先日ZWO社のASI482MCを購入してから、星空動画の撮影を色々と試している。
動画撮影では1秒未満の露出時間になるので、ゲインを高くしないと星が写らないが、そのためにどうしてもノイズが目立ってしまう。SharpCapなどを用いてリアルタイムに見る場合はどうしようもないが、録画ファイルを動画編集する場合にはノイズ低減処理を適用することが出来る。
そこで、動画のノイズ低減で評判の良い「Neat Video v5」を試用したところ、確かに大きな効果があったので早速購入した。Neat Videoには、適用できる解像度がフルHD(1920×1080)以下になる等の機能制限がある「Home版」と、機能制限のない「Pro版」があるが、Pro版は高価なのでHome版を購入した。フルHD以上の解像度(4Kなど)を扱うことは当面無いと思う。それ以外にもPro版は2基以上のGPUを用いたり、商用利用できるなどの利点があるが、それもいまのところ関係無さそう。
注意が必要なのは、Neat Videoのライセンスはプラグインとして組み込む先の動画編集ソフトウェア毎に別になっているということ。例えばPremire向けのライセンスを購入して使っていて、後で動画編集ソフトをAfter Effectsに乗り換えた場合、Neat VideoのライセンスはAfter Effects向けのものを買い直さなければいけない(複数種類の動画編集ソフト向けライセンスをまとめたものもあるが、それなりに高価)。
なお、購入にあたってはPayPalを使用したが、以前別件で海外通販にてPayPalを使った際に、住所氏名などが日本語で入ってしまったためか、通販元から英語の問い合わせメールが来たことがある。今回も確認画面で日本語が入っていたようなので、英語表記に修正した。
肝心の動画編集ソフトについては、私は何も持っておらず、Windows付属のMovie Makerや、AViUtlなどを組み合わせて使っていた。しかしNeat Videoを用いるためには、プラグインとして組み込める動画編集ソフトをどれか一つ入れる必要がある。そこで、なるべく安く済ませたいため、「DaVinci Resolve 17」の無償版を入れることにした。これは無償版と言ってもかなりの高機能で、初心者が使うには十分との評判がある。私もインストールして立ち上げてみたところ、あまりに機能が多くて使い方がわからず、結局入門書を一冊購入した。
Neat Videoプラグインの設定項目も非常に多く、全てを理解するには時間がかかりそうだが、とりあえず自動で設定されたパラメータを出発点として、どちらかというと品質重視方向で色々と変えて試してみた。
それで、ひとまず完成したのが下の動画(0秒から30秒がノイズ低減なし。30秒から1分がノイズ低減有り)。
- SQM-L測定値:18.3、気温26℃
- カメラ:ASI482MC、 レンズ:EF200mm F2.8L II USM (絞り開放)
- ゲイン400、露出時間66.7[ms]、15FPS(MP4書き出し時に24FPSに変換)
- 三脚固定撮影
- PIPP(SER->AVI変換)、Aviutl(AVI形式変換・画質調整)
- 動画編集ソフト:DaVinci Resolve 17(無償版)
- ノイズ低減ソフト:Neat Video v5 Home plug-in for Resolve
SharpCapで記録したSERファイルをPIPPでAVIファイルに変換したが、なぜかResolveで読めなかったので、AviUtlで非圧縮にて再書き出しした。また、Resolveでの画質調整についてはまだわからないため、とりあえずAviUtlで調整して、Resolveではノイズ低減とテロップ追加のみ行った。
撮影対象は、こと座のγ星とβ星の間。左の輝星がγ星で右の輝星がβ星だが、その間のややβ星寄りにM57(環状星雲)が見える。固定撮影なので星がゆっくりと移動しているが、ノイズ低減したほうが、動きが分かりやすい。
動画の場合は、ライブスタックのように見えない(見えにくい)星雲が徐々にはっきりと浮かび上がってくるわけではない。上のM57にしてもシミのように何となく見えるだけでリングを確認することは出来ない。しかし、双眼鏡やごく低倍率の望遠鏡で見ているようなリアル感がある。今回のM57を画面に導入する際も、自由雲台を動かし、ベガから星の並びをたどって入れたが、手動経緯台で星をたどっているときのような感覚になった。SQM-L測定値が18前後の光害地なので背景が明るく、見える星の数は少ないが、それも含めて眼視に近い感じと言える。
ただし、画面に動きが少ない場合はライブスタックのほうが有利なので、動画のまま記録する利点を感じられるよう、今後は動きのある撮影をしようかと思う。
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