5/3の晩は快晴になりそうだったので、久しぶりに天の川を見たくなり、どこかへ出かけてみることにした。最初は砥峰にしようかと思ったが、「大型連休中+新月期+快晴」なので、おそらく「激混み」になると予想した。ひっきりなしに車のヘッドライトに照らされると写真どころではなくなるので、砥峰と峰山付近はヤメにした。また山奥まで行く体力も無いので、たつの市の海沿いへ「プチ遠征」ということにした。
ここは姫路市のすぐ西側隣りなので、東の光害はひどい。南はまだマシでSQM-L測定値で20.1~20.2程度だった。21台の砥峰・峰山には及ばないが、自宅のある明石の18台よりは良い。いて座の天の川も肉眼でちゃんと見えた。
気軽なプチ遠征なので、機材はカメラ三脚、Pentax KPと広角ズーム&望遠レンズのみで小さなリュックに収まった。ポータブル赤道儀すら無しの固定撮影で、アストロトレーサー頼み。対象もさそり座といて座の天の川だけ。
- 【環境】2022/5/4 1:45 – 1:48 /兵庫県たつの市/気温16℃/光害レベル:SQM-L測定値=20.1~20.2
- 【光学系】SIGMA 18-35mm F1.8 DC HSM -> 18mm F2.2/プロソフトンクリア+スターリーナイトフィルター
- 【カメラ】PENTAX KP
- 【架台・ガイド】三脚固定・アストロトレーサー使用
- 【ソフトウェア】<処理>(下記の通り)
- 【撮影法】ISO3200, 60sec. x 4コマ
- 【処理法】
- RStackerでダーク減算
- Lightroomで現像
- PixInsightで加算平均合成・ABE,DBEによる背景ムラ補正
- ステライメージ9で4×4ソフトビニング・マルチバンドシャープ
- Photoshop CCで調整・若干トリミング有り
SQM-L測定値で20.1というのは光害の影響が無視できないレベルだが、画像処理すると天の川をかなり「あぶり出し」できた。アストロトレーサー使用による固定撮影なので、総露出時間が4分だけと短く、さすがにアンタレス付近の「カラフル領域」を出すのは無理だった。画面下の方の島影は「家島諸島」で、アストロトレーサーによる追尾の影響でブレて写っている。画面左下は姫路方面の光害で青白くかぶっている。
下の画像は横構図で撮影したもの。
- 【環境】2022/5/4 1:35 – 1:40 /兵庫県たつの市/気温16℃/光害レベル:SQM-L測定値=20.1~20.2
- 【光学系】SIGMA 18-35mm F1.8 DC HSM -> 18mm F2.2/プロソフトンクリア+スターリーナイトフィルター
- 【カメラ】PENTAX KP
- 【架台・ガイド】三脚固定・アストロトレーサー使用
- 【ソフトウェア】<処理>(下記の通り)
- 【撮影法】ISO3200, 60sec. x 5コマ
- 【処理法】
- RStackerでダーク減算
- Lightroomで現像
- PixInsightで加算平均合成・ABE,DBEによる背景ムラ補正
- ステライメージ9で4×4ソフトビニング
- Photoshop CCで調整・若干トリミング有り
アストロトレーサーによる星の追尾はポータブル赤道儀と違いカメラ自体は動かないため、コマを経るごとに画面内で星が移動してしまう。このとき広角レンズでは歪曲収差があるため、各コマの画像を平行移動して重ねてもズレてしまう。今回はLightroomで収差補正を行い、PixInsightでの位置合わせ時に歪み補正のオプションを入れたが、まだ若干のズレが残った(さそり座の三ツ星や、その付近の星がやや伸びているのがその影響)。そのため、あまり多くの枚数を重ねられない。だいたい4分~5分程度が限界だった。ただ、お気軽撮影なのでこの程度写れば十分だと思う。これ以上を望むのであれば、ポラリエやスカイメモに載せる必要がある。
次の画像は、もう少し早い時間に、さそり座の尾部~いて座の天の川が海から昇ってくるところをf=35mmで大きめに捉えた。
- 【環境】2022/5/4 0:08 /兵庫県たつの市/気温16℃/光害レベル:SQM-L測定値=20.1~20.2
- 【光学系】SIGMA 18-35mm F1.8 DC HSM -> 35mm F2.2/プロソフトンクリア+スターリーナイトフィルター
- 【カメラ】PENTAX KP
- 【架台・ガイド】三脚固定・アストロトレーサー使用
- 【ソフトウェア】<処理>(下記の通り)
- 【撮影法】ISO1600, 90sec. x 1コマのみ
- 【処理法】
- RStackerでダーク減算
- Lightroomで現像
- PixInsightでABE,DBEによる背景ムラ補正
- ステライメージ9で4×4ソフトビニング
- Photoshop CCで調整・若干トリミング有り
これは90秒露出の1コマのみ。こうして見ると、島影はあまりブレを感じないが、海上の点光源はしっかり流れている。
下の画像は主要な星雲・星団名を入れたもの。
この写野の高度はかなり低く、上辺で20°程度。画面下半分の10°以下はモヤモヤしているが、高度9°のM7もしっかり確認できる。画面右側の赤い散光星雲IC4628が意外とハッキリ写っている。
今回は体力の都合から近場の弱光害地へのプチ遠征(近征?)で、機材も簡便なアストロトレーサーのみだったが、天の川を久しぶりに写すことができたし、肉眼でも見ることができた。
このようにアストロトレーサーは結構気に入っていて時々使っているが、気になるのはPENTAXが最近どうも先細り気味であること。天体向けに魅力のあるレンズを多く出しているシグマやタムロンといったレンズメーカーからも、PENTAXマウントの製品が出なくなった。今元気なSONYあたりに乗り換えることも考えたが、やはりアストロトレーサーがある限りPENTAXが手放せない。K-3IIIが固定液晶なのが惜しい。可動液晶ならば無理して買ったかもしれない。
コメント
K-3IIIはアストロトレーサーの仕様代わりましたよね。確かキャリブレーションが不要になったとか
ひろせさん、コメントありがとうございます。
従来のGPSユニット(O-GPS1)を用いる方式であるタイプ1(等速追尾)とタイプ2(半速追尾)に、GPSユニットが不要のタイプ3が追加されたようですね。
https://www.ricoh-imaging.co.jp/japan/products/k-3-3/firmup/
場合によって使い分けできて便利と思うのですが、K-3IIIは背面液晶が固定式なのが天文用途としてネックなので、購入に踏み切れないです・・・。