北九州市科学館「スペースLABO」(プラネタリウム「まだ見ぬ宇宙へ」)

経緯

2022年6月中旬に、北九州市科学館「スペースLABO」を訪問した。

九州を訪れるのは久しぶり、と思って調べてみたら最後が2002年4月だったので、なんと20年ぶり。仕事でも九州を訪れる用事がなかったし、個人旅行は北の方(北海道とか)を優先していたので、気がついたら20年経っていた。九州新幹線(800系)もまだ乗ったことがなかったし、久しぶりに8620形蒸気機関車も見てみたい、門司港駅九州鉄道記念館も行ってみたいなあと思い、コロナ禍が落ち着いてきた今のタイミングで北九州から熊本ぐらいまでを訪ねてみることにした。

上記の通り旅行の動機はかなり鉄分強めだったが、まずは天文ファンの立場として北九州に行くなら外せないのが「スペースLABO」。これはスペースワールドの跡地に建設されたアウトレットモールの中に作られた北九州市科学館のことで、今年2022年4月28日にリニューアルオープンした。ここにはプラネタリウムと展示施設がある。入館は日付と時間帯別の予約制なので、事前にWEBサイトで予約をしておく必要があった。プラネタリウムと常設展示室の予約は別枠なので、両方入りたい場合はそれぞれ別に予約する必要あり。

訪問当日、小倉から電車に乗って「スペースワールド駅」に到着。

スペースワールド駅
スペースワールド駅

スペースLABOは駅前の歩道橋を渡ってすぐの位置にあった。

スペースLABO外観
スペースLABO外観

屋根には天体ドームが見える。ここは天体観望会が定期的に行われているようだ。望遠鏡の詳細はWEBサイトに書かれていないので不明。

周辺にはAEONのショッピングモールやアウトレットモールがあるが、車で来る人が多いためか、駅の近辺はそれほど混雑した印象はなかった。

入り口は歩道橋の下すぐ。

スペースLABO入り口
スペースLABO入り口

予約に空きがあれば当日でも入れそうだが、この日は土曜日ということもあって、ほぼ満員だった。受付カウンターで予約番号を伝えてチケットを購入した。


プラネタリウム「まだ見ぬ宇宙へ」

まずは3階のプラネタリウムから入室した。プラネタリウムドーム内では写真撮影が憚られたので画像はなし。プラネタリウム機器は「五藤光学研究所」の「ケイロンⅢ・ハイブリッド」とのこと。詳細は五藤光学研究所サイトを参照。

スペースLABO(北九州市科学館)がOPEN西日本最大級の「ハイブリッド・プラネタリウム」が誕生 | 株式会社 五藤光学研究所
株式会社五藤光学研究所(取締役社長 五藤 信隆、東京都府中市)は、スペースLABO(北九州市科学館 館長 川村康文、福岡県北九州市)に「ケイロンⅢ・ハイブリッド」を納入設置しました。同館のプラネタリウムは、本物の星空を追求した光学式投映機「

座席はゆったりしていて快適。予約制による全席指定なので、良い席を取るために並ぶ必要がないのが良い。

ドームの大きさは直径30mで、名古屋市立科学館の35mには及ばないものの、国内最大クラス。実際に入場して見渡してみると、かなり広々として開放感のある印象。

45分間の投影時間のうち、最初の15分程度は解説員さんの生解説による本日の星空。さすが最新鋭のプラネタリウムだけあって、美しい星空だった。弱いソフト系フィルターをかけて輝星をやや大きくした星野画像のようで、星はとても多く見えるが、星座もわかりやすい絶妙のバランス。実際の「満天の星」の状況は星が見えすぎて星座が分かりにくいが、このプラネタリウムは、それよりも分かりやすい。

そしてメインの番組である「まだ見ぬ宇宙へ」が始まったが、これが素晴らしい作品。

まだ見ぬ宇宙へ | 株式会社 五藤光学研究所
株式会社五藤光学研究所のホームページです。「ドーム空間のトータルクリエイター」として、世界各地にプラネタリウムや望遠鏡など、学校教育からエンターテイメントまで、幅広いニーズに対応した製品群を納入しています。

YouTubeにトレイラーがあった。

地球から旅立って、月→太陽系惑星→天の川銀河→局所銀河群→超銀河団とスケールアップして紹介していく筋書きで、それは「MITAKA」を使えば自宅でも再現できるのだが、それを圧倒的なクオリティーの3次元グラフィックスで表現している。特に「らせん星雲」や「オリオン大星雲」などは息を呑む美しさと大迫力。これを自宅のテレビで見るならば客観視出来るが、プラネタリウムの大ドームに投影されるので、自分が星雲の中を突っ切るような感覚になる。

