さんかく座の「にぎやかな領域」(NGC672, Collinder21周辺)

さんかく座の系外銀河「NGC672」、アステリズム「collinder 21」周辺
さんかく座の系外銀河「NGC672」、アステリズム「collinder 21」周辺
  • 【環境】2023/12/8 19:00 ~ 12/9 0:20 / 兵庫県明石市/気温 8℃/光害レベル:SQM-L測定値=18.5
  • 【光学系】R200SS + コレクターPH(760mm F3.8)/ Comet BPフィルター
  • 【カメラ】ASI294MC Pro
  • 【架台・ガイド】ケンコーSE2赤道儀/ガイド鏡:ミニボーグ50+クローズアップレンズNo.2/ガイドカメラ:ASI178MM
  • 【ソフトウェア】<撮影>N.I.N.A 2.2/ <ガイド>PHD2/ <処理>(下記の通り)
  • 【撮影法】センサー温度0℃・ゲイン200・オフセット30・180sec x 101コマ(合計303分)/PHD2によるオートガイド・ディザリングあり
  • 【処理法】
    • 前処理(リニア):PixInsight: WBPP, ABE, DBE, PCC, BlurXTerminator, NoiseXTerminator
    • 後処理(ノンリニア):ステライメージ9・Photoshop
    • 50%縮小・トリミングあり

光害地の自宅で撮影した、さんかく座の「にぎやかな領域」。大小さまざまな系外銀河と、並びが美しいアステリズム「Collinder 21」がおもちゃ箱の中のようにごちゃ混ぜになっている。

「さんかく座」と言われてまず思い浮かぶのは、大きな系外銀河「M33」。

実際このM33以外に何も思い浮かばないのだが、よく調べてみるとNGC925(10.0等)のような大きめの系外銀河もあることがわかる。そしてその次に明るい系外銀河がおそらくNGC672(10.8等)。これは一番上の画像で右半分の領域にて、系外銀河IC1727(11.6等)と並んでいる。

系外銀河NGC672(10.8等・視直径6.2' x 2.3')と、IC1727(11.6等・視直径6.3' x 2.3')
系外銀河NGC672(10.8等・視直径6.2′ x 2.3’)と、IC1727(11.6等・視直径6.3′ x 2.3’)

両銀河は接近して並んでいるので、この2つだけをもっと長焦点距離で拡大して撮影するのがスタンダードだと思う。両者はほぼ同じサイズだが、NGC672の方が中心部が明るくて濃い。また、周辺には小さなPGC番号の銀河がちりばめられている。

一番上の画像の左上の領域には、小さなエッジオン銀河NGC684(13.0等)がある。

さんかく座の系外銀河NGC684(13.0等・視直径2.0' x 0.5')
さんかく座の系外銀河NGC684(13.0等・視直径2.0′ x 0.5’)

視直径は2.0′ x 0.5′ と小さいが、中央の暗黒帯がはっきりしていてエッジオン銀河であることが分かる。そしてこの領域も背景に小さなPGC番号銀河が点在する。

そして、一番上の画像で左下の領域にアステリズムであるコリンダー(Collinder)21がある。

さんかく座のアステリズムCollinder 21付近
さんかく座のアステリズムCollinder 21付近

コリンダー(Collinder)カタログは散開星団のカタログだが、ステラナビゲータにもPixInsightのAnnotateにも無いので、上の画像の丸印は自分で描いた。コリンダーカタログの中の多くの散開星団は、メシエやNGCなどの他のカタログにも載っているが、この21番は他のカタログに無い。それはおそらく、この21番が散開星団ではなく「アステリズム(単なる星の並び)」のためと思われる(こちら参照)。

散開星団ではないが、その星の並びはかんむり座のような円弧型で美しい。、また近くには小さな系外銀河もあって、この領域だけを長焦点距離で拡大して撮影するのも面白そうだ。


これらの各領域をひとまとめにして撮影したのが一番上の画像となる。M33以外には何も思い浮かばず、さびしい星座だと思っていた「さんかく座」。このようなにぎやかな領域が有ることを、実は今まで知らなかった。何も無いと思っていたところに新たなアイテムを発見できるのは、ちょっと得した気分になる。

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