コレクターPHの導入と、48mmフィルターによる周辺減光

ビクセンR200SSを導入したのは約2年前(2021年秋)で、そのとき一緒に購入したのは焦点距離を1120mm(F5.6)に伸ばす「エクステンダーPHキット」のみだった(詳細は下記記事)。

もちろんエクステンダーPHとコレクターPHを両方買うことが出来ればそれがベストだったが、両方とも結構高価で、どちらか一方しか買えない状況だった。そこでなぜエクステンダーPHの方を優先的に導入したかというと、まずは系外銀河を重点的に撮影したかったから。焦点距離を760mm(F3.8)にするコレクターPHは、系外銀河に飽きてきてから、ぼちぼち買い足せば良いかと思った。

それからこの2年間は予定どおり様々な系外銀河をこの「R200SS+エクステンダーPH」で撮影してきたが、街中からでも撮影出来る系外銀河の数は思っていたよりも多かった。未撮影の対象はまだまだ残っており、コレクターPHに手を出すのはもっと先のことかと思っていた。

ところが先日、ビクセンよりコレクターPH値上げが発表された。現在税込み\66,000が、2023/11/21より税込み\82,500になるそうだ。\16,500の大幅値上げとなるので、この値上げ前のタイミングで購入しておくべきと判断し、急遽購入した。予定外の出費が少し痛いが、これからもR200SSを使っていくならいずれ買うべきものだから仕方ない。

EOSマウントに接続するための「直焦ワイドアダプター60(EOS、フォーサーズ用)」と「TリングEOS用」も同時に注文した。また、コレクターPHの筒先(鏡筒側)には52mmのフィルターが付けられるが、現在持っている天体用フィルター類はほとんど48mmなので「52mm→48mmステップダウンリング」も購入した。

物が到着後、早速「直焦ワイドアダプター60(EOS、フォーサーズ用)」と「TリングEOS用」を取り付け、筒先(鏡筒側)には、52mmプロテクターを付けてみた。

上から、52mmプロテクター+コレクターPH+直焦ワイドアダプター+Tリング
上から、52mmプロテクター+コレクターPH+直焦ワイドアダプター+Tリング

また、52mm->48mmステップダウンリングを用いて筒先に48mm UV/IR カットフィルターも付けてみた。

上から、48mm IRカットフィルター+ステップダウンリング+コレクターPH+直焦ワイドアダプター+Tリング
上から、48mm IRカットフィルター+ステップダウンリング+コレクターPH+直焦ワイドアダプター+Tリング

まず気になったのが、ステップダウンリングで筒先を48mm径に絞った影響。周辺減光が増加してしまうのではないか?

この日は雨天で空の撮影が無理だったので、とりあえずELシートでフラット画像を撮影してみた。

コレクターPHをR200SSに取り付け
コレクターPHをR200SSに取り付け

まずコレクターPHをR200SSに取り付けた。ドローチューブ内にすっぽり収まって外からは見えなくなる。

EOS60Da(APS-C)でフラット撮影
EOS60Da(APS-C)でフラット撮影

自分が所有する最大のセンサーはAPS-Cなので、カメラはAPS-CのEOS60Daを使用した。鏡筒の先にELシートを用いたフラット撮影用簡易パネルを付けて撮影。

ただし実際の星を入れられないので、ピント位置が分からない。遠景で合わせようにも、雨天で望遠鏡自体を外に出せないので、とりあえずエクステンダー使用時のドローチューブ繰り出し位置と同じにした。

コレクターPHの筒先につけるフィルターの組み合わせは下記の3通り。

  • ①52mm プロテクター
  • ②48mm IRカットフィルター + ステップダウンリング
  • ③(フィルター無し素通し)+ ステップダウンリングのみ

48mmと52mmのフィルターを同じにできればよかったが、48mmのプロテクターは所有していないので、48mmフィルターには影響が少なそうなIRカットフィルターを用いた。カメラの方にIRカットフィルターが入っているので、おそらくそこでセンサーに入る波長域は同じになるはず。

ISO100, 1/10sec. で撮影し、RAWファイルをLightroom で全て同パラメータで現像した。現像時には極端にコントラストを高めている(星雲のあぶり出しを想定)。結果は以下の通り。

①52mm プロテクター
①52mm プロテクター
②48mm IRカットフィルター + ステップダウンリング
②48mm IRカットフィルター + ステップダウンリング
③素通し+ ステップダウンリング
③素通し+ ステップダウンリング

これは明らかに②(48mm IRカットフィルター + ステップダウンリング)の周辺減光が大きい。③(ステップダウンリングのみ素通し)は①(52mmプロテクター)とそれほど変わらないので、48mm IRカットフィルターの影響であることは確か。

ZWOのIRカットフィルターの透過波長域は400nm~680nm程度でEOS 60Daよりも広いはずなので、IRカットフィルターの光学特性の影響とは思えず、これは厚いフィルター枠による減光だと思う。


私がR200SSで主に使うのはフォーサーズのASI294MC Proか1インチのASI183MC Proなので、②の状態でもギリギリ使えるかと思うが、今後APS-Cの天体カメラを導入する可能性もあり、何とか改善しておきたい。しかし全ての天体用フィルターの52mmサイズを買い足すのは費用が掛かりすぎる。現在主に使っているQuad BPとComet BPの2枚だけでも合わせて5万円近くする。

ここで、選択肢の一つとして考えているのが「直焦ワイドアダプター60」の内部に48mmまたは52mmのフィルターを装着できるようにする「M56フィルター変換アダプター48/52」。上のフラット画像で③の場合は48mm径に絞られていても周辺減光はそれほど目立たなかったので、フィルターをコレクターPHの後ろ側にしてセンサーに近づければ良いのではないか。

そういう訳で今回はこれで終了。これから「M56フィルター変換アダプター48/52」を手配するのと、天候が良い日に実写していきたい。


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