メインPCの新調(Ryzen 9700X + RTX5070Ti)

これまで天体画像処理や動画編集などに使ってきたメインのデスクトップPCは、Ryzen 3700Xで2019年の夏に組んだもので6年が経過している(下の記事は2019年末の状態)。

2年前の2023年夏にはグラフィックボードをGeForce RTX3060(12GB)に付け替えて、GPUを使う画像処理の速度を大幅にアップさせた 。

しかし、CPUとストレージは6年前のままで、少し遅さが目立つようになってきた。そこで今回新しくデスクトップ機を組むことにした。パーツの詳細は以下の通り。

  • CPU:AMD Ryzen 7 9700X (3.8GHz, 8コア, 65W)
  • CPUクーラー:noctua NH-U12A(サイドフロー, 12cmファン×2)
  • マザーボード:GIGABYTE B850 A ELITE WF7(B850チップセット, ATX, Socket AM5)
  • メモリ:DDR5-5200 128 [GB](crucial CP2K64G56C46U5) 64GBの2枚刺し
  • グラフィックボード:GeForce RTX 5070Ti (16GB), 玄人志向 GALAKURO GAMING GG-RTX5070Ti-E16GB/EX/TP
  • SSD(起動):2 [TB], M.2 PCI-Express Gen4(WD Black SN7100 NVMe SSD WDS200T4X0E)
  • SSD(追加):4 [TB], M.2 PCI-Express Gen4(WD Black SN7100 NVMe SSD WDS400T4X0E)
  • ケース:Fractal Design Define 7 Compact Solid (FD-C-DEF7C)
  • ケースファン(ケース付属品から交換)
    • 前:吸気140mm×2, PWM, noctua NF-A14x25 G2 PWM Sx2-PP
    • 後:排気120mm×1, PWM, noctua NF-A12x25 PWM
  • 電源:ASRock Steel Legend SL-850G, 850W, 80 PLUS GOLD, ATX3.1 & PCIe5.1
  • OS:Windows 11 Pro(パッケージ版)
  • 光学ドライブは無し

CPUは省電力志向で9700Xとした(空冷にしたいため)。メモリは多めの128GB。そしてグラフィックボードは前回の3060からランクを上げて5070Tiとした。グラフィックボードのメモリは16GBは欲しかったので最初は5060Tiの16GB版にしようと思ったが、これからは画像処理だけでなくローカルLLMなども試してみたかったので、GPUの能力は高い方が良いと考え、思い切って5070Tiにした。でもさすがにその上の5080までは手が届かなかった。

ストレージはGen4で読み書き7100MB/s程度と高速なWD Black SN7100を、2TB+4TBとかなり贅沢に使用した。このマザーボードはGen5も使用可能で、同じWDのSN8100は読み書き14000MB/sを超えるらしいが、価格が2倍程度するので見送った。

CPUとケースのファンは前回同様にnoctuaで統一した。このnoctuaのファンの色は今一つ良いとは思えないが、一目見てnoctuaと分かる。

外観

Define 7 Compact Solidはシンプルな外観。今流行りのガラスのパネルでもないので内部は見えない。

内部

一昔前のPCに比べて内部のケーブルはかなり減った。光学ドライブとSATAストレージが無くなったのが大きい。まだファンとUSB関係のケーブルが多く、それらが少し見苦しい。内部が見えるケースできれいな照明をつけるのならもう少し整理するところだが、このケースは中が見えないので、とりあえずこれで良しとした。グラフィックボードが無駄に光っているが、そのままにしている。

静音性を重視し全てのファンをゆっくり回しているためアイドル時はほぼ無音で、CPUが42℃程度、GPUも42℃程度になる(グラフィックボードのファンはアイドル時には停止する)。しかし重い処理をやり出すと急激に温度が上がりファンが速く回るので結構うるさい。側面の板を付けても外してもあまり変わらないので、このケースは評判ほど静音性は無いようだ。

