フリーのオートガイドソフト「iAG」がVer0.3.0でASCOMに対応した。従来はUSB-IOを用いたリレーボックス方式のみであったが、赤道儀制御部分をプラグインとして分けることでASCOM対応が可能になったそうだ。そのため、ソフトウェアのインストールは、本体のインストール後に赤道儀制御プラグインを別途ダウンロードして所定のフォルダ(iAGPluginTelescopeControl)に手動でコピーする必要がある。
私は既にUSB-IOリレーボックスを所有しているのでASCOM制御の必要性は低いが、選択肢は多い方が良い(例えばリレーボックスが壊れたときなど)。とりあえずα版テスターとして動作テストをしてみた。環境は以下の通り。
- 赤道儀:ケンコースカイエクスプローラー2(SE2) SynScan Ver3.25
- ガイド鏡:ケンコーSE102屈折
- ガイドカメラ:Celestron NexImage
- パソコン:DELL XPS M1330(Core2Duo T8100 2.1GHz) Windows Vista Home Premium
- USB-シリアル変換ケーブル:Arvel SRC06USB
ASCOM制御ガイドでは、ガイドカメラ(NexImage)をパソコンにUSB接続する以外に、赤道儀のハンドコントローラーとパソコンのシリアルポートを付属のシリアルケーブルで接続するだけで良いので、配線は割とすっきりしている。ただし私のパソコンにはシリアルポートが無いので、USB-シリアル変換ケーブル(SRC06USB)を用いてUSB接続としている。実際は赤道儀に小型のUSBハブを貼り付け、NexImageとSRC06USBはそれに接続して、パソコンからハブは1本のUSBケーブルで済ませている。
さて、ASCOM制御ガイドを行うには、色々とソフトウェアの前準備が必要である。この点がリレーボックス方式と違ってやや面倒だ。
1.最新のASCOM Platformのインストール
こちらから
2.使用赤道儀に応じたASCOMドライバーのインストール
こちらから
私のSE2赤道儀は説明書によると「コマンドがCelestron NexStar5i互換」とのことであったので、Clelestronのドライバを入れた。
3.iAGとプラグインのインストール
こちらから
iAGソフトウェア以外にASCOMプラグインを手動で入れる必要有り(詳細は開発元の説明参照)。
4.iAG起動と起動時セットアップ
iAGを起動すると、ガイドカメラと制御方式の選択ダイアログボックス(iAG Start Menu)が出るので、使用するカメラと制御方式を選ぶ。その際、ASCOM関係の設定を「config」から行うことが出来る(これはiAG起動後後でもconfig画面のIOタブから変更できる)。
「Configuration Wrapper for ASCOM」ではガイド方式 として「RateChangeGuide」、RA Rate=10、DEC Rate=10とした(RA Rateは後で1.05に変更)。
また、Driver Infomationからは「Select」でドライバを指定できるが、Clestron Scope Driverを選択した。そのプロパティとしては、Scope Type=NexStar5i、TrackMode=EqNとした。SerialPortはPC環境によって変わると思う。ShowHandControlにチェックを入れておくと、手動コントローラーが出てくるので便利だ。
なお、PulseGuideでも一応ガイドは出来るが、どうもレート変更がうまく行かず、速度調整が出来ない状態だ。
Start MenuでOKを押すと、更にガイドカメラの設定画面が立ち上がり、それを済ませるとプログラム本体が起動する。
5.ガイドの実際
キャリブレーション~ガイドについてはUSB-IOの場合と全く同じである(説明書や過去記事参照)。
ここで、最初に設定したRA Rate=10の値が大きく、RAの移動量が速すぎてキャリブレーションがうまく行かなかったのでRA Rate=1.05に変更した。それでもRAの移動速度がまだ速すぎるが、RA Rate=1.02まで下げても変わらず、1.01にすると動かなくなった。仕方ないのでそのままガイドしたが、とりあえずはちゃんとガイド出来ているようだ。
なお、USB-IOリレーボックスによる撮影カメラのシャッター制御は、ASCOM制御と併用できる。
以上でとりあえずASCOMでのガイド動作を確認できた。
6.EQMODドライバ
NexStar5iドライバではPulseGuideでのレート変更がうまく行かず、RateChangeGuideのRA速度も今ひとつ制御しにくいことから、赤道儀ドライバを「EQMOD」に変えてみることにした。EQMDOはこちらからダウンロードした。
このドライバを使う場合、赤道儀のSynScanを「PC Directモード」にしておく必要があるようだ。これはハンドコントローラーの「Utility」メニューから設定できる。
ドライバの設定はこの(↑)画像の通りで、RateChangeGuide、RA Rate=10、DEC Raet=10とした。
キャリブレーション有りのガイド(↑)はおおむね良好のようだ。
また、キャリブレーション無しでもガイド出来る(↑)。この場合はSHIFT量がデフォルトの100msでは大きすぎるようなので、20ms迄下げた。
なお、このドライバでもPulseGuideがうまく動作しなかった。ドライバのSETUPにもレート変更のスライダがあり、これも色々と変えてみたがダメだった。EQ6とPHDではPulseGuide出来ているようなので、今後はこの辺りの調整が課題だと思う。
以上のように、今後も継続した調整は必要だが、とりあえず(私の環境では)iAGのASCOM制御は確認できた。しかしハードウェア的に簡単になった分、ソフトウェア的には難しくなった(自分のシステムに合った設定を見つければ後は同じだが)。
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