今回、ミラーレス一眼の富士フイルムX-E2を導入した。
レンズは、レンズキットの「XF18-55mmF2.8-4 R LM OIS」。
ミラーレスカメラは、軽量で手軽、様々なレンズを付けて試せるなど面白い存在なので、以前から一台欲しいと思いつつも、なかなか買えずにいた。
しかし先日の大河内高原への遠征で、HさんがポラリエにNEXを載せているのを見て、それが結構良い感じにまとまっていたので、背中を押された気がして購入した。そこで同じNEXでなくX-E2にしたのは、高感度耐性がが良さそうなのと、X-Transフィルターの出す画像に興味があったため。X-E2は背面液晶が固定式なので天体用としては使いにくいのが欠点。
ポラリエに載せたところ。
コンパクトにまとまっているが、相変わらず構図は決めにくそう。カメラが軽いので、自由雲台の2段重ねでも良いかもしれない。
早速、ダークノイズテストも実施した。
比較対象はEOS 6D、EOS 60Daの2台で、テスト方法は先日のEOS 6Dの時と同じ方法とした(下記)。
- カメラにマウントキャップ、アイピースキャップをして、インターバル15秒で3コマ撮影し、3コマ目を採用(X-E2はEVFなのでアイピースキャップ無し)。
- RAWファイル(RAF、CR2)を、Adobe DNG Converter8.3でDNG変換.。
- DNGファイルをLightroom5.3で現像、16bit/チャネルのTIFFで保存。
- TIFFをPhotoshop CCで読み込み、レベル補正でハイライトの値を255->50に下げてノイズ強調。
- トリミング無しで400×267(ピクセル)に縮小、およびピクセル等倍で中央部を400×267(ピクセル)切り出し、比較画像作成をしてJPEG出力。
また、3のLightroomの現像パラメータは、基本的にデフォルトのままだが、下記のみ変更した。
- カラーノイズ軽減をゼロ(デフォルトは25)。
- トーンカーブはリニア
- WBは、機種に応じて調整(曇り空を撮影して、それがグレーになるようにした)。
露出は「ISO800・600秒」を基準として、露光量が同じになる「ISO1600・300秒」、「ISO3200・150秒」、「ISO6400・75秒」。
気温は19℃。これは真夏の砥峰高原の気温よりやや低い程度。ノイズがかなり出やすい気温である。
まず、トリミング無しで400×267に縮小したダーク画像
X-E2のノイズは、2機種のEOSよりかなり少ない。
ただし、ISO6400の結果を見て分かるように、画面周辺部のノイズが多めで中心部が少なめというように、ムラが生じている。ノイズが目立つ条件での撮影時には、割り切って縦横80%程度にトリミングした方が良いかもしれない。
次にピクセル等倍で中央部を切り出した画像
やはりX-E2のノイズがかなり少ないことが分かる。ただしこれは中心部の切り出しなので、周辺部はもっとノイズが多い。さすがにISO6400ではX-E2もノイズが目立つ。しかしそれでもノイズに色が付かないので、目立ちにくそうだ。これはやはり独自のカラーフィルター配列(X-Trans)の効果かもしれない。
さて、X-E2が比較的低ノイスなのは分かったが、周辺部と中央部でノイズ分布に差が有るので、やはりダーク減算をしないと画像処理しにくい。
X-E2のRAW状態でのダーク減算・フラット処理は、DNGに変換すればRStackerが対応しているので、それでISO6400の画像をダーク減算してみた。といっても、ダーク画像から同じダーク画像を減算するとオールゼロになってしまうので、3コマ撮影したうちの先の2コマを加算平均してマスターダーク画像として、それをこの3コマ目の画像から減算した。
まず、トリミング無しで400×267に縮小したダーク画像
周辺部のノイズがある程度低減された。
次にピクセル等倍で中央部を切り出した画像
当然ながらランダムノイズは消しきれないが、輝点がかなり減っていることが分かる。
高感度時にはやはりダーク減算をした方が、しないよりは良さそうだ。
以上のように、X-E2はISO3200までならかなり低ノイズである事が分かった。
ただし、これは天体写真で重要な「S/N比」の「N」の部分だけの評価である。「S」に関しては、公称感度が同じならどの機種も同じに写るだろうとの前提だが、実際は同じ公称感度表示でも、実効感度が異なる可能性がある。また、無改造機でHαをどの程度通すかということも写りに影響してくる。最終的には実写で判断するしかない。
いずれにせよ、気温19℃でこれだけノイズが少なければ、真夏の夜に高原で星景星野を撮影するための、強い味方となってくれそうな気がする。
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