さて、旧PCに比べて天体画像の処理がどの程度速くなるのか、BlurXTerminatorStarNetで試してみた。

なお、ここで一つ問題が発生した。新しいPCにPixInsightをインストールし、その後、こちらの手順でBlurXTerminatorと NoiseXTerminatorをイントールした。この時点でこの二つのツールの動作は確認できた。それからStarNetをPixInsightに入れたのだが、最近StarNetもBlurXTerminatorと同じイントール方法になったようだ。これはResources -> Updates -> Manage RepositoriesでURLを追加するだけなので簡単になった。ところが、StarNetのURL指定で「https://pixinsight.starnetastro.com/tensorflow/ 」を入れてしまうと、BlurXTerminatorが動かなくなってしまった。どうやら、C:\Program Files\PixInsight\bin\tensorflow.dll を上書きしてしまっているようだ。そこでもう一度BlurXTerminatorと NoiseXTerminatorをインストールし直し、StarNetはtensorflowを入れずに本体だけをインストールした。これでBlurXTerminator, NoiseXTerminator, StarNetの3つが正常に動くようになった。StarNetはBlurXTerminatorが入れたtensorflow.dllでGPUを使った動作をしているようだ。


以下の速度比較で、新PCのRyzen 9700Xは65Wモードにて運用している。

  • 速度の比較:BlurXTerminator
    • 処理対象:4144 x 2822, 32bit カラー画像
    • パラメータはデフォルト
    • PixInsightを立ち上げ、1回処理してからUNDOで戻し、もう1回処理、更に戻してもう1回処理(計3回)。
処理対象画像(25%縮小・JPEG化)
1回目2回目3回目
(旧)Ryzen 3700X + RTX 306036.418.919.3
(新)Ryzen 9700X + RTX 5070Ti10.44.44.6
BlurXTerminator 処理時間(秒)

この処理は1回目のイニシャライズに時間がかかるため3回実施した。だいたい3.5~4倍程度の速度が出ているようだ。これならパラメータを変えながら何度も試行するのが苦にならない。同じCPUでGPUだけ変えるテストが面倒でやってないのでCPUとGPUの効果を切り分けできていないが、これだけ速くなるのはやはりGPUの力が大きいと思う。


  • 速度の比較:StarNet
    • 処理対象:4144 x 2822, 32bit カラー画像(BlurXTerminatorと同じ)
    • パラメータはデフォルト(Linear dataのみON)
    • PixInsightを立ち上げ、1回処理してからUNDOで戻し、もう1回処理、更に戻してもう1回処理(計3回)。
1回目2回目3回目
(旧)Ryzen 3700X + RTX 306027.124.826.3
(新)Ryzen 9700X + RTX 5070Ti6.96.56.0
StarNet 処理時間(秒)

StarNetは1回目とそれ以降の差が小さいが、いずれも4倍程度の速度が出ているようだ。3700XでGPU無しでは3分ぐらいかかっていたので、それに比べるとRTX3060もかなりの速さではあったのだが、それでも少し待たされる感じはあった。それが7秒になると待つ感じはほとんどない。


次に、GPUの効果が大きいと思われるAdobe Camera RAWのノイズ除去で速度比較した。

  • Adobe Camera RAW ノイズ除去
    • 処理対象:6028 x 4032, Pentax KP RAW画像(PEF)
    • パラメータはデフォルト(ノイズ除去適用量50%)
    • Photoshopを立ち上げ、1回処理してからキャンセルして読み直し、もう1回処理(計2回)。
処理対象画像(20%縮小・JPEG化)
1回目2回目
(旧)Ryzen 3700X + RTX 306029.311.8
(新)Ryzen 9700X + RTX 5070Ti7.32.7
Camera RAW ノイズ除去 処理時間(秒)

この処理も1回目は時間がかかるようだ。これも4倍程度の高速化になっており、待たされる感じがほとんどなくなった。


さて、この新PCはCPUがX3Dではないので若干弱いが、ミドルレンジ上位クラスのGPUのおかげで、そこそこのゲームが出来るマシンにもなっている。私自身はPCでゲームはあまりしないが、とりあえずファイナルファンタジー15ベンチを実行してみた。

標準品質
1980×1080
高品質
3840×2160
(旧)Ryzen 3700X + RTX 3060100083659
(新)Ryzen 9700X + RTX 5070Ti2318111824
FF15 ベンチ スコア
  • 12000~ 非常に快適
  • 9000~11999 とても快適
  • 6000~8999 快適
  • 4500~5999 やや快適
  • 3000~4499 普通
  • 2500~2999 やや重い
  • 2000~2499 重い
  • 0~1999 動作困難

4K, 高品質でも「とても快適」となった。


これからしばらく移行作業などを行う予定。

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