二重星の試写

先日の木星・土星・火星を撮影した晩、各惑星が昇ってくるまでの時間待ちの際、待機中の惑星撮影セッティングそのままで二重星が撮影できるのではないかと思い、試しに撮影してみた。

これまで二重星を拡大撮影したことはほぼなかったので、ノウハウもまったくなく、導入して適当な設定で動画撮影しただけ。ただ、どの程度分離できるものか試したかったので、離角が小さめのものを選定した。

まずは、うしかい座ε(イザール/プルケリマ)

うしかい座ε(イザール/プルケリマ) 
  • (2017) 2.6等/4.7等, 角距離=2.9″, 位置角=345°
  • 2020/6/20 22:59, Seeing:4/10, Trans.=3/5
  • Mewlon 180C, Powermate2.5x, ZWO ADC, UV/IR Cut Filter
  • ASI183MC Pro, Gain=150, 1/30sec. , 50% of 1803 Frames
  • AutoStakkert!3(スタック), StellaImage8(デジタル現像・マルチバンドシャープ), PhotoshopCC(その他調整)

眼視では、シーイングが良くなくてチラチラするものの、アイピース8mm(270倍)で分離。主星:金色、伴星:水色のきれいな組み合わせ。「プルケリマ」は、「最も美しいもの」という意味だそうで、それも納得。

ただ、上の画像はその美しさを全く捉えきれていない。


次は、さそり座α(アンタレス)

さそり座α(アンタレス)
  • (2016) 1.0等/5.4等, 角距離=3.2″, 位置角=276°
  • 2020/6/20 23:22, Seeing:4/10, Trans.=3/5
  • Mewlon 180C, Powermate2.5x, ZWO ADC, UV/IR Cut Filter
  • ASI183MC Pro, Gain=150, 1/30sec. , 50% of 1801 Frames
  • AutoStakkert!3(スタック), StellaImage8(デジタル現像・マルチバンドシャープ), PhotoshopCC(その他調整)

おなじみアンタレスも実は重星だった。

角距離はプルケリマと同程度だが、主星が1等星で明るすぎ、その光芒に伴星が隠されてしまっている。シーイングが良くないためか眼視では270倍でも全く分離できない。画像でもスタック後、そのままでは伴星が見えない。しかし、デジタル現像で輝度差を圧縮し、更にマルチバンドシャープを掛けると見えてきた。


あまり考えなしに、空き時間に気軽に撮ったためか、画像処理していると色々と問題点が出てきた。

  1. 画像の上側がちゃんと北になっていない
    • 木星や土星のように模様で向きを合わせられない。
    • 位置角の情報から後で合わせるのも大変なので、撮影時に左右が東西になるよう、合わせておいたほうが良さそう。
  2. カラーバランスが合っていない
    • 背景がニュートラルになるよう調整しても、星の色が実際と合わなかった。これも撮影時になにか基準となる白色のもので調整したほうがいいかも。
  3. ディフラクションリングがちゃんとした丸になっていない。
    • もしかして光軸がずれているかも?
    • 接眼部より後ろの機材の重さでたわみ?
    • ADCの調整ミス?
    • 気流のせい?
    • 確認と調整が必要。

実際やってみると、なかなか難しかった。

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