5/19の夜、FLT98直焦点の試写を行った。ベランダからはスピカとベガとアンタレスしか見えない、ほとんど「薄曇り」の、透明度が非常に悪い空であった。しかし星像の確認ぐらいは出来そうなので、とりあえず撮影してみた。
撮影対象は5.8等の球状星団「M5(へび座)」としたが、このような空の状態なのでファインダーでは対象を導入できず、自動導入をおこなった。赤道儀のアライメントは何とか見えているアンタレスのみで「1スターアライメント」としたが、アライメント星とM5が近いためか、自動導入で問題なくカメラの写野内に入った。ただし、試写によって写野中央部にM5を持ってくる微調整は必要であった(いつもはフリップミラーによって眼視で中央に撮影対象をもってくるのだが、今回は視野内が真っ白で明るめの恒星しか見えず、役に立たなかった)。
はじめはノータッチガイドで良いかと思ったが、極軸がちゃんと合っておらず30秒露出でも星が流れてしまったので、ガイドウォークを取り付けてオードガイドを行った。また、光害を低減するためにLPS-P2フィルターを使用した。ピント合わせはライブビューの10倍拡大で行ったが、試写で追い込んだわけではないので完全には合っていないかもしれない。
- WO FLT 98 (D=98mm F6.3) / Kiss X2 / LPS-P2
- SE2赤道儀・SE102ガイド鏡・ガイドウォークによるオートガイド
- ISO800 120sec.
- 高感度ノイズ低減有り / 長時間ノイズ低減無し
- JPEG出力を33%に縮小
- レベル調整あり / トリミング無し
レベル補正のみ行い、33%に縮小しただけなので、周辺減光やLPS-P2による色むらはそのまま出ている。これを見て分かるように、33%縮小画像でも周辺部の星像の歪みが確認できる。
(↑)特に問題ないようだ。
左上隅のピクセル等倍切り出し。
星像がかなり歪んでいる。試写によるピント位置の調整でもう少し改善できるかもしれないが、完全に歪みを目立たなくするのは無理だろう。
パソコンモニタ上や2Lサイズのプリント程度の大きさを想定すると、星像の歪みが許容できるのは対角線長さで50%~60%程度だと思う。この範囲に収まる対象ならトリミングすれば良いが、はみ出すような大きな対象や複数の星雲・星団を合わせて撮るなど、APS-Cの写野全体を使いたい場合はフラットナーが必須になるようだ。これについては、米国WO社のFLT98の製品レポート紹介でリンクされているドキュメントでも言及されている。
これ(↑)は、JPEGではなくRAW画像からダーク減算とコンポジットを行い、デジタル現像、レベル調整、ノイズ低減、シャープフィルター等の処理で何とか見られる画像にしたもの。
やはりピクセル等倍ではアラが目立つので、50%縮小ぐらいが良さそうだ。
こちら(↑)はついでに撮った6.6等の球状星団「M12(へびつかい座)」
- 120sec. x4枚コンポジット、ピクセル等倍
もっとコンポジット枚数を増やしたいところであったが、雲が厚くなってきたため撮影中断した。この日以降もまだ撮影出来るような機会に恵まれていないので、FLT98による試写はいまのところこれだけである。
コメント