 【ソフトウェア<撮影&ガイド>ASIAIRアプリ(Android)/ <処理>(下記の通り)
- 【撮影法】センサー温度0℃・ゲイン200・オフセット30/180sec x 262コマ(786分)
- 【処理法】
- 前処理(リニア):PixInsight – WBPP, ABE, DBE, BXT
- 後処理(ノンリニア):PixInsight・ステライメージ9・Photoshop
- 67%に縮小・トリミング有り
光害地の自宅で撮影した、きりん座の系外銀河NGC2403。
NGC2403は長径が17.8’の大型の渦巻き銀河で、光度も8.4等と明るい。なぜこれがメシエ天体に入っていないのか不思議なところ。場所は下図の通り、おおぐまの頭の上あたりで赤緯が65度36分とかなり高緯度にある。
自宅のバルコニーは南西向きであるため北東~北の空は撮影できない。赤緯でおおむね55度以上の高緯度は撮影出来ないので、普段はこの銀河を撮影対象にすることはない。しかし昨年末からZTF彗星(C/2022 E3)を撮影するため、AZ-GTiを高く持ち上げて7cmの小型鏡筒であるBORG71FLを乗せ、自宅屋根越しに北東の空を撮影できるようにしていた。
そのためZTF彗星が昇ってくる明け方までは、北の高緯度の対象が撮影できるようになっていた。そこで今の季節で撮りやすい対象としてNGC2403とM81-82を撮影することにして、12月末から少しずつ撮りためていたが、今回ある程度まとまった枚数(3分×262コマ・約13時間)たまったので処理してみた。
ただ鏡筒が口径71mm・焦点距離288mmと系外銀河を撮るには焦点距離が短すぎる。NGC2403が大型と言っても、超大型のアンドロメダ銀河(178’)の10分の1、M33(62’)の4分の1ぐらいしかない。しかしこれ以上大きな鏡筒をAZ-GTiに載せて持ち上げるのは危険なので、とりあえずこれでどの程度写るか試してみた。
最初はピクセル等倍での処理を目指していたが、13時間も露光した割には背景ノイズがあまり低減されておらず、あきらめて67%の縮小画像とした。ダーク画像の枚数を60コマしか用意していなかったので、それが悪かったかも。それに気が付いたのが全ての処理後だったので再処理する気になれず、今回はそのまま。次にM81-82を処理する際は撮影コマ数以上のダークを用意する予定。
また出来るだけ精細感を出すため、今回は今話題の「BlurXTerminator」を試用登録してPixInsightに組み入れて使ってみた。使用したのはDBEで背景ムラを修正し、PCCで色合わせを行った後のリニア画像。ノイズ低減はこの段階では行っていない。
パラメータについては、デフォルトでは星像が削られ過ぎ、一方銀河はあまり効果が感じられなかったため、Sharpen Starsを弱めに変更、Sharpen Nonstellarを最大の1に変更した。
適用前と適用後の比較は下の画像。
星像は程よく引き締まり、若干のピントズレによって生じた紫色のハロも低減された。一方銀河はあまり精細化された印象が無い。PSFを手動にして色々変えてみたが、小さいとあまり効果が無く、大きいと変な構造が出てしまうため、これ以上は改善できなかった。今回の画像に関しては効果が低そうだ。S/N比が悪いためだろうか。
その後のノンリニア処理で、ステライメージのマルチバンドシャープやNik CollectionのSilver Efexなどを使って仕上げると、それなりに渦巻き状になっているのが分かる画像になった(すこしお絵描き感があるが)。
でも、11年前の2012年に遠征地の多可町にてFLT98とKissX2で撮影した画像の方が自然で良い感じに見える。カメラの性能も画像処理のレベルも段違いに低いのだが。
やっぱり基本だが、暗い空と望遠鏡の口径が重要。それらが用意できないとき、光害地・小口径でどこまで頑張れるか試すのも面白くはある。
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