名古屋市科学館(プラネタリウム「電波天文学最前線」)

先日のこと、名古屋に行く用事があったので、世界最大の35mプラネタリウムドームがある名古屋市科学館を訪れることにした。ここは約5年前にもプラネタリウムを見に訪れているが、そのときは何故かブログに書いていなかった。画像は残っているので忙しくて放置しているうちに忘れたのかも。

名古屋市科学館・外観(南側から見たところ)

巨大な球体が目を引くが、この上半分がプラネタリウムの直径35mドーム、下の方が展示スペースとなっている。手前のロケットはH-II2Bロケット(以前筑波のJAXAで見たのはH-II)。

プラネタリウムのチケットは朝の9:30から当日の全ての回の分を販売するので朝9:30過ぎに行ったが、すでにかなりの人数が受付に並んでいた。下の画像は後で撮影したものだが。赤いテープで仕切られた順番待ち場所の半分以上が埋まっていた。

1階 チケット売り場

ただ、窓口がたくさんあるので順番待ち列はすぐにはけて、無事第1回目(10時)に入ることが出来た。

プラネタリウムは理工館6階の展示室(宇宙へ挑む)の奥から入場する。

ドーム内はさすがに世界最大の直径(35m)だけあって広々としている。チケット売り場ではかなりの人がいたように見えたが、実際には定員(360席)の半分も埋まっていなかった。

ドーム内

座席は全席指定だが、空きが多くて一部のエリアに人が偏っていたためか、上映開始前に好きな空き座席に移動してよいとのアナウンスがあった。座席は一人ずつ独立しており隣とは1mぐらい離れている。またリクライニングだけでなく回転もできる。ひじ掛けも有り、会社で偉い人が座る椅子のようで快適。多くのプラネタリウムにある横につながった座席では横の人がごそごそするのが気になったりするので、この座席はもっと広まってほしい(ドームが大きいからこそ実現できるのかもしれないが)。元々ゆったりした座席の上に自由移動で適度にばらけたため、非常にゆったりとみることが出来た。

ドーム中央に鎮座する投影機はカールツァイス製の「ユニバーサリウムIX型プラネタリウム]とのこと。2011年に導入された光学式のもの。

プラネタリウム投影機

また、デジタル式投影機「MediaGlobe Σ SE(コニカミノルタ)」も併用しているそうだ。カールツァイス製光学式と合わせた全体制御はコニカミノルタ製コンソールで行っている(こちら)。なかなか複雑なシステムのように思える。

さて上映が始まって最初は「今日の現地の星空」。これはどこのプラネタリウムでも共通の様式。光害を消した星空は、最近見た北九州のスペースLaboなどに比べると星のコントラストが高めのように見える。これは光学式のためだろうか。またドームが巨大なためか、星空のゆがみが少なく広々とした感じがある。少し光害を入れて星のコントラストを下げだ状態だと、本当の(郊外あたりの)星空のよう。ゆったりした座席と相まって、郊外の遠征地でリクライニングチェアを展開して星空を眺めている感覚に近い。

「今日の星空」の次は、今回のメインプログラム(一般投影)の「電波天文学最前線」。多くのプラネタリウムではここで収録済み番組の上映に切り替わるが、ここでは解説員さんの生解説が継続する。今回は「今日の星空」の話から南半球の星空の話へ続け、プラネタリウム投影を南半球に移動させて、ALMA望遠鏡の話へ移った。昔はこういう生解説方式が主流だったと思うが、今はかえって珍しいと思う。

昔ながらの生解説ではあるが、そこは最近のプラネタリウムなので古臭い感じは全くない。今回は電波望遠鏡による天の川COガス分布の可視化画像を、実際の天の川投影にオーバーレイさせるなど、かなり高度なテクニックを使われているのではないか。おかげでものすごく分かりやすくてためになった。私も天文ファンを自称していながら電波天文学のことは何も知らず、今回の解説でなるほど、とうなずくことがたくさんあって勉強になった(今回同行したA-2さんも、やはり解説員さんの全編通しての生解説は久しぶりで良かったとの感想だった)。

もちろん昨年見た「まだ見ぬ宇宙へ」や「水の惑星」のように圧倒的な映像美で感性を揺さぶる番組も素晴らしい。一方今回のように生の声で理論と研究成果を飽きさせずに語る解説番組も知的好奇心を満たされる。

実は私は高校生ぐらいまではプラネタリウムに結構通っていたが、大人になってからはあまり行かなくなっていた。それは、どこも大体は「今日の星空」の後はギリシャ神話や中国の古い言い伝えなどの説明で、アンドロメダ姫がどうしたとかいう話に飽きてきたから。

しかし中年以降(?)になってから、所用や旅行のついでになんとなく入ってみたプラネタリウムで、上記のような映像美や最新天文学の紹介が充実してきていることを知り、(頻度は少なく年数回だが)行ってみようかという気になってきた。そういうわけでここ数年は乗り鉄のついでにプラネタリウムというのをやったりしている。


さてプラネタリウムを見た後は、天文関連の展示も少し見て回った。天文関連はプラネタリウムの下の天文館5階「宇宙のすがた」。

天文館5階「宇宙のすがた」

ここには主に古いプラネタリウムや望遠鏡の展示があった。

カールツァイス製IV型プラネタリウム投影機

この投影機は、1962年から2010年まで、この市立名古屋科学館の20mドームで使われていたもの。私の世代ぐらいでは、子供のころの「プラネタリウム投影機」の典型的なイメージだと思う。

恒星用タングステン球

恒星用のタングステン電球。110V・1000W。

65cm 反射望遠鏡(三鷹光器製)

この望遠鏡は1985年から2010年までこの科学館に設置されていたもの。観望会などで使われていたそうだ。

タカハシ フローライト望遠鏡 カットモデル

高橋の望遠鏡のカットモデルは珍しいのではないか。ただしレンズはカットされていない。

ケプラーの法則模型

定番のケプラーの法則を説明する模型。ロートの外縁から金属球が出てきて、回転しながら中央の穴に落ちていく。中央に近づくほど角速度が上がるのが分かる。子供のころはこれが大好きで、明石の天文科学館にはプラネタリウムとこの模型を見るために良く通った。最後には中央の穴(ブラックホール?)に吸い込まれて消える瞬間が子供心にちょっと怖かった。


今回も次の予定があってあまり時間が無く、あとは鉱物・化石関連を少し見ただけで退館した。展示や体験コーナを丁寧に回ると1日がかりになると思う。

出るときに通った1Fのコインロッカーに元素が書かれていたのが面白かった。どうせならば周期表並びにしてほしかった。

1F コインロッカー

それから屋外に展示されていたB6型蒸気機関車はまだ戻ってきていないようだ。

B6型蒸気機関車のいた場所

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