赤道儀化したAZ-GTiの赤緯軸の回転かたさ調整

先日AZ-GTiを赤道儀化してASIAIR PROで制御し、自動導入とPlate Solvingは難なく成功したが、オートガイドの赤緯方向キャリブレーションが失敗してしまい、そこでつまずいていた。

キャリブレーションの赤経方向では、West Step->East Stepで星がちゃんと往復移動して元の位置へ戻ってくる(もちろんバックラッシュの分はズレる)。その後バックラッシュの調整が入り、次に赤緯方向のキャリブレーションになるが、North Stepで星が赤緯方向へ移動した後、South Stepで戻ってこない。それどころか場合によっては、South Stepと表示されているのにNorth Stepの時と同じ向きへの移動を続けてしまう。これが全くの謎。バックラッシュだけが原因なら、その場に止まって動かないならともかく、逆向きへ移動してしまうことはないはず。また、South Stepで逆向き移動を続けているときにキャリブレーションを中断すると移動が止まるので、North Stepの惰性で滑っているということでも無さそう。

このような現象はハードウェアではなく制御の問題かと思って、接続を有線シリアルからWiFiに変えてみたり、マウントの種類をEQMOD Mount からSkyWacther AZ-GTi/SynScan WiFiに変えたが変わらず(ファームウェアは最新の「AZGTi Mount, Right Arm, AZ/EQ Dual Mode, Version 3.26」)。

さらにキャリブレーションステップを1000msから5000msの範囲で変えたり、ガイド速度を0.25倍から0.9倍の範囲で変えたりしても同じ。ASIAIRアプリのガイド速度設定は最高で0.9倍なので、1倍速は試せなかった。


ASIAIRのガイドの設定は項目が少なく、他に設定でなんとかなりそうな解決策は思いあたらないため、基本に戻って赤緯軸周りのバランスをちゃんと取ろうとした。しかしどうもこの赤緯軸(経緯台モードでは高度軸)の回転は渋めで、赤緯軸周りバランスが崩れている(と思われる)にも関わらず、クランプを緩めても全く動かない。本来ならばバランスの崩れに応じてグルっと回ってしまうはず。

そこでこの回転の渋さを緩和する調整を行った。

アリミゾ部を固定しているネジは薄い金属製のシールで隠されているので、まずはこのシールをマイナスドライバーでこじ開けて除去した。一度剥がすと元には戻せそうにないので、ここは割り切る必要がある。

AZ-GTi赤緯軸(高度軸)のアリミゾ固定ネジ
AZ-GTi赤緯軸(高度軸)のアリミゾ固定ネジ

上の画像では本体カバーも外してしまっているが、内部を確認したかっただけで、今回の調整には外す必要はなかった(今回はまだウォームホイールを外すような調整までは手を出していない)。

アリミゾを止めている4つのネジを外してアリミゾを取り外す。

AZ-GTi赤緯軸(高度軸)の回転かたさ調整
AZ-GTi赤緯軸(高度軸)の回転かたさ調整

赤緯軸(高度軸)を本体に締め付けているリングが現れるので、そのリングの回転を止めているイモネジ(止めねじ)を緩める。上の画像では1箇所しか見えないが、180°反対側にもう一つあるので両方緩める。すると外側のリングが回るようになるので、反時計回りに回して緩める。緩めていくと赤緯軸(高度軸)の回転が軽くなっていく。しかし緩めすぎると赤緯軸(高度軸)にガタツキが生じてしまう。

軸にガタつきが生じず、かつ程々に軽く回転できる程度に外側リングの位置を調整し、2つのイモネジを締めて固定する。あとはアリミゾを取り付ける。

この調整によって、赤緯軸周りのバランスが悪いと赤緯軸が回転してしまうぐらいの硬さになった。それで機材を載せて確認してみるとやはりバランスが悪かったので、機材配置などの調整でバランスを取り直した。


昨夜は薄曇りで、火星や1等星がなんとか見える空。撮影は無理だがガイドのテストぐらいは出来そうだったので、今回の調整で解決するかもと期待して再試行してみた。しかし結局状況は変わらなかった。

そもそも、赤経軸(方位軸)も同じ程度に回転が渋いのに、赤経方向のキャリブレーションとガイドは正常に出来ているので、今回の問題は回転渋さや軸回りバランスの悪さとは関係なかったかもしれない。

あとはバックラッシュへの対応だが、ASIAIRアプリのガイド機能はPHD2ほど設定項目が細かくないし、ハードウェアを調整してバックラッシュ自体を低減するのは素人にはかなり難しそうに思える。


(2021/2/14 追記)オートガイドの赤緯キャリブレーションが失敗する件は、AZ-GTiのファームウェアをVer.3.26から古いVer.3.20に入れ替えてみたが変わりなし。また、バランスウェイトを3.7Kgから軽い1.9Kgのものに変えてみたが変わりなし。打つ手がなくなってきた。

(2021/8/7 追記)AZ-Gtiのファームウェアを、2021/7月末に出たVer3.30に更新してみたが、状況は改善できなかった。ハードウェアの個体の問題のような気がしてきた。


(2021/9/20 追記)ファームウェアVer.3.33でオートガイド動作の改善を確認。詳細はこちら

コメント

  1. tetsubowl より:

    こんにちは。
    ブログの記事を何件か拝見して、まさに今の自分と同じところで苦労されていたので、解決手順等とても参考になりました。
    ちなみに、赤経軸方向の回転の渋さを解決する策はありましたでしょうか?
    もしご存知でしたらご教授いただければ光栄です。

    • A-1 より:

      tetsubowlさん、こんにちは。
      赤経軸の方も結構動きが渋いのですが、一応オートガイドが出来るので、下手に触って悪化させてはいけないと思い、手を付けずそのままにしています。
      赤経・赤緯共にもう少し滑らかに動いてくれると、オートガイドの精度も向上すると思うのですが、今の私のスキルではこれ以上分解すると組み立て直せなくなる恐れがあるので、ここまでで断念しています。
      あまりお役に立てずすみません。

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