ミューロン180Cによる惑星撮影用機材検討

先日から新しい惑星撮影用鏡筒であるタカハシ「ミューロン180C」、CMOSカメラのZWO「ASI183MC Pro」を導入したので、手持ちの機材を組み合わせて惑星撮影用機材を仮構築してみた(ASI183MC Proの導入経緯はこちら)。

惑星撮影用機材
ミューロン180Cによる惑星撮影用機材

直視側はカメラ側。カメラ(ASI183MC Pro)はDeepSky撮影兼用(予定)なので組み換えやすさを優先し、EOSマウントアダプターを付けたままにしている。そのため、バローレンズ後部にアダプターを介してEOS用Tリングを付け、それに接続している。その結果バローレンズからカメラセンサーまでの距離が長くなっており、拡大率が大きくなりすぎていないかが気がかりなところ。

直角側は眼視用だが、まずは導入補助の目的でセレストロンのズームアイピース(8-24mm)を付けた。じっくり眼視観測するためには、もっと高性能なアイピースも考えたいところ(ナグラーズーム 3-6mmは所有しているが、この鏡筒には短焦点すぎる)。なお、ヘリコイドSから先の光路長がやや長く、アイピースをごく浅く差し込んでやっと合焦したので、延長筒を発注中。

現在、主要惑星(火星・木星・土星)は明け方の東天にいるが、そちらは自宅バルコニーから見えないので、これらの惑星を試写できるのはもう少し先になりそう。まずは夕方の西空低く見える金星を撮影した。

2020年3月6日 夕方西空の金星
2020年3月6日 夕方西空の金星
  • 【環境】2020/3/6 18:51:55(撮影スタート)/兵庫県明石市/気温 未測定/光害レベル:SQM-L測定値=未測定
  • 【光学系】ミューロン180C / GSOアポ2.5倍バロー / ZWO IR/UVカットフィルター
  • 【カメラ】ASI183MC Pro
  • 【架台・ガイド】ケンコーSE2赤道儀/ノータッチ恒星時追尾
  • 【ソフトウェア】<撮影>Sharp Cap Pro 3.2 <ガイド>なし
  • 【撮影法】センサー温度0℃/ゲイン:16/ROI:1600×1200
  • 【露出】撮影時間:60s/シャッタースピード:8ms/フレーム数:3832
  • 【処理法】
    • スタック:AutoStakkert!3 / フレーム数50%使用
    • ウェーブレット処理:RegStax6
    • その後の調整:ステライメージ8、Phtoshop CC
    • ピクセル等倍で切り出し

当初の目論見どおり、眼視側のアイピースで金星を中央に入れておけば、ミラーをカメラ側に切り替えたときにすぐにSharpCapのモニター画面上に入った。1/4インチセンサーカメラを使っていたときの導入の苦労は解消されそうだ。また、とりあえず0℃まで冷却して、Sharp Capにて冷却状態で撮影できることも確認した。

ROIを1600×1200に設定したが、フレームレートは60FPS以上を確保できている。ただ、得られるファイルサイズが10GB以上になり、ノートPCの容量小さめのストレージがすぐ満杯になる。外付けのSSDドライブが必要なようだ。

シーイングは悪く金星像はユラユラで処理してもボヤケた半月状になるだけだったが、上の画像における金星の直径ピクセル数が大体300であることが分かったので、下表の計算により合成焦点距離fと合成F値が計算できた(金星の視直径はステラナビゲータの値を用いた)。

合成焦点距離・F値計算
合成焦点距離・F値計算

結果は、やはり拡大率が3.5と大きすぎ、合成F値が40を超えてしまった。これはかなり暗い(しかしこれは予想通り)。狙いとしては合成F値が30程度、拡大率2.5倍程度なので、やはりここはセンサーまでの距離で拡大率が変わらない2.5倍パワーメイトを購入する必要がありそうだ(現在所有している5倍パワーメイトはFLT98CF用に購入していたもので、拡大率が大きすぎる)。パワーメイトは高価なので安い代替品があればそれで済ませたいが、色々安いものを複数買って試していると結局パワーメイト1本買うぐらいの価格になるので、最初からパワーメイトを買ったほうが手間もかからなくて良いかと思う(という、高価なものを買うときの自分への言い訳)。

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