象の鼻星雲(vdB142)・光害地での撮影

vdB142 象の鼻星雲
vdB142 象の鼻星雲(ケフェウス座の散光星雲/暗黒星雲)
  • 【環境】
    • 2022/11/18 19:57 ~ 11/19 00:14 / 兵庫県明石市/気温 14℃/光害レベル:SQM-L測定値=18.0~19.0
    • 2022/11/27 19:21 ~ 11/27 20:56 / 兵庫県明石市/気温 11℃/光害レベル:SQM-L測定値=18.1
  • 【光学系】R200SS + エクステンダーPH(1120mm F5.6)/ Quad BPフィルター
  • 【カメラ】ASI294MC Pro
  • 【架台・ガイド】ケンコーSE2赤道儀/ガイド鏡:ミニボーグ50+クローズアップレンズNo.2/ガイドカメラ:ASI178MM
  • 【ソフトウェア】<撮影>N.I.N.A 2.1/ <ガイド>PHD2/ <処理>(下記の通り)
  • 【撮影法】センサー温度0℃・ゲイン200・オフセット30・180sec x 114コマ(合計342分)/PHD2によるオートガイド・ディザリングあり
  • 【処理法】
  • 前処理(リニア):PixInsight: WBPP, ABE, DBE, PCC, BXT
  • 後処理(ノンリニア):ステライメージ9・Photoshop
  • 2×2ソフトビニング・トリミング有り

SQM値18台の光害地である自宅で昨年秋に2夜にわたって撮影した、ケフェウス座の「象の鼻星雲」vdB142。この星雲はその形が「象の鼻」に見えることから、そう呼ばれるようになった。象の鼻に見える黒い部分は暗黒星雲で、それが散光星雲IC1396をバックにして浮かび上がっている。暗黒星雲のエッジ部分が赤く輝いているので立体的に見える。

暗黒星雲がウネウネとした様子が奇妙で宇宙の不思議を感じる。なんとも芸術的であるが、これが人間とは関係のない自然界で出来たものだということが驚きだ。しかし人間も自然の一部である動物の一種である以上、おなじ自然界のものに感銘を受けるのは、それこそ自然な成り行きなのかもしれない。これは宇宙だけでなく、地面の下にある「鉱物」の造形も同様で、自然界の不思議さを感じる。

この星雲の場所はケフェウス座の南端で、秋の天の川の中となる(下の星図参照)。

vdB142・IC1396の位置

背景の散光星雲IC1396は視直径3°弱程度の大きな星雲で、短焦点望遠鏡やカメラの望遠レンズなどの広写野が必要になる。下の画像は同じ自宅でBORG71FL+レデューサーのf=288mmで撮影したもの。星雲の中に今回の「象の鼻」が見える。

散光星雲 IC1396
IC1396 (ケフェウス座の散光星雲・視直径170’)

このIC1396は無光害地でノーフィルターで写すとおおむね赤色に写る。しかし今回はワンショット・ナローバンドフィルターである「Quad BP」を用いたので独特の色合いになった。

ASI294MC ProとQuad BPの組み合わせでは、いつもは上のIC1396全体の画像のように黄色~オレンジが強めの色合いになる。しかしちょっと暑苦しさもあるので、今回のvdB142の拡大では黄色を抑えた色合いに変えた。

露光を6時間近く行ったので、Quad BPの効果もあり、光害地ながら淡めの分子雲や暗黒星雲の淡い分布も写った。また、リニア処理の最後に「BlurXTerminator」を用いて、星像と星雲構造をクッキリさせるようにした。

光害地の自宅でこのぐらいの画像を得られるようになったのは、撮影機材と画像処理ソフトの進歩のおかげ。

コメント

  1. T.Omukai より:

    象の鼻、本当に素晴らしいです!!
    ワンショットカラーカメラと200SSで撮影されたとはさらに驚きです。
    大好きな対象です、大変励みになります!

    • A-1 より:

      T.Omukaiさん、こんにちは。
      コメントありがとうございます。
      この画像は明石市内の光害地での撮影なので、形と濃淡が程々にわかる程度に写るかな、ぐらいに思ってたのですが、想像以上に淡いところまで写りました。一昔前には考えられませんでした。
      やはりQuad BPフィルターの効果と、画像処理ソフトの進化が大きいのではと思います。

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