これは特に天体写真ファンは必見の作品かもしれない。星雲の天体写真を撮影する人にとって、ハッブル宇宙望遠鏡の画像は長年究極の目標であった。現在、天体写真処理は撮影機材の進歩と各種デジタル処理で、アマチュアがハッブルに迫る2次元画像を作り出しつつある(完全に及ぶのは無理としても)。そして加工作業の割合が増えておりCG的な要素も含みつつあるように思う。それなら、CGを補助として用いることも有りとすれば、将来的にこのような3次元的表現が目標になるかもしれない。

このプログラムは、今年2月から大阪市立科学館で上映されていたようだ(現在は上映終了)。それなら上映期間中に近場である大阪に行けば良かったのだが、情報収集しておらず気が付かなかった。


宇宙関連展示(3F)

プラネタリウムを出た所は3階の宇宙関連展示(スペースラウンジ)となっている。

3階 スペースラウンジ
3階 スペースラウンジ

奥のプラネタリウム入り口付近にはスペースシャトルのエンジン、手前はゴダードのロケット模型がある。壁には宇宙開発の歴史。

このフロアの目玉は「月の石(本物)」。

月の石
スペースラウンジ 月の石

玄武岩だそうだ。展示ケースは警報装置付きで、衝撃を与えたりすると警報が鳴るそうなので注意が必要。

アポロ宇宙船の司令船

アポロ宇宙船 司令船
スペースラウンジ アポロ宇宙船 司令船

サイエンスLABO(2F)

サイエンスLABO(常設展示室)はプラネタリウムとは別の予約枠・チケットで入場する。

展示は、見たり触ったりして体験できる科学現象の体験がメイン。子供から大人まで楽しめるが、特に子供は喜ぶと思うし、科学への興味を持つきっかけになると思う。

サイエンスLABO 振り子のハーモニー
サイエンスLABO 振り子のハーモニー
サイエンスLABO 空気の噴水
サイエンスLABO 空気の噴水
サイエンスLABO 竜巻発生装置
サイエンスLABO 竜巻発生装置

1階から2階への吹き抜けになっているところに、「竜巻発生装置」があった。これは国内最大級とのこと。カラフルにライトアップされている。


サイエンスLABO(1F)

サイエンスLABO(常設展示室)は1階と2階に分かれているが、常設展示の予約枠の同じチケットで入場できる。

1階の方は北九州に関連のある展示。特に北九州出身の世界的気象学者である藤田哲也博士に関する展示に目を引かれた。

サイエンスLABO 藤田哲也博士の経歴・業績
サイエンスLABO 藤田哲也博士の経歴・業績

藤田博士は北九州市出身で、ミスタートルネードと呼ばれているそうだ。上記の竜巻発生装置もミスタートルネードに関連して設置されたのだろう。

サイエンスLABO 藤田哲也博士の自作機器
サイエンスLABO 藤田哲也博士の自作機器

機械工学者なので、実験機材は自作していたそうだ。工作に関してちょっと不器用な私としては、どの分野でも機材を自分で作る人に対しては尊敬の思いと、親近感が湧いてくる。

サイエンスLABO 藤田哲也博士のカメラ Canon FTb
サイエンスLABO 藤田哲也博士のカメラ Canon FTb

藤田博士のカメラは、なんと「Canon FTb」だった!。

絞り込みレバー形状から判断すると正確には改良型の「FTb-N」のようだ。実は私の祖父がCanon派で愛機がFTbとEFだった。そのレンズ資産を受け継ぎ、私もFDマウントユーザー(AE-1とNew F-1)だったので、ここで親近感MAX!!。高名な先生なのだから、普及機のFTbだけでなくF-1も所有されていたのだろうか?、また所有されていたFDレンズは何か?、など興味が尽きない。上の画像でFTb-Nに装着されているのは「FDマクロ 50mm F3.5 S.S.C.」。自作機材には接写装置が多くあるようだったので、マクロレンズを多用したのだろうか。

その他、大学関連の展示などもあった。

サイエンスLABO 大学関連展示
サイエンスLABO 大学関連展示

そういうわけで、プラネタリウムと常設展示を見て回ったが、十分楽しめた。北九州を訪れる機会は今後あまり無いかと思うが、もしあればこの施設は再訪したい。

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